今回は「ザクサ」と「バスタ」の違いについて見ていきます。どちらも有名な除草剤で、雑草を枯らせる効果は非常に高いことから、農家や家庭菜園を営む人にとってはとても便利なアイテムだと言える。
とはいえ、農薬はその内容をきちんと理解したうえで使うことが大切です。両者は語呂が似ているので同じ製品のように感じられるが、実はメーカーやその効き目も異なっている。雑学好きライターのねぼけねこと一緒に、具体的にどう違うのかを解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

ザクサとバスタの違いをざっくり解説

最初に、ザクサとバスタの違いについて大まかに解説します。どちらも無差別に植物を枯らせる効果がある「非選択性除草剤」ですがそれぞれメーカーは異っており、性能面での最も大きな違いは雑草に対する効き目の強さです。

ザクサ:強力な除草剤

ザクサは北興化学工業株式会社が製造・販売している強力な除草剤で、薬剤が付着した雑草を無差別に枯らすことができる「非選択性除草剤」に分類されます。

その効果は40日から50日間続くとされており、長期間雑草が生えるのを抑えることができる点が特徴的です。また雨にも強く、散布してから一時間ほど経てば雨が降っても問題ありません。効き目が天候によって左右されることがほとんどないのは大きな強みと言えるでしょう。

さらに安全性も高く、散布された薬剤は土壌内の微生物によって分解されるようになっており、環境にも配慮された製品だと言えます。

バスタ:ザクサよりも環境に優しい除草剤

次に、バスタはBASFジャパンから販売されている除草剤で、ザクサと同じく非選択性除草剤に分類されます。幅広い種類の雑草に対して高い効果を発揮する点もザクサと変わりません。

ただ効き目はザクサよりもゆるやかで、除草効果が出てくるのは散布してから2〜5日後、効果が持続するのは30日程度です。また、散布してから6時間以内に雨が降ると、効き目が低下することがあります。

とはいえ環境に優しい点や、高い安全性を持つ点はバスタと同じです。バスタもザクサも、農業や庭園管理をする人にとっては心強い味方だと言えるでしょう。

ザクサとバスタの効果についてもっと詳しく!

image by iStockphoto

前項までで、ザクサとバスタの大まかな違いは理解できたと思います。いずれも性能は同じですが、散布後に効き目が表れるまでの日数や、その持続期間が大きくことなることが分かりました。次に、ザクサとバスタの具体的な効果と、それ以外の除草剤との違いについても見ていきましょう。

どちらも広範に効く

ザクサとバスタのような非選択制除草剤は、付着した植物を、いわば「無差別に」枯らす効果があります。よっていずれも幅広い種類の雑草に対して威力を発揮することから、農家にとって悩みの種であるスギナや、ツユクサ・イヌタデ・カヤツリグサなどの除草にも効果的です。

ザクサもバスタも、厄介な雑草群に対して有効で、その速効性と持続性により除草作業の効率化が実現できるでしょう。ただし、どちらも葉から吸収されて草全体に浸透することでその効果を発揮しますが、根は完全には枯れません。これについては次の項目で解説します。

\次のページで「根を枯らしたいなら他の除草剤を使おう」を解説!/

根を枯らしたいなら他の除草剤を使おう

image by iStockphoto

ザクサとバスタは、ともに幅広い種類の雑草に対して確実に威力を発揮しますが、根まで枯らす効果はありません。地下にある根は枯死せず、雑草の再生を完全には防げないのが欠点だと言えるでしょう。

よって、根がしぶとく残るタイプの多年生雑草を根絶やしにしたいのであれば、別の除草剤を検討してください。例えば、市販されているサンフーロンやラウンドアップは、雑草を根まで徹底的に枯らすことが可能です。こうした除草剤は吸収移行型と呼ばれ、草の根から吸収されて植物全身に移行することで効果を発揮します。

ザクサとバスタの使用時の注意点をもっと詳しく!

