今回はそんな「千夜一夜物語」と、ついでに舞台となったサーサーン朝ペルシャについて歴史オタクのライターリリー・リリコと一緒にわかりやすく解説していきます。
- 1.舞台はここ!古代イランの大王朝「サーサーン朝ペルシャ」
- 古代イランで成立!「ゾロアスター教」ってどんな宗教?
- サーサーン朝ペルシャの滅亡!イスラム帝国の台頭
- 2.毎夜の物語を語り、命を繋いだ少女「シェヘラザード」
- 毎朝女の首を撥ね続けた悲しき暴君「シャフリヤール」
- 命を懸けた物語!シェヘラザードの生存戦略
- 千夜のあと、シェヘラザードの結末は…
- 3.ペルシャ語からアラビア語、フランス語へと増え続けた物語
- 民話を集めて「千夜一夜物語」へ
- 千って1000じゃないかも?数字に込められた別の意味
- 1000夜あるはず!ないなら追加しちゃえフランス語版出版!
- 王が処刑を覆すほど惹かれた「千夜一夜物語」
この記事の目次
ライター/リリー・リリコ
興味本意でとことん調べつくすおばちゃん。座右の銘は「何歳になっても知識欲は現役」。大学の卒業論文は義経をテーマに執筆。大河ドラマや時代ものが好き。日本伝統芸能や文芸、文化に深い興味を持つ。当然、文化には付き物の物語も大好き。今回はアラビア周辺の物語が集められた「千夜一夜物語」についてまとめた。
1.舞台はここ!古代イランの大王朝「サーサーン朝ペルシャ」
「千夜一夜物語」の舞台となるのは、226年にイランにあったアルサケス朝(パルティア)を倒し、首都クテシフォンに成立した「サーサーン朝(ササン朝)ペルシャ」。領土が最も広がった時代には、奪ったアナトリア半島東部、エジプトの一部、アラビア半島南部イエメン、さらに中央アジアにまで進出した大国家でした。
初代国王アルデシール1世はゾロアスター教の神官家出身であったためゾロアスター教を国教とします。
古代イランで成立!「ゾロアスター教」ってどんな宗教?
サーサーン朝ペルシャが国教とした「ゾロアスター教」は、最高神アフラ・マズダと、その象徴たる火を崇拝する宗教です。火を崇拝することから中国では「拝火教」とも呼ばれました。
基本的にはアフラ・マズダの一神教ですが、アフラ・マズダと対立する悪神アーリマン(アンラ・マユ)が存在します。アフラ・マズダはアーリマンとの争いのために世界や守護神(霊)を創造しました。ちょっと多神教っぽいですね。また、ゾロアスター教には世界の終末(終末論)と「最後の審判」があり、ユダヤ教、キリスト教へと影響を与えたとされています。
創始者は「ゾロアスター(ツァラトゥストラ)」。彼が実在したことは確かなのですが、ゾロアスター教の成立時期が紀元前1200~1000年、あるいは紀元前7世紀ごろとはっきりしないため、ゾロアスター自体が生まれた年代も定かではありません。
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サーサーン朝ペルシャの滅亡!イスラム帝国の台頭
6世紀、ホスロー1世のもとで最盛期を迎えたサーサーン朝ペルシャ。しかし、ホスロー1世死後は西側のビザンツ帝国との抗争が続き、さらにホスロー2世が息子に処刑されてからは没落の一途をたどります。決定的なトドメとなったのは、イスラム帝国の台頭でした。
7世紀当時、イスラム教は周辺地域に対して聖戦(ジハード)を行っていました。指導者は二代目カリフのウマル。疲弊し、不安定になっていたサーサーン朝ペルシャはウマル率いるイスラム勢力に敗れて滅亡。以降、イランはイスラム化し、サーサーン朝ペルシャはゾロアスター教を国教とする最後のペルシャ系国家となったのでした。
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