この記事では「トランスジェンダー」と「性同一性障害」の違いについてみていきます。両者とも性的マイノリティを意味する言葉です。特に、性的自認と身体的性が異なる場合に使われる言葉でもあるようです。両者の違いをみていくためには、外科的手術によって性の一致を望むかどうかという点が重要になってくるぞ。今回はそんな性的マイノリティを表す言葉の定義について、LGBTQやダイバーシティという取り組みについてまで見ていきながら雑学好きライターyukoと一緒に解説していきます。

ライター/yuko

工事会社勤務9年目。心に浮かんだもやもやを言語化することでストレス発散をはかる現役OLライター。読書が趣味で、日々様々な言葉に触れている。最近は、言葉の持つ意味を理解して文章をより豊かに読み進めていく丁寧な読書を心がけている。

トランスジェンダーの一つの枠組みが性同一性障害

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トランスジェンダーとは、性的自認と身体的性が異なる人のことをさしています。具体的には、身体的特徴は男性であっても性的に自認している性は女性である人、反対に身体的特徴が女性、性的な自認が男性である人のことですね。

そんなトランスジェンダーのなかでも、外科的手術によって性の一致を望む人のことを特に「性同一性障害」と表現されるんだそう。ここからくわしくみていきましょう。

トランスジェンダー:性的自認と身体的性が異なる

トランスジェンダーとは、性的自認と身体的性が異なる人のこと。つまり、こころの性とからだの性が一致していない人のことをさしています。具体的には、身体的特徴は男性であっても心の性は女性だと認識している人のことをMtFといったり、反対に身体的特徴が女性で心の性が男性である人のことをFtMといったりしますね。

MtFは「Male to Female」の略で、FtMは「Female to Male」の略です。また、トランスジェンダーのなかにはXジェンダーと呼ばれる性もあり、これは性自認が男性でも女性でもない、または男性でも女性でもある人、日によって性自認が異なる人、中性の人のことなどをさすんだそう。

性同一性障害:トランスジェンダーのなかでも外科的手術によって性の一致を望む

性同一性障害は医学用語ではGID(Gender Identity Disorder)と表され、性自認と身体的性が一致しないトランスジェンダーのなかでも、特に外科的手術によって、身体的特徴も自身の性自認と一致させることを望む症状を持つ人のことをさしています。

性同一性障害を「障害」だと表記することには賛否両論ありますが、「障害」という表現を使用することで外科的手術を行うことができるという考え方もあるんだそう。

LGBTQとの違いは?

LGBTQとは、同性を好きになる女性レズビアン(Lesbian)、同性を好きになる男性ゲイ(Gay)、両性を好きになるバイセクシャルBisexual)、そして性自認と身体的性が異なるトランスジェンダー(Transgender)、自身の性自認や性的指向が定まっていないクエスチョニング(Questioning) の頭文字をとったものです。

性自認と性的指向を合わせた性的マイノリティ、つまり性的少数者をさす言葉となります。

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世界や日本の性的マイノリティーへの取り組み

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ここからは同性婚をはじめとした、性的マイノリティに対する社会的な活動について世界各国の動きや、日本での施策について比較しながらみていきましょう。

世界各国の取り組みは?

性的マイノリティへの世界各国の取り組みとして、「同性婚」や「パートナーシップ」を基準にみていくと、アメリカでは2022年同性婚を合法化する「結婚尊重法案」が可決されました。また、世界各国をみてみると1989年にデンマークで「登録パートナーシップ法」がつくられ、2001年オランダで「同性婚」が認められるようになったんだそう。

2020年の時点では世界29の国や地域で同性婚が認められています。

日本の取り組みは?

日本では2023年現在「同性婚」を認める法律はありません。ただし、地方自治体や企業の取り組みによって「同性パートナー」を認める動きが近年広がってきているんだそう。

例えば、2015年には渋谷区や世田谷区で「同性パートナー証明書」を発行し、その関係を承認する制度がはじまり、続いて北海道札幌市や三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市などでも同様の制度が施行されることとなっています。また、2022年11月1日には東京都でも「東京都パートナーシップ宣誓制度」の運用が始まりました。

ダイバーシティ:社会的な活動例をご紹介

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ダイバーシティとは日本語では「多様性」と訳され、現代の日本では特に社会や組織、グループなどで多様な人材を登用しようという取り組みのことをさしています。ここからは具体的な社会背景や取組みについてご紹介していきましょう。

性的マイノリティの人口は?

