今回は「カジキ」と「カジキマグロ」の違いを見ていきます。結論からいうと、この2つは同じ魚を指すから違いはない。さらに、「カジキマグロ」という名称は正式なものではなのです。なぜ「カジキマグロ」という呼び名が生まれたのか。そして「マグロ」とは何か関係があるのか。この先は外食好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

カジキマグロという魚は存在しない?

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「カジキマグロ」という魚の名前を聞いたことがある方も多いはず。なぜなら、スーパーで販売される切り身や、回転寿司のネタの種類でもこのような表現がされていることがあるからです。しかし、カジキマグロという魚の種類はこの世に存在しません。「カジキマグロ」とは「カジキ」という魚の商品名で、「カジキ」と「マグロ」の名前を組み合わせて作られた造語なのです。

カジキはなぜカジキマグロと呼ばれるの?

「カジキ」という種類の魚が「カジキマグロ」という商品名で販売されることがあります。なぜ「カジキ」のままではなく、「カジキマグロ」という名前で呼ばれるのでしょうか。それは、カジキがマグロと非常に似た特徴を持っているからだといわれています。

カジキってどんな魚?

カジキは温暖な海で生息する大型の魚。食用にしたり、ルアーを使って行う釣りの対象になったりと人気が高く、美しい見た目は水族館や図鑑でも目を引きます。特徴的な見た目や名前の由来、食品としての栄養や旬について確認していきましょう。

カジキの特徴

カジキの体の最大の特徴は、「吻(ふん)」と呼ばれる長い上あごです。まるで刀剣のように鋭く突き出た吻を使って獲物をしとめます。またカジキな海中で最も早く泳ぐ魚といわれ、最高速度は時速100kmを超えることも。猛烈なスピードで獲物を追いかけたり、敵から逃げたりする俊敏な魚です。

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カジキの名前の由来

カジキは漢字で「舵木」や「梶木」と書きます。これらは本来、船をこいで進めたり、船の方向を決めたりする硬い木でできた道具のこと。カジキは、その硬い舵木を突き通すほど吻(ふん)が鋭く、また船に突進してくる獰猛な性格であることから「舵木どおし」と恐れられ、それが短くなって「カジキ」と呼ばれるようになりました。

カジキの栄養と旬

カジキには、私たちの筋肉や血液に欠かせないタンパク質や、骨の形成を促すビタミンD、老廃物の排出を促すカリウム、生活習慣病の予防効果が期待されるDHA・EPAが多く含まれています。

カジキの旬は種類によって少しずつ異なり、日本で主に流通する「メカジキ」は秋~冬、「マカジキ」は冬~春が旬です。これ以外の季節は冷凍されたものが流通し、一年中スーパーなどの店頭に並ぶため、あまり旬を感じることはないかもしれません。

カジキとマグロを比べてみよう

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カジキはマグロに似た特徴を持っていることから、「カジキマグロ」という商品名が付けられたとご紹介しました。カジキとマグロはいったいどんな特徴が似ているのでしょうか。また、カジキとマグロには違いがあるのでしょうか。それぞれ詳しく確認していきましょう。

カジキとマグロの共通点

カジキとマグロの主な共通点は3点。1点目は及ぶスピードがとても速いことです。カジキは時速100km、マグロが時速90kmもの速さで水中を進み、獲物を追いかけます。2点目は大型の魚であること。カジキは体長4m以上、マグロは体長3m以上にもなる個体も存在し、近くで見ると圧巻の大きさです。

3点目は食品として肉質がとてもいいこと。種類によって異なるものの、カジキもマグロも刺身や寿司ネタとして活用されることが多い魚です。

カジキとマグロの違い

カジキとマグロはまったく別の種類の魚です。カジキが「メカジキ科」や「マカジキ科」に属するのに対し、マグロは「サバ科」。そのため違いは多くありますが、ここでは2つの違いをご紹介しましょう。

1つ目は生息地域です。カジキは温暖な海域を中心に生息するのに対し、マグロは冷たい海を好みます。2つ目は身の色です。種類によっても異なりますが、日本でもっとも多く流通する「メカジキ」の切り身は白っぽい桃色。これは脂が身の中に均一に広がっているためです。対するマグロの切り身は透明感のある赤色で、これはミオグロビンというタンパク質が多いため。マグロはカジキに比べて50倍前後のミオグロビンを含んでいます。

日本近海に生息するカジキの種類

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世界では12種類のカジキが存在し、日本近海にはそのうちの6種類も生息しています。それぞれのカジキの特徴を確認していきましょう。

