簡単で分かりやすい「年次有給休暇」と「有給休暇」の違い!法律上のルールや取得する際のポイントも元塾講師が詳しく解説!
「有給休暇」の時季変更権
「有給休暇」を取りたいと請求してもできない場合があります。事業の正常な運営を妨げる場合、会社は「有給休暇」を別の日に変更するよう命じることが可能です。つまり、その従業員が事業の運営に不可欠であり、かつ代わりの要員を確保するのが難しいとき、会社は変更を命じることができます。これが「時季変更権」です。
ただし、繁忙期だからという理由や人員不足だからという理由で時季変更権を行使することはできません。繁忙期であれば、代わりの人員を確保する努力が必要となります。その上で、会社側は従業員とよく協議する必要があるということですね。
取得理由・取得日数
「有給休暇」は労働者の権利であり、何のために「有給休暇」を使うのかは労働者の自由です。したがって、「有給休暇」の取得にあたり、理由を会社に知らせる必要はありません。もし尋ねられるようなことがあれば「私用のため」と回答すれば十分でしょう。
また、取得する日数ですが、これも制限はありません。ただし、長期になればなるほど、代わりの人員を確保するのが難しくなりますので、会社が時季変更権を行使する可能性もあるでしょう。
会社への届け出についても、「いつまでに」のような制限はありません。極端な話、前日でもよいということになります。しかし、就業規則等に「有給休暇」の取得は〇日前までに、とあればそれに従うのが一般的でしょう。届け出期限が極端でなければ、適法と言えます。
その他の休暇について
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「有給休暇」以外に、労働者が取得できる休暇を紹介しておきましょう。法律で定められた法定休暇なのか、法律の定めがない法定外休暇なのかで有給か無給かなどが決まります。
1.法定休暇
法律で定められている休暇が法定休暇です。「有給休暇」が代表的な休暇。それ以外にも産前休業、産後休業、育児休業、介護休業などがあります。
産前・産後休業は妊娠している女性が出産予定日を基準に産前6週間、産後8週間の休業できるもの、育児休業は1歳未満の子どもがいる父親、母親が最長1年間休業できるもの、介護休業は対象家族1人につき3回まで、通算93日休業できるものです。休業期間中は会社からの給与支給はありませんが、一定の割合でハローワークなど国から経済的な支援が受けられます。
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2.法定外休暇
法定外休暇とは法律で定められた休暇ではなく、会社が任意で設けている休暇のことです。したがって、会社によっていろいろな休暇があるということになります。よく見られるのは、慶弔休暇、病気休暇、夏季休暇、年末年始休暇などですね。法律で付与が義務付けられた休暇ではないため、有給か無給かは会社の裁量となります。
「年次有給休暇」と「有給休暇」は同じもの!
言い方の違いはありますが、「年次有給休暇」と「有給休暇」は同じものです。「有給休暇」は労働者の権利であり、消化できなかった「有給休暇」は繰り越しができるなど、法律でルールが明確にされています。日本はまだまだ「有給休暇」の取得率が高いわけではありませんが、ここ数年は50パーセント超え。政府の目標は70パーセントとなっていますが、皆さんの勤務先ではどうでしょうか。