今回は韓国語検定とハングル検定の違いがテーマです。どちらも「韓国語」の検定には違いないが、韓国語検定は話し言葉の試験で、ハングル検定は書き言葉の試験という点が大きく異なっている。
また双方の主催者も異なっているから、本場・韓国でも通用するか、日本国内でしか通用しないかという違いもあるんです。では、目的に応じてどちらか一方を受けるとしたらどう選ぶといいか、その基準などについて雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

韓国語検定とハングル検定の違いをざっくり解説

最初に、韓国語検定とハングル検定の大まかな違いを解説します。そもそもの話として「韓国語」と「ハングル」はどう違うのかをまず見ていきましょう。それを知った上で、ふたつの検定試験の内容の主な違いについて説明します。

そもそも韓国語とハングルの違いは?

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まずは韓国語とハングルの違いを押さえておきましょう。韓国語は「話し言葉」です。日本語・英語・中国語などと同じく、民族や地域ごとに使われている言語に分類されます。

それに対して、ハングルは「書き言葉」です。つまり話し言葉を表すための文字のことで、日本語でいえばひらがな・カタカナ・漢字、英語でいえばアルファベットに該当します。よって、韓国語を書く際に使われるのはハングルです。

話し言葉としての韓国語は、最初から韓国で使われていました。しかし、実は書き言葉としてのハングル文字が広く使われるようになったのは第二次世界大戦後のことです。

韓国語検定:話し言葉としての韓国語の能力を測る試験

韓国語検定は韓国語能力試験やTOPIK(Test of Proficiency in Korean)とも呼ばれており、認定・主催しているのは大韓民国政府(教育省)です。世界70ヵ国以上の韓国語学習者を対象として、話し言葉としての韓国語の能力を測るために実施されています。

その目的は、韓国語のスキルを学習や留学、就職などのシーンで活用できるようにすることで、日本人以外の韓国語学習者も対象となるため、試験問題の全てが韓国語で書かれているのが特徴です。

ハングル検定:書き言葉としての韓国・朝鮮語の検定試験

次にハングル検定は、日本人向け「書き言葉」としての韓国・朝鮮語検定試験で、日本のハングル能力検定協会が主催しています。これまで約60回開催されてきており、出願者は累計46万人以上という大規模な試験です。

この検定試験は、日本の協会が主催しているため、1級・2級以外の問題は日本語で出題されます。韓国・朝鮮語検定の中で唯一日本語を母国語とする人々を対象とした試験であり、日本人がよく間違えるポイントに焦点を当てて出題することで、韓国語の理解を深めることを目的としているのです。

出題される問題の特徴としては、発音問題翻訳問題などが出されること、また、1級と2級の問題は日本語が使われないことなどが挙げられるでしょう。

韓国語検定とハングル検定の違いをもっと詳しく!

韓国語検定は「話し言葉」としての韓国語の試験で、ハングル検定は「書き言葉」としての韓国・朝鮮語の試験であることが分かりました。次に、さらに踏み込んでより具体的な試験の内容を見ていきましょう。主に試験項目・出題言語と試験の実施回数・有効期限について、その相違点を説明します。

\次のページで「1.試験項目の違い」を解説!/

1.試験項目の違い

韓国語検定は、1級から6級に進むほど難易度が高くなるという特徴があります。1~2級は書き取り問題がなく、内容が比較的やさしいのですが、3~6級になると全て書き取り問題が入ってくるのです。作文が苦手な人は難しく感じることが多いでしょう。

一方、ハングル検定では、5級から1級に進むほど難易度が上がり、最高難度の1級では書き取り問題と面接が行われます。語彙や慣用句などの表現の多さについていえば、ハングル検定の2級以上の方が、韓国語検定の同クラスのものよりも難しく感じられるでしょう。

ここまで見て気付いたかも知れませんが、韓国語検定は級が上がるほど数字が大きくなり(1→6級)、ハングル検定は反対に級が上がるほど数字が小さくなるという違いがあります(5→1級)。この点も覚えておかないと混乱しやすいので、注意して下さい。

