今回は「万願寺とうがらし」と「ししとう」の違いを見ていきます。どちらも緑色の細長い野菜で、ピーマンに似た雰囲気を持っている。それもそのはず、これらはすべて「ナス科トウガラシ属」に分類される植物なんです。もちろん異なる点もあるぞ。どこだか分かるか?いざ聞かれると答えにくいかもしれませんね。この先は外食好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

外食が大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

「万願寺とうがらし」と「ししとう」は別の野菜

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「万願寺とうがらし」と「ししとう」は、どちらも「ナス科トウガラシ属」に分類される同じグループの植物。万願寺とうがらしの方がサイズは大きいものの、見た目はよく似ています。ただし、ししとうを大きく育てたものが万願寺とうがらし、というわけではありません。2つは別の種類の野菜です。

万願寺とうがらし:とうがらしの王様

万願寺とうがらしは、20cmを超える大きなサイズと甘く旨味の強い味わいから、「とうがらしの王様」とも呼ばれる野菜です。京都で昔から栽培されていた「伏見とうがらし」と、アメリカの「カリフォルニア・ワンダー」というピーマンの一種が交雑して生まれた種類で、京野菜の1つ。唐辛子の中でも辛くない実をつける「甘味種」という部類に含まれます。

万願寺とうがらしの旬は6~8月。表面は濃い緑で、全体的に浅く縮れたようなしわが見られます。ヘタの近くは縮こまってくびれた形をしているのが印象的。通常は未熟な実を収穫しますが、完熟するまで収穫を遅らせて赤く色づいた実は「赤万願寺」とも呼ばれます。

ししとう:獅子のような風貌

ししとうは「ししとうがらし」の略称で、漢字では「獅子唐辛子」と書きます。凹凸のある実の形が獅子を連想させるところから、この名がつけられました。

ししとうは、万願寺とうがらしと同様に「甘味種」に含まれる品種で辛くありません。通年栽培されますが、旬は6~9月。実の長さは5~6nmほどで、表面にはつやがあり黄緑色や鮮やかな緑色をしています。実の先端が押しつぶしたようにへこんだ形になっているのも特徴です。

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「万願寺とうがらし」と「ししとう」の見分け方は3つ

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万願寺とうがらしとししとうはよく似ているため、横に並んでいたり、食事で出てきたりしたら見分けがつかないかもしれませんね。そんなとき、次の3つのポイントを覚えていれば見分けることができますよ

1.大きさの違い
2.先端の形の違い
3.果肉の厚みと味の違い

1.大きさの違いをチェック

万願寺とうがらしとししとうでは大きさが違います。万願寺とうがらしは13~23cmのものが出荷され、唐辛子は5~6cmが主に流通するサイズです。大きい方が万願寺とうがらし。小さい方がししとう、と覚えておきましょう。

2.先端の形の違いをチェック

万願寺とうがらしとししとうでは、先端の形にも違いがみられます。万願寺とうがらしの先端は尖っており、実の上部から徐々に細くなっているのが特徴。一方のししとうは先端がつぶれたような形で、奥に押し込んだようにも見えます。実の上部から先端にかけては、あまり太さが変わらないのもポイントです。

先が細く尖っているのが万願寺とうがらし、つぶれているのがししとう、と覚えておきましょう。

3.果肉の厚みと味の違いをチェック

見た目で見分けがつかなかったときは、果肉の厚みや味で見分ける方法があります。万願寺とうがらしは甘みが強く、実は肉厚で噛むとジューシー。一方のししとうには少し苦みがあり、実は薄いのが特徴です。甘くて実が厚いのが万願寺とうがらし、苦くて実が薄いのがししとう、と覚えておきましょう。

「万願寺とうがらし」や「ししとう」に辛いものがあるのはなぜ?

万願寺とうがらしもししとうも「甘味種」のため、大半の個体は辛くありません。しかし、ときどき唐辛子のように辛く感じるものがあるのはなぜでしょうか。辛くなる原因は、栽培中にストレスのかかる環境にさらされたことです。肥料の量が少なかったり、急に土の中の水分の量が変わったり、熱すぎる日が続いたりするとストレスを受け、一部の個体だけが辛い味に変化するといいます。

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おつまみにもおかずにも!「万願寺とうがらし」のレシピ

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万願寺とうがらしは甘みが強いため、ししとうやピーマンが苦手な人でも食べやすい野菜です。おつまみにもおかずにもなる万願寺とうがらしのレシピを2つご紹介しましょう。スーパーに多く並ぶ旬の季節にはぜひ試してみてくださいね。

