医療の現場では「医療従事者」や「医療関係者」と呼ばれる人が活躍していますね。「医療従事者」や「医療関係者」はどちらも医療に関わる人を表す言葉ですが、厳密な意味は違うみたいです。
この記事では、「医療従事者」と「医療関係者」の意味の違いや該当する職種、それら職種のなり方について、言葉の使い方にこだわるビジネス文書熟練者の西風と一緒に解説していきます。

ライター/西風

企業にて10年以上にわたりビジネスパーソンとの交流や企画書・論文作成を経験。現在は後進育成にも注力。文章のわかりやすさはもちろん、言葉の意味や使い方にもこだわり、わかりやすく正確な情報をお届け。

「医療従事者」と「医療関係者」の違いとは?

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「医療従事者」と「医療関係者」は、どちらも医療に関わる人たちを表す言葉です。「医療従事者」と「医療関係者」は同じような意味を持った言葉で、正確な定義は存在していません。厚生労働省は「医療関係従事者」と表記していることもあり、「医療従事者」と「医療関係者」の違いはあいまいです。

しかし、一般的には「医療従事者」と「医療関係者」は違う意味で用いられています。それぞれの意味について、違いに着目しながら詳しく見ていきましょう。

「医療従事者」は医療に従事する人

「医療従事者」はその言葉が示すとおり、“医療”に“従事”する人を表しています。医療現場で働く人であれば、すべての人を「医療従事者」といえるでしょう。たとえば、医師や歯科医師、看護師、薬剤師のように医療に直接関わる国家資格を持つ専門職は間違いなく「医療従事者」です。その他にも、医療事務や清掃員なども医療現場で働くため、「医療従事者」といえるでしょう。

「医療従事者」は、狭義の意味では医師や歯科医師のような医療に関わる専門職として働く人を表しますが、広義の意味では医療現場で働く人全般を表します。

「医療関係者」は医療に関わる専門資格を有する人

「医療関係者」は、”医療”に直接”関係”する人を表しています。医療に関わる専門資格を有して医療機関で働く人が「医療関係者」といえるでしょう。たとえば、医師や歯科医師、看護師、薬剤師のような国家資格を有するものであれば、「医療関係者」に該当します。

ただし、医療に関わる国家資格を有する人すべてを表すわけではなく、厚生労働省が定める職種のみを表す言葉であることに注意が必要です。

「医療関係者」に該当する職種とは

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「医療関係者」は医療関連の専門職であることを説明しました。「医療関係者」に該当する専門職は厚生労働省により定められており、その職種と人数が統計データとして公表されています。統計データとして公表されている「医療関係者」に該当する職種は以下のとおりです。

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・医師
・歯科医師 
・薬剤師
・保健師
・助産師
・看護師
・准看護師
・理学療法士(PT:Physical Therapist)
・作業療法士(OT:Occupational Therapist)
・視能訓練士
・言語聴覚士
・義肢装具士
・診療放射線技師
・臨床検査技師
・臨床工学技士
・就業歯科衛生士
・就業歯科技工士
・就業あん摩マッサージ指圧師
・就業はり師
・就業きゅう師
・就業柔道整復師
・救急救命士

上記は基本的に、国家試験を合格した人だけがなれる医療に関する専門職種です。准看護師のみ、国家試験ではなく都道府県の試験に合格することでなれます。

身近な「医療従事者」の仕事内容となるために必要なこと

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「医療関係者」になるためには、基本的に国家試験を合格しなければならないのは、先ほど紹介したとおりです。ここからは、身近な「医療従事者」である医療事務と介護士の仕事内容と、それらの職種につくために必要なことについて紹介します。

1.医療事務の仕事内容となるために必要なこと

医療事務は、医療機関における事務全般を担う職種です。医療事務には主に以下のような仕事があります。

・窓口業務:患者の受付や会計などを窓口で行う業務
・レセプト業務:診察内容に基づく保険点数を計算し、保険者に保険請求を行う業務
・クラーク業務:医師の診察をスムーズに行うための準備などを行う秘書業務

医療事務になるのに国家資格などの専門資格は必要ありません。しかし、保険制度や診療報酬制度に関する専門知識が必要なため、それらの知識が業務を行ううえで求められます。専門知識がなくても従事しながら学ぶことを条件に採用する医療機関もありますが、事前に知識を持っていたほうが採用に有利です。

そのため、医療事務になるなら医療事務の専門学校や通信教育などで学習し、医療事務に関する民間資格を取得しておくとよいでしょう。民間資格であっても、保険制度や診療報酬制度などの専門知識を有している証明になります。