2.出題言語と実施回数の違い

次に、出題言語の違いですが、韓国語検定は問題文も韓国語で出題されます。一方、ハングル検定では1級と2級以外は問題文が日本語なので、この点を見れば韓国語検定の方が難易度が高いといえるでしょう。

また、試験の実施回数も異なっています。韓国語検定は年に春・夏・秋の三回実施されますが、ハングル検定は年に二回(春・秋)の実施となっており、韓国語検定の方が試験を受けられる回数が多いことが分かるでしょう。

多く受験できるのはメリットといえますが、そもそも合格すれば受験するのは一度だけで済みます。実施回数は受験するかどうかの基準にするのではなく、万が一不合格になってしまった場合の再チャレンジ可能回数の目安として考えるといいでしょう。

3.有効期限の違い

韓国語検定とハングル検定とでは、資格の有効期限にも違いがあります。韓国語検定は資格取得から2年間が有効期限となり、必要であれば一定期間ごとに受験しなければなりません。一方、ハングル検定は有効期限が存在せず、一度取得すれば永久に有効です。よって、とりあえずいったん資格を取得しておきたいという人にはおすすめといえるでしょう。

韓国語検定とハングル検定のメリットは?

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ここまでで、韓国語検定とハングル検定の概要と具体的な試験の内容について、それぞれの違いを見てきました。次に、この二つの試験は、受験して合格することでどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。ポイントは、韓国語検定は韓国政府主催であり、ハングル検定は日本のハングル能力検定協会による主催であるという点です。

韓国語検定:韓国へ行く際に役に立つ

韓国語検定は、韓国政府公認で世界的にも認められている試験なので、韓国留学や韓国での就職・進学を考えている人は、取得しておくと大きなメリットになるでしょう。またワーキングホリデーを計画中の人や、純粋に韓国語を本格的に学んで実力をつけたいという人にもおすすめです。

実際、韓国では多くの企業が、一定レベル以上の韓国語検定に合格していることを就職試験合格の条件としています。また大学でも受験資格として一定の級以上が求められることも少なくありません。

\次のページで「ハングル検定:就職や進学のアピールポイントになる」を解説!/

ハングル検定:就職や進学のアピールポイントになる

一方、ハングル検定は、日本国内での就職や進学でのアピールポイントになります。ただ、あくまでも主催は日本なので、基本的に日本国内でしか通用しないといってもいいでしょう。海外で、韓国語検定で一定のクラスを持っているというと一目置かれますが、残念ながらハングル検定はそうではないのです。

ただ、韓国語検定とハングル検定は、3級くらいまでのレベルはほぼ同じと言っても過言ではありません。よってハングル検定は力試しとしても十分ですし、繰り返しますが、ハングル検定に合格していると日本国内では一定のアピールポイントになります。

韓国語検定とハングル検定の効果的な勉強法は?

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ここまでの説明で、韓国語検定とハングル語検定の内容や、受験し合格することのメリットなどが理解できたと思います。しかし、もちろんメリットがあるといっても合格しなければ話になりません。以下では、二つの検定を受けるにあたり、どのような勉強法が効果的かを見ていきます。

韓国語検定:日常的に韓国語を使う

韓国語検定は1~2級クラス3~6級クラスの二種類に分かれますが、それぞれ適切な勉強方法があります。まず1~2級の試験では、単語を覚えながら過去問を解くことが大切です。とにかく問題文も韓国語で出されることに注意して勉強して下さい。

一方、3~6級の試験では、同じように単語の暗記と過去問を解くことに注力するのに加えて、日常的にも韓国語を使うことで、語学力に磨きをかけることを心がけましょう。なぜなら3~6級の試験では作文もあるからです。

効果的な勉強法は、作文に備えて日頃から韓国語の文章を書くことに慣れておくことでしょう。最も手軽な方法は日記を書くことで、その際は文章の論理展開に気を付けながら文章作成を行うようにしてください。

ハングル検定:単語をしっかり覚えて実践に進む

ハングル検定は、クラスごとにレベルが大きく異なってくるので、ポイントを押さえて段階的に勉強しましょう。

まず5~4級の試験では、文章の読み方や文法の理解に加えて、とにかく単語を徹底的に暗記することが重要です。このレベルでは、過去問を調べて出題範囲の単語を完全に暗記していけば九割合格するでしょう。