ダイバーシティの取り組みが進む背景には、芸能人やインフルエンサーの発信をとおして、性的マイノリティという悩みを抱える人たちが、以前に比べ自らの性について問いかけるきっかけが持てたり、自らの性について気づきを得て、カミングアウトがしやすい環境が整いつつある点も大きく影響しているのだそう。

現在では人口の一定数の人達が性的マイノリティを感じているという調査もあるほどです。ここではLGBT当事者の割合について確認しておきましょう。

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【世界と日本のLGBTの割合】
日本:約10.0%
アメリカ:約3.8%
イギリス:約2.0%
フランス:約7.0%
オーストラリア:約3.4%
ドイツ:11.0%
スペイン:14.0%

(出典:自分らしく生きるPROJECT「LGBTの割合は?日本と世界でグラフ化。「2020年最新の調査結果」)

レインボーフラッグの意味

レインボーフラッグとは、LGBTの社会運動を象徴する旗のこと。現在はレッド、オレンジ、イエロー、グリーン、ネイビー、パープルの6色であることが一般的です。以前は、これらの6色にピンクとターコイズの2色を合わせた8色で構成されており、それぞれの色には意味が込められていました。

具体的にはピンクは性、レッドは生命、オレンジは癒し、イエローは太陽、グリーンは自然、ターコイズは芸術、ネイビーは調和、パープルは精神を表した色なんだそう。

性自認と身体的性について理解を深めよう

性的マイノリティーを自認する人口は、日本の場合8~10%にも及ぶという調査もあります。Youtuberなどのインフルエンサーとして活動する人もおり、社会的な関心も高まってきていますね。多様性を認めあう社会を築いていくためには、法的制度を整えることとあわせて、1人1人がさまざまな価値観や生き方を認め合い関係を構築していくことも大切になってくるでしょう。

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簡単でわかりやすい!「トランスジェンダー」と「性同一性障害」の違いとは?LGBTQとの違いやダイバーシティも雑学好きライターがくわしく解説

この記事では「トランスジェンダー」と「性同一性障害」の違いについてみていきます。両者とも性的マイノリティを意味する言葉です。特に、性的自認と身体的性が異なる場合に使われる言葉でもあるようです。両者の違いをみていくためには、外科的手術によって性の一致を望むかどうかという点が重要になってくるぞ。今回はそんな性的マイノリティを表す言葉の定義について、LGBTQやダイバーシティという取り組みについてまで見ていきながら雑学好きライターyukoと一緒に解説していきます。

ライター/yuko

工事会社勤務9年目。心に浮かんだもやもやを言語化することでストレス発散をはかる現役OLライター。読書が趣味で、日々様々な言葉に触れている。最近は、言葉の持つ意味を理解して文章をより豊かに読み進めていく丁寧な読書を心がけている。

トランスジェンダーの一つの枠組みが性同一性障害

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トランスジェンダーとは、性的自認と身体的性が異なる人のことをさしています。具体的には、身体的特徴は男性であっても性的に自認している性は女性である人、反対に身体的特徴が女性、性的な自認が男性である人のことですね。

そんなトランスジェンダーのなかでも、外科的手術によって性の一致を望む人のことを特に「性同一性障害」と表現されるんだそう。ここからくわしくみていきましょう。

トランスジェンダー:性的自認と身体的性が異なる

トランスジェンダーとは、性的自認と身体的性が異なる人のこと。つまり、こころの性とからだの性が一致していない人のことをさしています。具体的には、身体的特徴は男性であっても心の性は女性だと認識している人のことをMtFといったり、反対に身体的特徴が女性で心の性が男性である人のことをFtMといったりしますね。

MtFは「Male to Female」の略で、FtMは「Female to Male」の略です。また、トランスジェンダーのなかにはXジェンダーと呼ばれる性もあり、これは性自認が男性でも女性でもない、または男性でも女性でもある人、日によって性自認が異なる人、中性の人のことなどをさすんだそう。

性同一性障害:トランスジェンダーのなかでも外科的手術によって性の一致を望む

性同一性障害は医学用語ではGID(Gender Identity Disorder)と表され、性自認と身体的性が一致しないトランスジェンダーのなかでも、特に外科的手術によって、身体的特徴も自身の性自認と一致させることを望む症状を持つ人のことをさしています。

性同一性障害を「障害」だと表記することには賛否両論ありますが、「障害」という表現を使用することで外科的手術を行うことができるという考え方もあるんだそう。

LGBTQとの違いは?

LGBTQとは、同性を好きになる女性レズビアン(Lesbian)、同性を好きになる男性ゲイ(Gay)、両性を好きになるバイセクシャルBisexual)、そして性自認と身体的性が異なるトランスジェンダー(Transgender)、自身の性自認や性的指向が定まっていないクエスチョニング(Questioning) の頭文字をとったものです。

性自認と性的指向を合わせた性的マイノリティ、つまり性的少数者をさす言葉となります。

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