今回は「花オクラ」と「オクラ」の違いを見ていきます。オクラは見たり食べたりしたことがあると思うが、花オクラは初めて聞いたというやつも多いかもしれませんね。2つは名前こそ似ているが別の植物で、花オクラは花を食べる野菜なんです。もともとは和紙づくりにも活用されており、もっぱら食用のオクラとはその点も異なっているな。この先は外食好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

花オクラとオクラの違いとは?

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名前に「オクラ」と付く野菜といえば、花オクラとオクラですね。「オクラの花=花オクラ」と誤って認識されていることもありますが、2つは別の植物です。

花オクラは正式名称を「トロロアオイ」といい、古くは「ネリ」とも呼ばれていました。分類上はオクラと同じ「アオイ目アオイ科」の仲間であることから似た特徴も持っていますが、野菜として食べる部位や、もともとの用途に違いが見られます

花オクラとオクラの違いは食べる部位

花オクラとオクラでは食べる部位が異なります。花オクラは、その名のとおり「花」の部分を食用にし、果実の部分は食べません。一方のオクラは果実を食用にするのが一般的。じつはオクラの花も食べられますが、通常は出回りません。

花オクラとオクラの用途の違い

花オクラとオクラはもともとの用途も異なります。花オクラは元来、和紙作りに使用する添加剤の材料として使用されていました。花オクラの根から採れる粘液が和紙の繊維を均一に分散させて、質のいい和紙を作るのに役立ったといいます。和紙作りに使わない花の部分は捨てられるか、生産地で食用にされることもあったようです。

現在は花を食べる「エディブル・フラワー」として広まり、食味を改良した品種が多くを占めています。一方のオクラは紀元前からもっぱら食用として使用されており、かつての花オクラのような用途はありませんでした。

花オクラとは?

花オクラとオクラの違いに着目してきましたが、そもそも花オクラとはどういう植物なのでしょうか。あまり流通することがない野菜のため、詳しく知らない方も多いはず。植物としての特徴や旬などを確認しながら、花オクラについて理解を深めていきましょう

\次のページで「花オクラの植物としての特徴」を解説!/

花オクラの植物としての特徴

花オクラは中国原産で、「アオイ目アオイ科アオイ亜科トロロアオイ属」の多年草です。花は直径10~20cmと大きく、花弁の大部分はレモンイエロー、中心部は濃い紫色をしています。背丈は1.5m以上まで伸び、茎には堅く細いトゲがあるため、素手で触るには注意が必要です。オクラに似た果実をつけますが、サイズが小さくて産毛も硬く、食用には向きません

花オクラの旬と産地

花オクラの旬は7~9月の夏の時期。日差しの強い時期に美しい色の大きな花が咲くのは壮観です。特徴的な産地はありませんが、農家さんが他の野菜と並行して育てたり、一般の方が家庭菜園で育てたりすることが多いといいます。

オクラとは?

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花オクラの次は、オクラについても詳しく確認していきましょう。輪切りにすると星型になる形に対し、子供の頃には不思議に感じた方もいるのではないでしょうか。じつは断面が星型でないオクラの種類も存在します

オクラの植物としての特徴

オクラはアフリカ北東部が原産地で、「アオイ目アオイ科フヨウ連トロロアオイ属」の多年草です。2mほどの背丈に成長し、花オクラに似た花をつけます。葉弁はレモンイエローで中心部は紫色と、配色や全体の形はほぼ同じですが、直径は5~10cmほどで、花オクラの半分ほどの大きさです。

オクラの実は先端が上を向くように成長し、5~30cm程度の食べごろの大きさになれば収穫されます。オクラには様々な種類があり、もっとも一般的で断面が星型の「角オクラ」、断面がほぼ丸型で全長が長い「島オクラ」や「八丈オクラ」、白い「白オクラ(ヘルシエ)」、短くてずんぐりした形の「ダビデの星」、色が赤い「赤オクラ」などが流通しています。

オクラの旬と産地

国産のオクラは4月ごろから収穫が始まり、6~8月に旬を迎えます。それ以外の時期に店頭に並ぶのは海外産のオクラです。国産のオクラは鹿児島県が最大の産地で全体の約40%を占め、高知県が16%、沖縄県が11%と続きます(2018年時点)。海外ではアメリカ合衆国の南部やカリブ海周辺、ブラジル北部で多く生産され、日本への輸入品はタイ産やベトナム産が中心です。