日本近海に生息する6種類
・メカジキ
・マカジキ
・バショウカジキ
・フウライカジキ
・シロカジキ
・クロカジキ

メカジキ:大型で獰猛な性格

メカジキはカジキの仲間でも大型の部類で、全長4m、体重は300kgを超える個体もあります。性格は獰猛で、自分よりも大きなクジラや船に突進し、船底に穴をあけることも。スーパーでは売られているカジキマグロはメカジキの切り身であることが多いです。

マカジキ:味のいい高級品

カマジキはメカジキよりもやや小さく、全長3m、体重は100kgほどです。体の側面にある水色の縞模様と、ヒモ状の腹ビレが特徴。食用としてはカジキの中で最も味がよく、高級品とされています。高級料亭などで提供されることも多い種類です。

バショウカジキ:大きな背ビレが圧巻

バショウカジキは体重100kg以下の個体が多く、日本近海で見られるのは20kg前後の個体です。もっとも特徴的なのが芭蕉(ばしょう)の葉のような背ビレ。英語では船の帆と表現され、水中での急旋回に役立ちます。食用では脂肪の少ない赤身でさっぱりとした味わいです。

\次のページで「フウライカジキ:カジキに見えない風貌」を解説!/

フウライカジキ:カジキに見えない風貌

フウライカジキは体長2~2.5mほどのやや小型のカジキで、大きく幅広い背びれと短い吻(ふん)が特徴です。加えて体が細長いため、カジキの仲間とは思えない風貌をしています。食用としては味の評価が低く、他の魚と混ぜて練り物の原料にすることが多い種類です。

シロカジキ:カジキの仲間では最大

シロカジキはカジキの仲間でもっとも大きく、体長は4m、体重は700kg以上になる個体もあります。全体的に肉付きのいい体をしており、短めの吻(ふん)も特徴です。カツオを捕食することから、「カツオクイ」とも呼ばれています。

クロカジキ:体の色が変化

クロカジキは大きい個体で体長4m、体重500kgにもなり、シロカジキに次いで大型の種類です。体色は捕獲時には鮮やかな青色ですが、死んだ後には黒色に変化。このことから名前に「クロ」が付きます。切り身は淡い赤色で、生で食べられることも多い種類です。

カジキを食べてみよう

「カジキ」という魚は、ときに「カジキマグロ」という商品名で販売されることがあります。「カジキマグロ」は「カジキ」と「マグロ」の名前を組み合わせた造語で、カジキがマグロに似た特徴を持っていたことから、こう呼ばれるようになりました。

カジキはさまざまな料理に活用できるとてもおいしい魚。一年中スーパーで購入できるので、ぜひ料理に活用して好みの食べ方を見つけてみてくださいね。

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雑学食べ物・飲み物

「カジキ」と「カジキマグロ」に違いはあるの?マグロとの共通点やカジキの種類も外食好きライターが簡単にわかりやすく解説

今回は「カジキ」と「カジキマグロ」の違いを見ていきます。結論からいうと、この2つは同じ魚を指すから違いはない。さらに、「カジキマグロ」という名称は正式なものではなのです。なぜ「カジキマグロ」という呼び名が生まれたのか。そして「マグロ」とは何か関係があるのか。この先は外食好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

カジキマグロという魚は存在しない?

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「カジキマグロ」という魚の名前を聞いたことがある方も多いはず。なぜなら、スーパーで販売される切り身や、回転寿司のネタの種類でもこのような表現がされていることがあるからです。しかし、カジキマグロという魚の種類はこの世に存在しません。「カジキマグロ」とは「カジキ」という魚の商品名で、「カジキ」と「マグロ」の名前を組み合わせて作られた造語なのです。

カジキはなぜカジキマグロと呼ばれるの?

「カジキ」という種類の魚が「カジキマグロ」という商品名で販売されることがあります。なぜ「カジキ」のままではなく、「カジキマグロ」という名前で呼ばれるのでしょうか。それは、カジキがマグロと非常に似た特徴を持っているからだといわれています。

カジキってどんな魚?

カジキは温暖な海で生息する大型の魚。食用にしたり、ルアーを使って行う釣りの対象になったりと人気が高く、美しい見た目は水族館や図鑑でも目を引きます。特徴的な見た目や名前の由来、食品としての栄養や旬について確認していきましょう。

カジキの特徴

カジキの体の最大の特徴は、「吻(ふん)」と呼ばれる長い上あごです。まるで刀剣のように鋭く突き出た吻を使って獲物をしとめます。またカジキな海中で最も早く泳ぐ魚といわれ、最高速度は時速100kmを超えることも。猛烈なスピードで獲物を追いかけたり、敵から逃げたりする俊敏な魚です。

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