この記事ではあんぽ柿と市田柿の違いについてみていきます。どちらも干し柿で、柿を乾燥させて食べるものを指すぞ。しかし、この2つは乾燥の具合、味や触感、産地が違うなど調べてみるといろいろあるみたいです。
今回はそんな干し柿の代表格であるあんぽ柿と市田柿について、農業高校卒ライターいずなんと一緒に解説していきます。

ライター/いずなん

農業高校で柿について学習した知識を活かして、記事を執筆する。また、得意のリサーチで、徹底的に調べ上げ、正確な情報を発信。

違いその1.特徴

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あんぽ柿と市田柿は、同じ柿でもどのように違いがあるのでしょうか。まずは、この2つの柿の特徴について紹介していきましょう。

あんぽ柿:硫黄で燻製する

あんぽ柿は、硫黄で燻蒸された干し柿であり、ドライフルーツの一種です。独特な製法により、ジューシーな食感を保ちながら長期保存が可能。あんぽ柿は、通常の干し柿とは異なる製法で作られます。通常の干し柿は完全に乾燥させて硬くなりますが、あんぽ柿は半分生のような食感が特徴で、人気を獲得。

また、長期保存のために硫黄で燻蒸されます。硫黄は乾燥中に揮発するため、毒性の心配はありません。あんぽ柿の原料としては、蜂屋柿や平核無などの渋柿が主に使用されます。蜂屋柿は大粒で柔らかく、平核無は小粒で甘みが強いのが特徴。

これらの渋柿を硫黄で燻蒸して作られることで、あんぽ柿の独特な風味や味わいが生まれます。

市田柿:小ぶりで美しい

市田柿は、日本の長野県で栽培されている柿の品種であり、美しい見た目ともっちりとした食感、上品な甘味をもっています。市田柿は、きめの細かい白い粉が覆っているオレンジ色の果実で、見た目が美しいです。

また、口に入れるともっちりとした食感と上品な甘味が感じられ、自然の甘さを持っている特徴があります。さらに、市田柿はころ柿のタイプであり、生柿に比べて干し上げられる割合が1/4程度です。市田柿は、古くから日本人に愛される味わいとして親しまれてきました。小ぶりな果実であり、干し柿としても串柿などに比べて硬めの特徴があります。

栄養価も高く、ポリフェノールの含有量は100グラム中で250ミリグラムと干しぶどう(赤)の3倍近くです。

\次のページで「違いその2.味と食感」を解説!/

違いその2.味と食感

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次に、味と食感について見ていきましょう。あんぽ柿と市田柿は、同じ干し柿ですが、その味と食感は全く異なります。それぞれの特徴を具体的に見ていきましょう。

あんぽ柿:ジューシーで濃厚な甘み

あんぽ柿は、干し柿とは異なり水分量が多く、トロッとした食感と羊羹のような甘さが特徴です。干し柿に比べて皮も中身も柔らかく、濃厚な甘さを持ち、食感はゼリーや羊羹に例えられます。

あんぽ柿は水分量が50%前後と干し柿よりも多く、それによってゼリーのような特別な食感を実現。あんぽ柿は干し柿よりも甘みがあり、ジューシーな味わいが楽しめます。また、乾燥しても柔らかさが残り、さまざまな食べ方が可能。菓子や漬け物を作る際には砂糖を加えて練り込むことで自然な甘さと良い香りを楽しむことができます。

市田柿:もっちりとした食感と上品な甘味

市田柿は、鮮やかな飴色の果肉を持ち、もっちりとした食感と上品な甘味が特徴です。干すことによって味が凝縮され、水分が抜けて果肉はしっかりとした食感を持ちます。甘みもより引き立ち、柿本来の風味を楽しむことが可能。

この特徴的な食感と上品な甘味は、長い間日本人に愛されてきた味わいです。市田柿は、干し柿の代表的な品種であり、日本の伝統的な食文化に根付いています。

市田柿のもっちりとした食感と上品な甘味は、お茶うけやスイーツだけでなく、栄養価も高く、健康にも良い食材として有名。その独特の味わいは、多くの人々に喜ばれており、幅広い料理やお菓子に活用されています。

 

違いその3.産地と生産量

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どちらも有名な柿で、伝統的な特産品として扱われています。どこで生産されているのか詳しく見ていきましょう。

あんぽ柿:福島県伊達市

あんぽ柿は福島県伊達市で生産されており、その地域の経済を支える重要な産業です。農林水産省のデータによれば、福島県の干柿の生産量は3,073トンで、そのうちあんぽ柿の生産量は少なくとも1,207トン。

伊達市は阿武隈川の肥沃な大地と昼夜の寒暖の差があるため、果樹栽培が盛んに行われています。また、伊達市・伊達郡などでは冬期に出稼ぎ労働者が少ないため、あんぽ柿の生産が地域の経済を支える重要な産業です。

\次のページで「市田柿:長野県下伊那郡」を解説!/

市田柿:長野県下伊那郡

市田柿は長野県下伊那郡高森町の地域で栽培されており、長野県の干し柿生産の主力品種となっています。長野県は干し柿の出荷量が全国一位であり、その中でも市田柿は高森町を中心に栽培。また、天竜川沿岸の標高400〜700mの地域が市田柿の主な栽培地となっています。「市田柿」は、長野県飯田市、長野県下伊那郡の飯島町および中川村で栽培されている渋柿品種です。

