この記事では「絨毯」と「カーペット」の違いについてみていきます。どちらも部屋の中などにしく「敷物」を意味する言葉ですが、それぞれ何となく意味は知っているつもりでも、絨毯とカーペットに違いはあるのかと問われると、ハッキリ答えられない人も少なくないでしょう。そこで今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

絨毯とカーペットのざっくりした違いを説明

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まずは「絨毯」「カーペット」のおおまかな違いについて説明しましょう。といっても、「絨毯」「カーペット」どちらも部屋の中などにしく「敷物」のことを指し、同じものを意味するので基本的には同じです。ですから、あえて違いをあげるなら、日本語で言うか英語で言うかという違いくらいでしょうか。

また、ペルシャで織られる高級な敷物として「ペルシャ絨毯」がありますが、日本では「ペルシャンカーペット」と呼ばれることはまずないことからか、同じように部屋の中に敷くものでも、高級なものといえば「絨毯」で、「カーペット」というとそこまでのものではないというイメージを持っている人も少なくないでしょう。

絨毯とカーペットの語源を説明

さきほど、「絨毯」「カーペット」が指すものは同じで意味としては違いがなく、日本語か英語かという違いくらいしかないことを説明しましたが、ここからは「絨毯」「カーペット」という言葉に対する理解を深めるため、それぞれの語源について説明したいと思います。

「絨」も「毯」も織物のことを意味する

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まずは「絨毯」について説明しましょう。「絨毯」「絨」という字はぶ厚くてやわらかい毛織物という意味の漢字です。そして「毯」の字は「毛」に「炎」と書くように、炎のように毛羽立っている毛織りの敷物のことを意味します。「絨毯」という言葉は、このような意味持つ字から出来ているので、「床に敷くための織物全般」を指す日本語として使われているのです。

「カーペット」は毛をむしり、毛羽立てた布のこと

つづいては「カーペット」について説明しましょう。「カーペット」の語源は元をたどると、ラテン語で「毛をむしる」「毛羽立てた布」などを意味する「カルペレ(carpere)」だと考えられ、英語としては13世紀ごろに「粗い布」「テーブルクロス」といった意味で使われはじめたようです。

それが15世紀ごろになって、私たちが今日使っているような「床にしく織物」としての意味に変化しました。

\次のページで「カーペットとラグの違いを説明」を解説!/

カーペットとラグの違いを説明

「絨毯」のことを英語で言うと「カーペット」だと説明しましたが、同じように部屋の中にしくものを「ラグ」と呼ぶことがありますね。そこでここからは「カーペット」「ラグ」の違いについて説明したいと思います。

ラグの語源はスカンジナビアにある?

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まずは「ラグ」の語源について説明しましょう。さきほど「カーペット」は語源をさかのぼると、そのルーツはラテン語にあることを説明しましたが、「ラグ」については北欧のスカンジナビア半島にあるのではないかと言われています。というのも、スカンジナビア半島で使われていた古ノルド語には、「毛足の長い房」を意味する「rogg」という単語があり、それが「ラグ」の語源ではないかと考えられているのです。

ちなみに日本では「ラグ」のことを「ラグマット」とも呼んだりしますが、「ラグマット」というのはあくまで和製英語であり、外国の方には通じませんので気を付けましょう。

大きいものはカーペット、小さくて部分的なものはラグ!

今度は「カーペット」と「ラグ」の定義の違いについて説明しましょう。「カーペット」「ラグ」の違いはズバリ、その大きさの違いです。一般的には、「カーペット」は「サイズが大きく、床全面にしきこむもの」のことを指すのに対し、「ラグ」は「3畳ほどにも満たない、小ぶりなもの」を指します。ただし、一部アメリカなどでは機械織りの絨毯のことを「カーペット」、手織りのものは「ラグ」という使い分けがされることもあるようです。

ただし、電熱線の入った暖房器具である、いわゆる「ホットカーペット」に関しては、3畳ほども無く、床全面をカバーするほどの大きさは無いものでも、基本的には「ホットカーペット」と呼びます。

「カーペット」……3畳以上で、部屋全面をカバーするようなもの
「ラグ」……3畳未満で部分的なもの
※ただし、「ホットカーペット」に関してはサイズに関係なく「ホットカーペット」

絨毯とカーペットは基本的に同じものを指す!

今回は、「絨毯」「カーペット」どちらも部屋の中などにしく「敷物」のことで、同じものを指すということから、それらの語源、さらには「ラグ」との違いなどについて説明しました。この説明が、少しでもみなさんの理解の助けになれたなら幸いです。

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簡単でわかりやすい!絨毯のカーペット違いとは?ラグとの違いや語源も現役塾講師が詳しく解説

この記事では「絨毯」と「カーペット」の違いについてみていきます。どちらも部屋の中などにしく「敷物」を意味する言葉ですが、それぞれ何となく意味は知っているつもりでも、絨毯とカーペットに違いはあるのかと問われると、ハッキリ答えられない人も少なくないでしょう。そこで今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

絨毯とカーペットのざっくりした違いを説明

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まずは「絨毯」「カーペット」のおおまかな違いについて説明しましょう。といっても、「絨毯」「カーペット」どちらも部屋の中などにしく「敷物」のことを指し、同じものを意味するので基本的には同じです。ですから、あえて違いをあげるなら、日本語で言うか英語で言うかという違いくらいでしょうか。

また、ペルシャで織られる高級な敷物として「ペルシャ絨毯」がありますが、日本では「ペルシャンカーペット」と呼ばれることはまずないことからか、同じように部屋の中に敷くものでも、高級なものといえば「絨毯」で、「カーペット」というとそこまでのものではないというイメージを持っている人も少なくないでしょう。

絨毯とカーペットの語源を説明

さきほど、「絨毯」「カーペット」が指すものは同じで意味としては違いがなく、日本語か英語かという違いくらいしかないことを説明しましたが、ここからは「絨毯」「カーペット」という言葉に対する理解を深めるため、それぞれの語源について説明したいと思います。

「絨」も「毯」も織物のことを意味する

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まずは「絨毯」について説明しましょう。「絨毯」「絨」という字はぶ厚くてやわらかい毛織物という意味の漢字です。そして「毯」の字は「毛」に「炎」と書くように、炎のように毛羽立っている毛織りの敷物のことを意味します。「絨毯」という言葉は、このような意味持つ字から出来ているので、「床に敷くための織物全般」を指す日本語として使われているのです。

「カーペット」は毛をむしり、毛羽立てた布のこと

つづいては「カーペット」について説明しましょう。「カーペット」の語源は元をたどると、ラテン語で「毛をむしる」「毛羽立てた布」などを意味する「カルペレ(carpere)」だと考えられ、英語としては13世紀ごろに「粗い布」「テーブルクロス」といった意味で使われはじめたようです。

それが15世紀ごろになって、私たちが今日使っているような「床にしく織物」としての意味に変化しました。

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