3分で簡単にわかる!おられるといらっしゃるの違いとは?地域性や正しい使い方も読書家ライターがわかりやすく解説!
ライター/ハヤカワ
学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。
おられるといらっしゃるの違いとは?
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おられるといらっしゃるはどちらも「いる」の尊敬語となっていますが、それぞれ使用される場面に少し違いがあります。この機会にそれぞれの細かい違いについて確認しておきましょう。
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その1.おられるとは?
「おられる」は動詞「いる」の丁寧な言い方である「おる」に、尊敬の意味をもつ助動詞「れる」がついた尊敬語です。「いる」の謙譲語にあたる「おる」に、尊敬語の「れる」がついていることから、「おられる」は誤った表現だと誤解されていることがありますが、実際には正しい尊敬語となっています。
平成9年・10年・16年の文化庁による「国語に関する世論調査」では、3~4割の人が「おられる」という表現に違和感を覚えると回答しており、このため場面によっては使用を控える方が適切です。またこちらは少し文語的な表現となっており、口語では使用される機会が少ない点に注意しましょう。
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その2.いらっしゃるとは?
「いらっしゃる」は動詞「居る」・「行く」・「来る」の尊敬語です。「おられる」と同じように「居る」の尊敬語となっており、「おられる」の言い換え表現として使用することができます。「おられる」は違和感を覚える人が多く、違和感を与えないためにもコミュニケーションの場ではこちらの「いらっしゃる」を使う方が適切です。
「いらっしゃる」はおられると違い、「行く」・「来る」の尊敬語でもあり、前後の文脈によって意味が変わる点にも注意しておきましょう。またこちらは文語・口語問わず、日常的に使用されている表現となっています。こちらもあわせて確認しておきましょう。
おられる・いらっしゃるの地域性について
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地域によっても受け取られ方が異なるため、こちらも覚えておきましょう。「おられる」という表現は関東などでは、「おる」が謙譲語、「れる」は尊敬語であるという点から違和感を覚える人が多い傾向があります。しかし関西では「おる」という表現が一般的な動詞としても使われているため、違和感を覚えない人が多い傾向です。
関西圏においては「おられる」という表現も比較的受け入れられやすいため、こちらも確認しておきましょう。スムーズなコミュニケーションが重要なビジネスシーンなど、なるべく誤解を防ぎたいという場面では、関東・関西含め全国的に受け入れられやすい「いらっしゃる」という表現を選ぶのがおすすめです。
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おられる・いらっしゃるの正しい使い方
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正しい使い方についてもあわせて確認しておきましょう。どちらも同じように「居る」の尊敬語にあたるため、例えば「社長はあちらにおられる」・「社長はあちらにいらっしゃる」は、どちらも正しい表現です。同じように表現できるため、あわせて覚えておきましょう。
他に「お客様はどちらにおられますか?」・「お客様はどちらにいらっしゃいますか?」といった表現も正しい敬語です。また坂口安吾「明治開化 安吾捕物帖」では、「あなた方は一段高い席におられたのですが、犯行を目撃された方はおりませんか」としてこの言葉が登場しています。こちらも参考に正しい使い方について、しっかりと覚えておきましょう。
おられるといらっしゃるはそれぞれ地域性があるため注意しよう!
この記事ではおられるといらっしゃるの違いを説明しました。「おられる」と「いらっしゃる」はどちらも「居る」の尊敬語として正しい表現となってます。ただし文化庁による「国語に関する世論調査」では、3~4割の人が「おられる」という表現に関して違和感があると回答しており、「おられる」という表現は使用しない方が無難です。
また地域性もあり、「おられる」は関西圏では受け入れられやすい傾向があります。一方「いらっしゃる」は関西・関東問わず受け入れられやすい表現であるため、基本的には「いらっしゃる」という表現を使用するようにしていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