長野県は干し柿の生産量・出荷量ともに日本一であり、市田柿はそのほとんどを占めています。

違いその4.調理方法とレシピ

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ここからは、あんぽ柿と市田柿の調理方法やレシピについて見ていきましょう。どちらも甘さを活かした調理方法で、デザートやお菓子のレシピが豊富。それでは、具体的に見ていきましょう。

あんぽ柿:パウンドケーキや生ハム巻き

あんぽ柿は干し柿とは異なる水分量や食感、甘み、ジューシーさがあるため、干し柿とは異なる味わいを楽しめます。あんぽ柿を使ったパウンドケーキや生ハム巻き、なますなど、様々なレシピが有名。あんぽ柿を使ったレシピを以下に紹介します。

あんぽ柿を使ったレシピ
・あんぽ柿のパウンドケーキ
パウンドケーキ生地にあんぽ柿を加えて焼き上げた、鮮やかなオレンジ色が特徴的なケーキです。

・あんぽ柿とクリームチーズの生ハム巻き
生ハムにクリームチーズとあんぽ柿を巻いた、簡単でおしゃれな前菜です。

・あんぽ柿のなます
あんぽ柿、大根、にんじんをせん切りにして、酢と砂糖で和えた、福島県の伝統的な郷土料理です。

市田柿:チーズケーキやプリン

市田柿は、天然の甘味料としても使われるため、砂糖の代わりに使うこともできます。市田柿を使ったチーズケーキやプリン、タルト、アイスクリーム、マフィンなど、様々なレシピが有名。市田柿を使ったレシピを以下に紹介します。

市田柿を使ったレシピ
・市田柿のチーズケーキ
クリームチーズと市田柿を使った、濃厚で甘いチーズケーキです。

・市田柿のプリン
牛乳、卵、砂糖、市田柿を使った、なめらかで濃厚なプリンです。

・市田柿のタルト
タルト生地に市田柿のジャムを塗り、市田柿の果肉をのせた、甘くてフルーティーなタルトです。

・市田柿のアイスクリーム
牛乳、生クリーム、砂糖、市田柿を使った、濃厚でなめらかなアイスクリームです。

・市田柿のマフィン
バター、砂糖、卵、市田柿を使った、しっとりとした食感が特徴的なマフィンです。

あんぽ柿と市田柿の特徴を理解して、味の違いを楽しもう

どちらも日本の代表的な柿の品種で、それぞれ異なる特徴と個性を持っています。あんぽ柿はジューシーでトロッとした食感、濃厚な甘さが特徴であり、市田柿はもっちりとした食感と上品な甘みが楽しめますよ。両方の柿を味わってみて、それぞれの違いを楽しんでみませんか。

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雑学

簡単で分かりやすい!あんぽ柿と市田柿の違いとは?特徴や味、栽培地、レシピも農業高校卒ライターが詳しく解説

この記事ではあんぽ柿と市田柿の違いについてみていきます。どちらも干し柿で、柿を乾燥させて食べるものを指すぞ。しかし、この2つは乾燥の具合、味や触感、産地が違うなど調べてみるといろいろあるみたいです。
今回はそんな干し柿の代表格であるあんぽ柿と市田柿について、農業高校卒ライターいずなんと一緒に解説していきます。

ライター/いずなん

農業高校で柿について学習した知識を活かして、記事を執筆する。また、得意のリサーチで、徹底的に調べ上げ、正確な情報を発信。

違いその1.特徴

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あんぽ柿と市田柿は、同じ柿でもどのように違いがあるのでしょうか。まずは、この2つの柿の特徴について紹介していきましょう。

あんぽ柿:硫黄で燻製する

あんぽ柿は、硫黄で燻蒸された干し柿であり、ドライフルーツの一種です。独特な製法により、ジューシーな食感を保ちながら長期保存が可能。あんぽ柿は、通常の干し柿とは異なる製法で作られます。通常の干し柿は完全に乾燥させて硬くなりますが、あんぽ柿は半分生のような食感が特徴で、人気を獲得。

また、長期保存のために硫黄で燻蒸されます。硫黄は乾燥中に揮発するため、毒性の心配はありません。あんぽ柿の原料としては、蜂屋柿や平核無などの渋柿が主に使用されます。蜂屋柿は大粒で柔らかく、平核無は小粒で甘みが強いのが特徴。

これらの渋柿を硫黄で燻蒸して作られることで、あんぽ柿の独特な風味や味わいが生まれます。

市田柿:小ぶりで美しい

市田柿は、日本の長野県で栽培されている柿の品種であり、美しい見た目ともっちりとした食感、上品な甘味をもっています。市田柿は、きめの細かい白い粉が覆っているオレンジ色の果実で、見た目が美しいです。

また、口に入れるともっちりとした食感と上品な甘味が感じられ、自然の甘さを持っている特徴があります。さらに、市田柿はころ柿のタイプであり、生柿に比べて干し上げられる割合が1/4程度です。市田柿は、古くから日本人に愛される味わいとして親しまれてきました。小ぶりな果実であり、干し柿としても串柿などに比べて硬めの特徴があります。

栄養価も高く、ポリフェノールの含有量は100グラム中で250ミリグラムと干しぶどう(赤)の3倍近くです。

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