2.介護士の仕事内容となるために必要なこと

介護士という職種は、正式名称ではなく明確な定義もありませんが、一般的には介護に関わる仕事に携わる人を表しています。主な仕事内容は、高齢者など要介護者を対象とした介護や生活援助などです。資格などなくても介護士として介護の仕事を行えますが、以下の資格があれば介護士としての活躍の場が広がります。

・介護職員初任者研修:国家資格ではないが厚生労働省の認定を受けた資格で、身体介護などが任せられるようになる
・介護福祉士:国家資格で、さまざまな生活行為・生活動作を支援し、支える知識と技術を有することを表す

介護職員初任者研修は、130時間のカリキュラムを受講し、修了試験に合格すると取得可能です。受講資格はないため、誰でも取得できます。一方、介護福祉士を取得するさまざまで、方法は以下のとおりです。

・指定養成施設を卒業し、介護福祉士国家試験に合格
・介護業務に3年以上従事して実務者研修を修了し、介護福祉士国家試験に合格
・高校などで福祉に関する所定の教科目および単位数を修めて卒業し、介護福祉士国家試験に合格

介護福祉士の国家試験受験は、必ずしも専門学校の卒業を必要としません。実務をとおして十分な知識を身につければ国家試験を受験でき、合格すれば介護福祉士になれます。

医療に関わる職種の範囲が異なると認識しよう

「医療従事者」と「医療関係者」の違いについて詳しく見てきました。「医療従事者」と「医療関係者」はともに医療に関わる職種であることは同じです。しかし、「医療従事者」は医療現場で働く人全般を表し、「医療関係者」は医療に関する専門職で厚生労働省が定めた人を表す点が異なります。また、医療事務や介護士といった「医療従事者」は無資格でもなれますが、業務を行ううえで専門知識が必須のため、専門知識を学習して資格を取っていたほうが採用時に有利であることがわかりました。同じような意味の言葉でもそれぞれ詳細は異なる…詳しく調べるほどに日本語の面白さを感じずにはいられませんね。

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3分で簡単にわかる「医療従事者」と「医療関係者」の違い!意味や職種・なり方もビジネス文書熟練者が詳しく解説!

医療の現場では「医療従事者」や「医療関係者」と呼ばれる人が活躍していますね。「医療従事者」や「医療関係者」はどちらも医療に関わる人を表す言葉ですが、厳密な意味は違うみたいです。
この記事では、「医療従事者」と「医療関係者」の意味の違いや該当する職種、それら職種のなり方について、言葉の使い方にこだわるビジネス文書熟練者の西風と一緒に解説していきます。

ライター/西風

企業にて10年以上にわたりビジネスパーソンとの交流や企画書・論文作成を経験。現在は後進育成にも注力。文章のわかりやすさはもちろん、言葉の意味や使い方にもこだわり、わかりやすく正確な情報をお届け。

「医療従事者」と「医療関係者」の違いとは?

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「医療従事者」と「医療関係者」は、どちらも医療に関わる人たちを表す言葉です。「医療従事者」と「医療関係者」は同じような意味を持った言葉で、正確な定義は存在していません。厚生労働省は「医療関係従事者」と表記していることもあり、「医療従事者」と「医療関係者」の違いはあいまいです。

しかし、一般的には「医療従事者」と「医療関係者」は違う意味で用いられています。それぞれの意味について、違いに着目しながら詳しく見ていきましょう。

「医療従事者」は医療に従事する人

「医療従事者」はその言葉が示すとおり、“医療”に“従事”する人を表しています。医療現場で働く人であれば、すべての人を「医療従事者」といえるでしょう。たとえば、医師や歯科医師、看護師、薬剤師のように医療に直接関わる国家資格を持つ専門職は間違いなく「医療従事者」です。その他にも、医療事務や清掃員なども医療現場で働くため、「医療従事者」といえるでしょう。

「医療従事者」は、狭義の意味では医師や歯科医師のような医療に関わる専門職として働く人を表しますが、広義の意味では医療現場で働く人全般を表します。

「医療関係者」は医療に関わる専門資格を有する人

「医療関係者」は、”医療”に直接”関係”する人を表しています。医療に関わる専門資格を有して医療機関で働く人が「医療関係者」といえるでしょう。たとえば、医師や歯科医師、看護師、薬剤師のような国家資格を有するものであれば、「医療関係者」に該当します。

ただし、医療に関わる国家資格を有する人すべてを表すわけではなく、厚生労働省が定める職種のみを表す言葉であることに注意が必要です。

「医療関係者」に該当する職種とは

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「医療関係者」は医療関連の専門職であることを説明しました。「医療関係者」に該当する専門職は厚生労働省により定められており、その職種と人数が統計データとして公表されています。統計データとして公表されている「医療関係者」に該当する職種は以下のとおりです。

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