簡単でわかりやすい!縁側と濡縁の違いとは?語源やテラス・ベランダとの違いも現役塾講師がわかりやすく解説
ライター/空野きのこ
大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。
濡縁は「ぬれえん」と読む!
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まずはじめに、「濡縁」の読み方について説明しましょう。「濡縁」は「ぬれえん」と読みます。昔と比べると最近では和風の住宅も減り、「濡縁」などのない家も多いことからか、耳なじみのない言葉かもしれませんね。ちなみに、表記の仕方については、「濡縁」以外に「濡れ縁」や「ぬれ縁」などと書かれることもあります。
縁側と濡縁のざっくりした違い
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今度は「縁側」と「濡縁」のざっくりした違いについて説明しましょう。「縁側」が部屋と庭との間にある、日本建築特有の板張りでできた通路全般を指すのに対して、「濡縁」は「縁側」の中でも、建物からせり出すかたちで作られたもの、つまり建物の外にある縁側のことです。といっても、これだけの説明では理解するのが難しいと思うので、今回はそれをていねいに説明していきたいと思います。
縁側と濡縁の語源を説明
さきほど、「縁側」は日本家屋において、部屋と庭との間にある通路全般のことを指すのに対し、「濡縁」は「縁側」の中でも、建物からせり出すかたちで作られたもののことだと説明しましたが、ここからは「縁側」と「濡縁」について、より理解を深めるためにそれぞれの語源について説明したいと思います。
「縁側」は部屋の「ふち」のこと
まずは「縁側」の語源について説明しましょう。「縁側」の「縁」は、物の「ふち」や「へり」を意味する漢語(中国由来の日本語のこと)で、平安時代までは、今で言う「縁側」のことを家、あるいは座敷の「ふち」ということで、単に「縁(えん)」と呼んでいました。
やがて室町時代に、物のふちや側面のことを「側(がわ)」と言うようになり、江戸時代になって、この「縁」と「側」が結びついて「縁側」と言うようになったと言います。また、一般的に「縁側」と言うと、雨戸や窓の内側につくられている「くれ縁(くれえん)」とも呼ばれるかたちのものを指すことが多く、国民的アニメ「サザエさん」の磯野家の縁側もこのタイプです。
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「濡縁」は濡れる縁側
つづいて「濡縁」について説明したいと思います。「濡縁」とはさきほど説明したとおり、建物からせり出すかたちで作られ、建物の外にある縁側です。ですので、雨が降ったときにはそれを避ける壁などがなく、当然雨に濡れてしまいますよね。そこから、「濡れてしまう縁側」ということで、「濡縁」と呼ぶようになったのです。
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