ここまでで、ザクサとバスタの違いと具体的な効果、またその限界について解説しました。雑草を取り除くのに非常に効果的な農薬だということが理解できたと思います。しかし一方で、農薬を使うときはさまざまな点に注意しなければなりません。ザクサとバスタは除草剤の中でも比較的安全性が高いですが、使用時の注意点とあわせて以下で詳しく見ていきましょう。

どちらも安全性は高い

ザクサとバスタはどちらも安全性が高いことから、農家も安心して使うことができます。農薬の中には「毒物および劇物取締法」の毒物・劇物に該当するものもありますが、ザクサとバスタはともに「普通物」とされているのです。

また、散布することで土壌に落ちた薬剤も、微生物によって分解されるため、環境にも優しいと言えます。さらに分解されるスピードが非常に速いのも嬉しいところでしょう。ただし、希釈量には注意しなければなりません。

天候に注意する

ザクサあるいはバスタを使う際は天候に注意しましょう。まず、バスタは散布してから6時間以内に雨が降ると、効果が低減するおそれがあります。基本的にバスタは曇天下で散布しても効果がありますが、できれば好天時に散布するのがおすすめです。

一方、ザクサは散布してから一時間程度が経過すれば、雨が降っても効果は大きく変わりません。このような点からも、バスタよりもザクサの方が強力で効果的であることが分かるでしょう。また、ザクサは日なた・日陰・気温に関係なく効果を発揮します。

薬剤の飛散に注意する

image by iStockphoto

ザクサもバスタも、天候の様子を見ながら適切なタイミングで散布しましょう。特に風の強さには注意が必要で、風が強いと薬剤が思わぬ方向に飛散するおそれがあります。

先述した通り、どちらも非選択性除草剤なので、栽培している農作物や、他人の畑などに飛散すると、それも枯らしてしまうかも知れません。散布作業時には専用のノズルや飛散防止カバーを使うのがベストです。

\次のページで「ザクサとバスタはどう使い分けるといい?」を解説!/

ザクサとバスタはどう使い分けるといい?

ここまでで、ザクサとバスタの特徴と効果、そして双方の違いについての理解が深まったと思います。いずれも安全性が高く、雑草に対しても非常に効果的であることが分かりました。

最後に、そんなザクサとバスタはどのように使い分ければいいのかを見ていきます。両者の大きな違いはその効き目の強さですが、ほかにも、購入時の値段や環境への優しさなども使い分けの基準になるでしょう。

1.値段による使い分け

まず、農薬の使い分けの基準としては「値段」が挙げられます。高くても見合った効果が期待できる薬剤にするか、安くてそれなりの効果のものにするか……という選択になりますが、ザクサとバスタはほぼ同程度の価格なので、あまり基準にはならないかも知れません。

双方ともに、だいたい2リットルでおよそ7,000円程度というのが一般的です。使用する作物によって異なるものの、10アールあたり500mL散布すると考えた場合、10アールあたり1,750円ほどだと言えるでしょう。

あとは、例えばホームセンター・ECサイト・農協の店舗など取扱店によって値段が異なることもあるので、購入時の利便性などを考慮して使い分けるといいでしょう。

2.効き目の強さによる使い分け

薬剤の効き方によって使い分けてみてもいいでしょう。ここまで何度か説明しましたが、バスタは散布後2~5日程度で効果が現れ、散布してから30日間は効果が持続します。一方、ザクサは散布後1~3日程度で効果が発現し、40~50日間は持続するという違いがあるので、こうした点も使い分けの参考にしてください。

3.環境への優しさによる使い分け

先述の通り、ザクサとバスタは、希釈量や散布方法にさえ注意していれば安全性は十分です。ただ環境への優しさという観点で見ていけば、ザクサよりもバスタの方が優れていると言えるでしょう。バスタは、ザクサと比べて効果の持続期間が短いからです。

