この記事では面罵と罵倒の違いについてみていきます。どちらもひどい悪口を大声でわめく時に使う言葉ですが、両者の違いは互いの状況や程度のひどさなどの表現の仕方について細かい違いがあるようです。
今回は、そんな人をおとしめる熟語のちがいについて、それぞれの字義から確認しつつ、ちょっとした言葉の違いが気になる文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

言葉の使い方や熟語の意味などの、ちょっとした違いが気になる文学部卒ライター。

面罵と罵倒の違い

面罵(めんば)と罵倒(ばとう)は、両方とも相手を口汚くののしる時に使います。「面罵」には「面」がつき、相手の目の前でとか、相手に向かってまくしたてるイメージが強いです。「罵倒」は、相手を倒すくらいまでひどくののしるということを表すのだろうかと想像してしまいますね。2つの言葉の違いはどのようなところにあるのでしょうか。

面罵の意味

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「面罵」は、当人と対面して直接相手に悪口を浴びせることです。「面」の字義は人の顔のことで、「罵」はののしる、つまり、口汚く大声で悪口をいうことですね。

1.面罵の使い方

面罵は、相手を直接に声高くけなすような時に使います。ですから、その場に言う側と言われる側の人がいなくてはなりません。その人のいない所で言うのは陰口にあたり、どんなに汚い言葉を尽くしても面罵にはならないでしょう。メールや手紙、電話などで、どんなに相手に汚い言葉を浴びせかけても面罵には当たりません。

2.面罵を使った例文

面罵を使った例文は以下のとおりです。

\次のページで「罵倒の意味」を解説!/

・Aさんと会った時に、仕事ができないクズと面罵された
・隣の奥さんはしょっちゅう旦那さんに面罵されて、モラハラで訴えられた
・彼女は衆人環視の中で彼を面罵し、ドン引きされていた
・怒りに任せて面罵するなんて最低だね!

罵倒の意味

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「罵倒」とは、激しい言葉を使ってひどい悪口をいうことです。「倒」の字義は、たおれるやひっくり返す、さかさまにするといったことから転じて、状態がひどいはなはだしいひどいということを表します。

1.罵倒の使い方

罵倒は、激しい言葉で相手を威圧しながらひどい悪口をいう場合に使います。決して、相手を倒すなどの、暴力をふるいながら相手にののしりの言葉をかけるという意味ではありません。「面罵」のように、相手と対面しながら文句を言うだけでなく、じかに話をする点で、電話のように顔が見えない状態でも使えます。

2.罵倒を使った例文

罵倒を使った例文は以下のとおりです。

・電話でいつも罵倒してくるモンスタークレーマーがいる
・大勢の前で罵倒され、恥をかかされた
・彼女を罵倒している相手の人は、顔を歪ませてみにくい顔つきに見えた
・オンライン会議をしていたら、突然相手に罵倒された。

\次のページで「面罵と罵倒の類語」を解説!/

面罵と罵倒の類語

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面罵と罵倒の類語について紹介します。下記の3つです。

1.毒突く(どくづく):ひどい悪口を言う

「毒突く」(どくづく)とは、相手に向かってひどい悪口をいうということ。「毒」には、人や動物などの健康や命をそこなうものを表すところから転じて、ためにならない、悪いといった意味があります。「突く」は、相手の弱点や予想しない所や、急所などを選んで鋭くあげつらったり、攻めたりすることです。

「相手に正論で返されて、顔を真赤にして毒突いたのは滑稽で見ものだったよ」「横領をした課長は、内部告発をした部下に毒突いていた」というように使えます。

2.ボロクソに貶す:必要以上にひどくののしる

「ボロクソに貶す(けな-す)」とは、相手の存在を必要以上におとしめるひどくののしるという意味。

ボロクソは漢字で「襤褸糞」、「襤褸(ぼろ)」は使い古した布や着古して破けたりつぎはぎだらけの衣服、「糞(くそ)」は排泄物のことです。この2つの単語を合わせて、他よりもひどく劣っていること、価値が全くないことにたとえています。「貶す」は相手をおとしめていることです。つまり、相手を価値のない劣る存在だとして、声高に悪口を言っているのですね。

