簡単で分かりやすい「検視」と「検死」の違い!どんなときに実施するの?「検案」や「解剖」も元塾講師が詳しく解説!
「検死」:法律用語ではない
「検死」は法律用語ではなく、明確な定義がありません。「検視」が表面的な調査であるのに対して、「検死」は「検視」「検案」「解剖」と死因などを明らかにするための一連の調査を指すのが一般的のようです。「検案」「解剖」については後述します。
「検視」が必要な例を前述していますが、同様の案件で「検死」が行われるのが一般的です。「検視」は表面的な調査のため半日程度で終わりますが、「検死」は解剖まで含む場合がありますので、犯罪性がなければ1日~2日程度、犯罪性があれば1か月に及ぶ場合もあります。
「検視」の流れ
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医師が死亡診断書を交付できない場合、人が亡くなれば警察などに連絡をしなければなりません。その場合、事件性があるかどうかにかかわらず「検視」が行われます。まず、死亡場所の状況確認や記録、証拠保全を行った上で、警察署の霊安室に遺体を移動。そこで検察官または警察官によって遺体の表面を調査。ここまでが「検視」ですね。
さらに警察が依頼した医師が死因などを明らかにし、事件性がなければ医師が死体検案書を発行し、遺体は遺族に引き渡されます。事件性の疑いがあれば司法解剖に回されますが、司法解剖は死因や死亡推定時刻、死体の損傷などを明らかにすることで事件全体をつかむのが目的です。
なお、刑事訴訟法第229上記に規定されている通り、死因が分からない変死の疑いがあるときは「検視」を行わなければならないとありますので、「検視」は拒否することができません。
「検案」:死因などを判定
「検案」は、医師による死因や死亡推定時刻(死後経過時間)を医学的に判定することです。死体表面の観察、既往症、死亡時の周りの状況などから明らかにしていきます。監察医制度がある地域であれば監察医が、そうでない地域であれば警察から依頼を受けた医師が「検案」を実施。
「検案」も表面的なものであることから限界がありますので、さらに詳しく調べる必要がある場合は「解剖」することとなります。
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