花オクラの簡単レシピ

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短い時期にしか食べられない貴重な花オクラを使った2つのレシピをご紹介します。花オクラは加熱すると粘り気が出て、夏の時期にはのど越しのよさがぴったり。販売される量も少ないため、見つけたらぜひ購入して試してみてくださいね。

\次のページで「1.花オクラのおひたし」を解説!/

1.花オクラのおひたし

美しい花びらを食感よく食べられるおひたしのレシピです。

【材料】2人分
・花オクラ…5個前後
・ポン酢…お好みの量
・鰹節…お好みの量

【作り方】
1.花オクラの花びらを1枚ずつ切り離し、水で軽く洗う。
2.鍋にお湯を沸かし、花びらを入れて10~15秒ほど茹でる。
3.冷水でよく冷やす。
4.水気を絞り、ポン酢と鰹節をかけたら完成。

2.花オクラの天ぷら

花オクラの香りと衣のサクサク感を味わえる天ぷらのレシピです。

【材料】2人分
・花オクラ…3個
・天ぷら粉…適量
・水…適量

【作り方】
1.花オクラの花びらを1枚ずつ切り離し、水で軽く洗う。
2.花びらの水気をキッチンペーパーでしっかりふき取る。
3.使用する天ぷら粉の説明書き通りに、粉と水を混ぜる。
4.花びらに衣をつけ、170度の油でサクッとするまで揚げたら完成。お好みで塩や天つゆをつけて食べる。

花オクラを見つけたら食べてみよう!

名前こそ似ているものの、花オクラとオクラは別の植物。花オクラは花を食べ、オクラは果実を食べるという点で大きく異なり、それぞれ特徴的な味わいがあります。特に花オクラは、初めて見る方にとっては食べるのを躊躇したり、食べ方が分からなかったりすることもあるかもしれませんが、レシピ通りに調理すればおいしく食べられますよ。夏の旬の味覚をぜひ味わってみてくださいね。

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雑学食べ物・飲み物

「花オクラ」と「オクラ」の最大の違いは食べる部位!おひたしや天ぷらの簡単レシピも外食好きライターがわかりやすく解説

今回は「花オクラ」と「オクラ」の違いを見ていきます。オクラは見たり食べたりしたことがあると思うが、花オクラは初めて聞いたというやつも多いかもしれませんね。2つは名前こそ似ているが別の植物で、花オクラは花を食べる野菜なんです。もともとは和紙づくりにも活用されており、もっぱら食用のオクラとはその点も異なっているな。この先は外食好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

花オクラとオクラの違いとは?

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名前に「オクラ」と付く野菜といえば、花オクラとオクラですね。「オクラの花=花オクラ」と誤って認識されていることもありますが、2つは別の植物です。

花オクラは正式名称を「トロロアオイ」といい、古くは「ネリ」とも呼ばれていました。分類上はオクラと同じ「アオイ目アオイ科」の仲間であることから似た特徴も持っていますが、野菜として食べる部位や、もともとの用途に違いが見られます

花オクラとオクラの違いは食べる部位

花オクラとオクラでは食べる部位が異なります。花オクラは、その名のとおり「花」の部分を食用にし、果実の部分は食べません。一方のオクラは果実を食用にするのが一般的。じつはオクラの花も食べられますが、通常は出回りません。

花オクラとオクラの用途の違い

花オクラとオクラはもともとの用途も異なります。花オクラは元来、和紙作りに使用する添加剤の材料として使用されていました。花オクラの根から採れる粘液が和紙の繊維を均一に分散させて、質のいい和紙を作るのに役立ったといいます。和紙作りに使わない花の部分は捨てられるか、生産地で食用にされることもあったようです。

現在は花を食べる「エディブル・フラワー」として広まり、食味を改良した品種が多くを占めています。一方のオクラは紀元前からもっぱら食用として使用されており、かつての花オクラのような用途はありませんでした。

花オクラとは?

花オクラとオクラの違いに着目してきましたが、そもそも花オクラとはどういう植物なのでしょうか。あまり流通することがない野菜のため、詳しく知らない方も多いはず。植物としての特徴や旬などを確認しながら、花オクラについて理解を深めていきましょう

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