この記事では愛妾と側室の違いについてみていきます。どちらも正妻以外に関係のある女性といったようなイメージがある言葉ですが、現代の感覚とは隔たりもあって、封建制度の中で公的で認められている関係かどうかなど細かな部分で違いがあるようです。
今回はそんな女性の立場についての違いを、定義から確認しながら言葉の違いが気になる文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

大河ドラマなどの時代劇を見ていて、愛妾と側室、両者の違いが気になった文学部卒ライター。

側室:正室以外の妻

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側室(そくしつ)とは、正妻以外の妻のことで、対義語は、正妻を表す「正室(せいしつ)」。貴族や身分の高い武家など、封建制度下での特権階級で認められていた一夫多妻の制度です。

跡継ぎの男子や互いの結束で立場を強くする政略結婚のため、子どもが大勢いたほうがよいとされていました。正妻の健康状態や体質などを考えると、妻一人で多くの子どもを産み育てるのは大変でしょう。そのため、多くの妻が必要とされたのです。

1.正室は家族、側室は使用人

正室と側室の差は、正室は家族の一員とされても、多くの場合、側室は使用人だとみなされていたところです。側室自身が産んだ子どもでも、母とは呼ばれずに使用人として仕えていました。特に、後継ぎの男の子は、正妻の養子となっています。

大奥の場合は、子どもを産んだ側室は主人扱いとなり、大きな影響をもたらしました。しかし、必要以上の権力を持って政治に口を挟まないように、正室を最も上位とし、次に身分の高い御年寄という役目の女性が取締役を務めていたようです。

2.明治31年以降は廃止

明治以降は、側室から「妾(しょう)」に変わり、存在が認められていました。ただし、1898年(明治31年)には、戸籍法から妾の呼称がなくなります。これは、開国により西洋の王室が一夫一妻制が基本とされているのにならったからだということで、大正天皇以降は、正妻である皇后のみとなりました。もちろん、皇族や華族、一般市国民にも適用されて現在に至っています。

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愛妾:妻以外に愛する女性

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愛妾とは、既婚男性が妻以外に愛している女性をいいます。経済的に援助をしているのが特徴です。封建制度ではないので身分差は関係ありません。経済的に裕福な男性が、愛妾を持つ傾向があるようです。

婚姻関係にはない

現代は一夫一妻が原則です。愛妾は側室のように、婚姻関係にあると公的に認められている存在ではありません。法的に認められた妻をおどかす存在として、世間の目は厳しいといわれています。

側室や愛妾の類語

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側室や愛妾の類語について、例を挙げて紹介します。

1.愛人:結婚している相手以外に恋愛関係にある相手

「愛人(あいじん)」とは、配偶者以外に恋愛関係にある相手のこと。もしくは、性的な関係のある相手のことです。愛妾は女性を表しますが、愛人は男性にも女性にも使えます。本来は愛する人や、人を愛するということで、「敬天愛人(けいてんあいじん・天を敬い人を愛するという意味)」の四字熟語もありますね。

2.公式愛妾(公妾):国王の妾

「公式愛妾(こうしきあいしょう)」とは、西洋の国王の妾のことです。「公妾(こうしょう)」「公式寵姫(こうしきちょうき)」とも呼ばれます。

ヨーロッパでは、キリスト教を信仰しているために妻と性格が合わなくても生前に離婚できないという決まりがほとんど。(イギリス王室は、離婚が可能な場合があります)そのため、国王の好みに合った女性を妾にできる公式愛妾という制度ができたということです。

日本と違う点は、公式愛妾と国王の子どもには王室の一員となれないという点。男児であれば、爵位をもらって家臣となりますし、女子であれば身分の高い良家に嫁がされ、政略結婚の駒とされました。また、王の寵愛を失ったり、王と死別したりすれば、修道院やなどの施設や居城に追い出されることもあります。身分が不安定で、王妃や国民から恨みを買うこともあったようです。

側室が正妻以外の妻で愛妾は妻以外の愛人女性のこと

側室と愛妾の違いは、公的に妻と認められるかどうかという点にあります。側室は、身分の高い人が、家の存続のために正妻以外に婚姻関係を結んだ妻のこと。明治期には妾と名称が変わりましたが、一夫一妻制度が取られた明治末期以降は、認められなくなりました。

一方、愛妾は、既婚男性が妻以外に愛情を持っている女性のことです。多くの場合は経済的な支援をされていることもしばしば。しかし、法的には認められた関係ではありません。

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雑学

簡単で分かりやすい愛妾と側室の違い!制度や似ている言葉も文学部卒ライターが詳しく解説

この記事では愛妾と側室の違いについてみていきます。どちらも正妻以外に関係のある女性といったようなイメージがある言葉ですが、現代の感覚とは隔たりもあって、封建制度の中で公的で認められている関係かどうかなど細かな部分で違いがあるようです。
今回はそんな女性の立場についての違いを、定義から確認しながら言葉の違いが気になる文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

大河ドラマなどの時代劇を見ていて、愛妾と側室、両者の違いが気になった文学部卒ライター。

側室:正室以外の妻

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側室(そくしつ)とは、正妻以外の妻のことで、対義語は、正妻を表す「正室(せいしつ)」。貴族や身分の高い武家など、封建制度下での特権階級で認められていた一夫多妻の制度です。

跡継ぎの男子や互いの結束で立場を強くする政略結婚のため、子どもが大勢いたほうがよいとされていました。正妻の健康状態や体質などを考えると、妻一人で多くの子どもを産み育てるのは大変でしょう。そのため、多くの妻が必要とされたのです。

1.正室は家族、側室は使用人

正室と側室の差は、正室は家族の一員とされても、多くの場合、側室は使用人だとみなされていたところです。側室自身が産んだ子どもでも、母とは呼ばれずに使用人として仕えていました。特に、後継ぎの男の子は、正妻の養子となっています。

大奥の場合は、子どもを産んだ側室は主人扱いとなり、大きな影響をもたらしました。しかし、必要以上の権力を持って政治に口を挟まないように、正室を最も上位とし、次に身分の高い御年寄という役目の女性が取締役を務めていたようです。

2.明治31年以降は廃止

明治以降は、側室から「妾(しょう)」に変わり、存在が認められていました。ただし、1898年(明治31年)には、戸籍法から妾の呼称がなくなります。これは、開国により西洋の王室が一夫一妻制が基本とされているのにならったからだということで、大正天皇以降は、正妻である皇后のみとなりました。もちろん、皇族や華族、一般市国民にも適用されて現在に至っています。

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