
3分で簡単にわかる「訴追」と「起訴」の違い!「訴訟」「提訴」「告訴」「公訴」との違いもビジネス文書熟練者が詳しく解説!
この記事では、「訴追」と「起訴」の意味の違いや「提訴」「告訴」「公訴」などの似た言葉との違いについて、言葉の使い方にこだわるビジネス文書熟練者の西風と一緒に解説していきます。

ライター/西風
企業にて10年以上にわたりビジネスパーソンとの交流や企画書・論文作成を経験。現在は後進育成にも注力。文章のわかりやすさはもちろん、言葉の意味や使い方にもこだわり、わかりやすく正確な情報をお届け。
「訴追」と「起訴」の違いとは?

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「訴追」と「起訴」は、どちらも検察官が刑事裁判を起こすときに使われる言葉です。「訴追」と「起訴」は同じような意味を持った言葉ですが、本来の意味は異なります。「訴追」と「起訴」の意味について、それぞれの違いに着目しながらくわしく見ていきましょう。
「訴追」とは刑事裁判を起こして遂行すること
「訴追」には3つの意味があります。1つ目が検察官が刑事事件について公訴を提起して遂行こと、2つ目が弾劾の申立をして裁判官や人事官の罷免を求めること、3つ目が検事総長などが司法警察職員に対する懲戒処分を求めることです。本記事では、裁判に関わる言葉として、1つ目の検察官が刑事事件について公訴を提起して遂行ことに的を絞って説明します。
上記の通り、「訴追」は検察官が刑事裁判を起こして遂行ことのみに使われる言葉です。「訴追」は一般人が起こす民事裁判に使われることはありません。
「起訴」とは刑事裁判を起こすこと
刑事事件で検察官が裁判所に公訴を提起することが「起訴」です。「訴追」は検察官が刑事事件について公訴を提起して遂行することを表しますが、「起訴」はこのうち公訴を提起する部分にのみ該当します。
そのため、「起訴」したものを遂行することの有無が、「訴追」と「起訴」の違いです。「起訴」も検察官だけが持つ権利であり、一般人による「訴訟」には用いられないので注意しましょう。
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「訴訟」とは裁判を起こすこと
「訴訟」は訴え出ることや裁判を申し立てることを表す言葉です。「訴追」が検察官のみに適応される言葉であることに対し、「訴訟」を起こす人は限定されていません。検察官以外の一般人でも「訴訟」を起こすことは可能です。また、「訴追」は刑事裁判のみに適応される言葉に対し、「訴訟」は刑事裁判・民事裁判ともに適応されます。
「提訴」とは「訴訟」を起こすこと

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「提訴」は「訴訟」を起こすことを表す言葉です。民事裁判や刑事裁判を起こすときに「提訴」が使われます。次に説明する「起訴」と区別するため、民事裁判を起こすときに「提訴」という言葉が使われるのが一般的です。たとえば、不当解雇や離婚による財産分与など、当事者同士では解決しない問題があるとき、裁判所へ「提訴」して解決をはかります。
「告訴」とは事件の被害者などが「訴追」を求めること
「告訴」とは、事件の被害者やその法定代理人などが捜査機関に対して犯罪事実を申告して「訴追」を求めることです。「告訴」には犯人の処罰を求めるといった意志が含まれます。「告訴」を警察が受けた場合、書類や証拠物などを検察官に送付しなければなりません。
その書類や証拠物をもとに検察官は「起訴」または不起訴を判断。「起訴」となった場合には、刑事事件として公訴が提起され、「訴追」になります。
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「公訴」とは事件の被疑者を刑事裁判にかけることを求めること
「公訴」とは、刑事事件において検察官が裁判所に対し、事件の被疑者を裁判にかけることを求めることです。「訴追」の意味に「公訴」を提起するとあることから、「公訴」は「訴追」の一部であることがわかります。また、「公訴」を提起することが「起訴」でもあるので、こちらもほぼ同一の意味と考えてよいでしょう。
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