次の3~準2級クラスでは、単語の暗記に加えて実践問題をこなし、スピードの速い複雑な内容のリスニングにも慣れておく必要があります。2級以上はさらに内容が難しくなり、ネイティブでも合格が難しいといわれることもあるので、より広範に韓国語をマスターすることが求められるでしょう。

韓国語検定とハングル検定は目的に合わせて受けよう

韓国語検定は「話し言葉」である韓国語の試験で、韓国政府主催で世界に通用する内容です。一方のハングル検定は、同じ韓国語の試験ではあるものの、試されるのは「書き言葉」の力で、こちらは日本国内で通用する内容と言えます。

純粋に韓国語の力試しをするのならどちらを受けてもいいですが、本場・韓国で勉強内容を役立てたいなら韓国語検定を受けるといいでしょう。一方、日本国内で就職や進学を有利にするのが目的であれば、韓国語検定もハングル語検定も役に立つでしょう。

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雑学

簡単でわかりやすい!韓国語検定とハングル検定の違いは?どちらを受けるべき?試験内容やメリットも雑学好きライターが詳しく解説

1.試験項目の違い

韓国語検定は、1級から6級に進むほど難易度が高くなるという特徴があります。1~2級は書き取り問題がなく、内容が比較的やさしいのですが、3~6級になると全て書き取り問題が入ってくるのです。作文が苦手な人は難しく感じることが多いでしょう。

一方、ハングル検定では、5級から1級に進むほど難易度が上がり、最高難度の1級では書き取り問題と面接が行われます。語彙や慣用句などの表現の多さについていえば、ハングル検定の2級以上の方が、韓国語検定の同クラスのものよりも難しく感じられるでしょう。

ここまで見て気付いたかも知れませんが、韓国語検定は級が上がるほど数字が大きくなり(1→6級)、ハングル検定は反対に級が上がるほど数字が小さくなるという違いがあります(5→1級)。この点も覚えておかないと混乱しやすいので、注意して下さい。

2.出題言語と実施回数の違い

次に、出題言語の違いですが、韓国語検定は問題文も韓国語で出題されます。一方、ハングル検定では1級と2級以外は問題文が日本語なので、この点を見れば韓国語検定の方が難易度が高いといえるでしょう。

また、試験の実施回数も異なっています。韓国語検定は年に春・夏・秋の三回実施されますが、ハングル検定は年に二回(春・秋)の実施となっており、韓国語検定の方が試験を受けられる回数が多いことが分かるでしょう。

多く受験できるのはメリットといえますが、そもそも合格すれば受験するのは一度だけで済みます。実施回数は受験するかどうかの基準にするのではなく、万が一不合格になってしまった場合の再チャレンジ可能回数の目安として考えるといいでしょう。

3.有効期限の違い

韓国語検定とハングル検定とでは、資格の有効期限にも違いがあります。韓国語検定は資格取得から2年間が有効期限となり、必要であれば一定期間ごとに受験しなければなりません。一方、ハングル検定は有効期限が存在せず、一度取得すれば永久に有効です。よって、とりあえずいったん資格を取得しておきたいという人にはおすすめといえるでしょう。

韓国語検定とハングル検定のメリットは?

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ここまでで、韓国語検定とハングル検定の概要と具体的な試験の内容について、それぞれの違いを見てきました。次に、この二つの試験は、受験して合格することでどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。ポイントは、韓国語検定は韓国政府主催であり、ハングル検定は日本のハングル能力検定協会による主催であるという点です。

韓国語検定:韓国へ行く際に役に立つ

韓国語検定は、韓国政府公認で世界的にも認められている試験なので、韓国留学や韓国での就職・進学を考えている人は、取得しておくと大きなメリットになるでしょう。またワーキングホリデーを計画中の人や、純粋に韓国語を本格的に学んで実力をつけたいという人にもおすすめです。

実際、韓国では多くの企業が、一定レベル以上の韓国語検定に合格していることを就職試験合格の条件としています。また大学でも受験資格として一定の級以上が求められることも少なくありません。

\次のページで「ハングル検定:就職や進学のアピールポイントになる」を解説!/

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