1.万願寺とうがらしの煮浸し

1つ目は「万願寺とうがらしの煮浸し」です。万願寺とうがらしを使った料理としては定番中の定番で、素材の味をしっかり堪能できます。

【材料】2人分
・万願寺とうがらし…6本
・ごま油…大さじ1
・和風顆粒だし…5g
・醤油…大さじ1/2
・みりん…大さじ1/2
・料理酒…大さじ1/2
・水…150cc
・かつおぶし…お好みの量

【作り方】
1.万願寺とうがらしは洗ったらヘタをとり、縦半分にカットして種を取り除く。水気をキッチンペーパーなどでしっかりふき取る。
2.ごま油を鍋に入れて中火で熱する。万願寺とうがらしを入れ、全体に油がまわるまで炒める。
3.鍋に水と調味料をすべて加えて中火のまま加熱する。沸騰したら弱火にし、5分ほど煮る。時間が来たら火を切り、粗熱をとる。
4.器に盛り、食べる直前にかつおぶしをかけて完成。

2.万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん

2つ目は「万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん」です。「炊いたん」とは「炊いたもの」という意味の京ことば。「おばんざい」と呼ばれる京都の日常的なおかずの1つです。

【材料】4人分
・万願寺とうがらし…200g
・ちりめんじゃこ…20g
・サラダ油…大さじ1
・醤油…大さじ2
・砂糖…大さじ1.5
・みりん…大さじ1
・だし汁…50cc

【作り方】
1.万願寺とうがらしはヘタを取って縦半分に切る。種を取り除いて食べやすい大きさに切る。
2.鍋にサラダ油を入れて中火で熱し、万願寺とうがらしと縮緬雑魚を加えて炒める。
3.万願寺とうがらしが柔らかくなったら、残りの調味料をすべて入れて煮る。汁が鍋の底少し残るくらいになるまで煮たら、火を止めて粗熱をとる。
4.器に盛ったら完成。

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万願寺とうがらしを食べてみよう

万願寺とうがらしとししとうには、大きさや先端の形、味、果肉の厚さに違いがあります。ビーマンと同じ仲間であるため苦手意識を持つ人もいるかもしれませんが、特に万願寺とうがらしは甘みが強くて食べやすい野菜。ご紹介したレシピを試すのはもちろん、飲食店でメニューにあれば注文し、おいしさを確かめてみてはいかがでしょうか。

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簡単でわかりやすい!「万願寺とうがらし」と「ししとう」の違い3つ!見分け方やおすすめレシピも外食好きライターが詳しく解説

今回は「万願寺とうがらし」と「ししとう」の違いを見ていきます。どちらも緑色の細長い野菜で、ピーマンに似た雰囲気を持っている。それもそのはず、これらはすべて「ナス科トウガラシ属」に分類される植物なんです。もちろん異なる点もあるぞ。どこだか分かるか?いざ聞かれると答えにくいかもしれませんね。この先は外食好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

外食が大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

「万願寺とうがらし」と「ししとう」は別の野菜

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「万願寺とうがらし」と「ししとう」は、どちらも「ナス科トウガラシ属」に分類される同じグループの植物。万願寺とうがらしの方がサイズは大きいものの、見た目はよく似ています。ただし、ししとうを大きく育てたものが万願寺とうがらし、というわけではありません。2つは別の種類の野菜です。

万願寺とうがらし:とうがらしの王様

万願寺とうがらしは、20cmを超える大きなサイズと甘く旨味の強い味わいから、「とうがらしの王様」とも呼ばれる野菜です。京都で昔から栽培されていた「伏見とうがらし」と、アメリカの「カリフォルニア・ワンダー」というピーマンの一種が交雑して生まれた種類で、京野菜の1つ。唐辛子の中でも辛くない実をつける「甘味種」という部類に含まれます。

万願寺とうがらしの旬は6~8月。表面は濃い緑で、全体的に浅く縮れたようなしわが見られます。ヘタの近くは縮こまってくびれた形をしているのが印象的。通常は未熟な実を収穫しますが、完熟するまで収穫を遅らせて赤く色づいた実は「赤万願寺」とも呼ばれます。

ししとう:獅子のような風貌

ししとうは「ししとうがらし」の略称で、漢字では「獅子唐辛子」と書きます。凹凸のある実の形が獅子を連想させるところから、この名がつけられました。

ししとうは、万願寺とうがらしと同様に「甘味種」に含まれる品種で辛くありません。通年栽培されますが、旬は6~9月。実の長さは5~6nmほどで、表面にはつやがあり黄緑色や鮮やかな緑色をしています。実の先端が押しつぶしたようにへこんだ形になっているのも特徴です。

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