「料理評論家がこの店のお菓子はまずいとボロクソに貶し、店主に出ていけと塩をまかれた」「社長の娘とは知らずに、彼女をボロクソに貶した取引先の営業さんは、後で降格処分を受けたそうだ」というような使い方をします。

3.罵詈雑言:さまざまな悪口の限りを言い尽くす

「罵詈雑言(ばりぞうごん)」とは、あれこれと相手の欠点をあげつらい、悪口の限りを言い尽くすという意味の四字熟語。「罵詈」は口汚くののしることや、そのののしった言葉自体をいいます。「雑言」はくだらない言葉という意味から転じて、数々の悪口という意味です。

「別れ話を切り出したら、相手は罵詈雑言を浴びせた」「人ってどこで繋がっているか分からないから、罵詈雑言で一方的に責めるのはよくないね」といった例があります。

面罵は本人を直接ののしり、罵倒は激しい言葉で相手に悪口を言うこと

面罵は、対象の相手に直接、面と向かってののしる様子のことです。罵倒の場合は、激しい言葉で相手に強く悪口を言うことで、実際には顔を見ていなくても電話などで応対した時にも使えます。いずれにしろ、相手に手ひどい悪口を言ってけなす意味の熟語ですので、人から見てあまり良い印象を持たれることがないでしょう。

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雑学

簡単でわかりやすい面罵と罵倒の違い!意味や例文・類語も文学部卒ライターが詳しく解説

面罵と罵倒の類語

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面罵と罵倒の類語について紹介します。下記の3つです。

1.毒突く(どくづく):ひどい悪口を言う

「毒突く」(どくづく)とは、相手に向かってひどい悪口をいうということ。「毒」には、人や動物などの健康や命をそこなうものを表すところから転じて、ためにならない、悪いといった意味があります。「突く」は、相手の弱点や予想しない所や、急所などを選んで鋭くあげつらったり、攻めたりすることです。

「相手に正論で返されて、顔を真赤にして毒突いたのは滑稽で見ものだったよ」「横領をした課長は、内部告発をした部下に毒突いていた」というように使えます。

2.ボロクソに貶す:必要以上にひどくののしる

「ボロクソに貶す(けな-す)」とは、相手の存在を必要以上におとしめるひどくののしるという意味。

ボロクソは漢字で「襤褸糞」、「襤褸(ぼろ)」は使い古した布や着古して破けたりつぎはぎだらけの衣服、「糞(くそ)」は排泄物のことです。この2つの単語を合わせて、他よりもひどく劣っていること、価値が全くないことにたとえています。「貶す」は相手をおとしめていることです。つまり、相手を価値のない劣る存在だとして、声高に悪口を言っているのですね。

「料理評論家がこの店のお菓子はまずいとボロクソに貶し、店主に出ていけと塩をまかれた」「社長の娘とは知らずに、彼女をボロクソに貶した取引先の営業さんは、後で降格処分を受けたそうだ」というような使い方をします。

3.罵詈雑言:さまざまな悪口の限りを言い尽くす

「罵詈雑言(ばりぞうごん)」とは、あれこれと相手の欠点をあげつらい、悪口の限りを言い尽くすという意味の四字熟語。「罵詈」は口汚くののしることや、そのののしった言葉自体をいいます。「雑言」はくだらない言葉という意味から転じて、数々の悪口という意味です。

「別れ話を切り出したら、相手は罵詈雑言を浴びせた」「人ってどこで繋がっているか分からないから、罵詈雑言で一方的に責めるのはよくないね」といった例があります。

面罵は本人を直接ののしり、罵倒は激しい言葉で相手に悪口を言うこと

面罵は、対象の相手に直接、面と向かってののしる様子のことです。罵倒の場合は、激しい言葉で相手に強く悪口を言うことで、実際には顔を見ていなくても電話などで応対した時にも使えます。いずれにしろ、相手に手ひどい悪口を言ってけなす意味の熟語ですので、人から見てあまり良い印象を持たれることがないでしょう。

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