ザクサとバスタは効果の高さと環境への影響が異なる

ザクサとバスタは、いずれも除草剤として期待できる効果は同じですが、ザクサの方が散布後に効き目が現れるのが早く、持続期間も長いです。よって、より強力で高い効果を発揮するものを選ぶならザクサがいいでしょう。

一方、それは裏を返せば、効き目がゆるやかなバスタの方が環境への影響は少ないということです。雑草を一時的に除去したいだけであれば、バスタを使うといいでしょう。

" /> 簡単でわかりやすい!除草剤のザクサとバスタの違いとは?どちらが優れている?効果や使用上の注意点も雑学好きライターが詳しく解説 – Study-Z
雑学

簡単でわかりやすい!除草剤のザクサとバスタの違いとは?どちらが優れている?効果や使用上の注意点も雑学好きライターが詳しく解説

今回は「ザクサ」と「バスタ」の違いについて見ていきます。どちらも有名な除草剤で、雑草を枯らせる効果は非常に高いことから、農家や家庭菜園を営む人にとってはとても便利なアイテムだと言える。
とはいえ、農薬はその内容をきちんと理解したうえで使うことが大切です。両者は語呂が似ているので同じ製品のように感じられるが、実はメーカーやその効き目も異なっている。雑学好きライターのねぼけねこと一緒に、具体的にどう違うのかを解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

ザクサとバスタの違いをざっくり解説

最初に、ザクサとバスタの違いについて大まかに解説します。どちらも無差別に植物を枯らせる効果がある「非選択性除草剤」ですがそれぞれメーカーは異っており、性能面での最も大きな違いは雑草に対する効き目の強さです。

ザクサ:強力な除草剤

ザクサは北興化学工業株式会社が製造・販売している強力な除草剤で、薬剤が付着した雑草を無差別に枯らすことができる「非選択性除草剤」に分類されます。

その効果は40日から50日間続くとされており、長期間雑草が生えるのを抑えることができる点が特徴的です。また雨にも強く、散布してから一時間ほど経てば雨が降っても問題ありません。効き目が天候によって左右されることがほとんどないのは大きな強みと言えるでしょう。

さらに安全性も高く、散布された薬剤は土壌内の微生物によって分解されるようになっており、環境にも配慮された製品だと言えます。

バスタ:ザクサよりも環境に優しい除草剤

次に、バスタはBASFジャパンから販売されている除草剤で、ザクサと同じく非選択性除草剤に分類されます。幅広い種類の雑草に対して高い効果を発揮する点もザクサと変わりません。

ただ効き目はザクサよりもゆるやかで、除草効果が出てくるのは散布してから2〜5日後、効果が持続するのは30日程度です。また、散布してから6時間以内に雨が降ると、効き目が低下することがあります。

とはいえ環境に優しい点や、高い安全性を持つ点はバスタと同じです。バスタもザクサも、農業や庭園管理をする人にとっては心強い味方だと言えるでしょう。

ザクサとバスタの効果についてもっと詳しく!

image by iStockphoto

前項までで、ザクサとバスタの大まかな違いは理解できたと思います。いずれも性能は同じですが、散布後に効き目が表れるまでの日数や、その持続期間が大きくことなることが分かりました。次に、ザクサとバスタの具体的な効果と、それ以外の除草剤との違いについても見ていきましょう。

どちらも広範に効く

ザクサとバスタのような非選択制除草剤は、付着した植物を、いわば「無差別に」枯らす効果があります。よっていずれも幅広い種類の雑草に対して威力を発揮することから、農家にとって悩みの種であるスギナや、ツユクサ・イヌタデ・カヤツリグサなどの除草にも効果的です。

ザクサもバスタも、厄介な雑草群に対して有効で、その速効性と持続性により除草作業の効率化が実現できるでしょう。ただし、どちらも葉から吸収されて草全体に浸透することでその効果を発揮しますが、根は完全には枯れません。これについては次の項目で解説します。

\次のページで「根を枯らしたいなら他の除草剤を使おう」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: