この記事では瓦解と崩壊の違いについてみていきます。どちらも、こわれることを表す熟語ではありますが、使える対象や壊れ方について細かい違いがあるみたいです。成り立ちなどから考えると間違えて使っている人もいるかもしれませんね。
今回はそんな壊れ方を表す熟語の違いについて、両方の言葉のニュアンスが気になった文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

ちょっとした熟語の違いについて、なんとなく気になってしまった文学部卒ライター。

瓦解:一部が崩れて全体が壊れていく

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瓦解(がかい)は物事のほんの一部が壊れ、それが広がって全体的に壊れてしまうことです。また、単に瓦解という場合は、徳川幕府の体制が壊れてしまったことをさすこともあります。

瓦解には、「瓦」という字が入っていますが、これは、屋根瓦のこと。伝統的な日本家屋で使われている屋根瓦は、たった1枚が外れて勢いよく落下しただけで、他の瓦も連動して大部分が崩れ落ちてしまうのです。このような様子から「瓦解」という言葉ができたのではといわれています。

瓦解の使い方と例文

瓦解は、組織や体制などがほんのわずかなほころびで崩れ去ってしまう秩序が失われてしまう様子を表す場合に使われます。建物の一部の屋根瓦が元になった熟語ではありますが、建物や建造物については使われません。例文については以下の通りです。幕府については、小説で使われた例を挙げています。

\次のページで「崩壊:くずれてこわれる」を解説!/

・閣僚のスキャンダルが原因で、内閣が瓦解した。
・独裁制度が立ち行かなくなり、A国の瓦解は時間の問題だといわれている。
・セクハラが新聞沙汰になり、対処を先送りしたために組織が瓦解したということだ。

坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉一「此下女はもと由緒のあるものだったさうだが、瓦解のときに零落して」

出典:小学館『精選版 日本国語大辞典』瓦解②徳川幕府の崩壊をいう

崩壊:くずれてこわれる

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崩壊(ほうかい)とは、文字通り崩れて壊れること。あまり一般的ではありませんが、放射性原子核が放射線を出して他の原子に変わること、もしくは、素粒子が自然に他の素粒子に変わることを表す際に、崩壊ということもあります。

崩壊の使い方と例文

崩壊は、瓦解と同じように、組織や秩序が形がないくらいにばらばらになるようなことを表せます。しかし、瓦解と異なるのは、建物や建造物のような実際に形のあるものにも使えるところです。例文は以下の通り。

・子供に対する暴力で家庭が崩壊した。
・クーデターで国の体制が崩壊した。
・台風で多くの住宅が崩壊した。
・川の氾濫で堤防が崩壊した。

瓦解や崩壊の類語

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瓦解や崩壊の類語にはどのような熟語があるのでしょうか。それぞれについて、みていきましょう。

1.大破:ひどくこわれる・ひどく打ち負かす

「大破」(たいは)とは、物がひどくこわれる、または、こわすこと。人や団体に対して使う場合は、勝負や試合などで相手や相手方をひどく打ち負かすことという意味です。「高速道路の事故で、車が大破していた」「油断している相手チームを大破して、番狂わせを起こした」などのように使います。

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2.全壊/全潰:すっかりこわれる

「全壊/全潰(ぜんかい)」とは、すっかりこわれること、もしくは、すっかりつぶれることです。主に災害などの被害に遭い、住宅や建造物などが元々の形が全く分からないくらいにこわれてしまったことを表します。文例は「竜巻で家が全壊した」「爆発で工場が全潰した」など。

3.壊滅:すっかりだめになる・全体がくずれる

「壊滅(かいめつ)」とは、すっかりつぶれてだめになってしまうこと、組織などの全体がくずれてしまうということです。文例としては「大地震で街が壊滅してしまった」「幹部が亡命してしまい、軍部の壊滅は避けられない」などのように使い方があります。

4.決壊:堤防などが切れてくずれる

「決壊(けっかい)」とは、堤防などが何らかの原因で切れてくずれること。「決」の字義は、きれる、さける、やぶれるなどです。例文を挙げると、「雨量が増えてダムが決壊した」「台風で水かさが増え、支流の堤防が決壊したと通報があった」などのような使い方があります。

瓦解は組織や秩序に使う・崩壊は組織や秩序だけでなく建造物にも使える

瓦解も崩壊もこわれること。瓦解が一部が壊れたことが元で全体に広がり一気に壊れること、崩壊は全体がくずれてこわれることで、少し違う意味合いです。また、瓦解が組織や秩序などに限定して使うのに対し、崩壊は、それに加えて実際にある建造物などにも使えるという点が異なっています。

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雑学

簡単で分かりやすい瓦解と崩壊の違い!意味や類語も文学部卒ライターが詳しく解説

この記事では瓦解と崩壊の違いについてみていきます。どちらも、こわれることを表す熟語ではありますが、使える対象や壊れ方について細かい違いがあるみたいです。成り立ちなどから考えると間違えて使っている人もいるかもしれませんね。
今回はそんな壊れ方を表す熟語の違いについて、両方の言葉のニュアンスが気になった文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

ちょっとした熟語の違いについて、なんとなく気になってしまった文学部卒ライター。

瓦解:一部が崩れて全体が壊れていく

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瓦解(がかい)は物事のほんの一部が壊れ、それが広がって全体的に壊れてしまうことです。また、単に瓦解という場合は、徳川幕府の体制が壊れてしまったことをさすこともあります。

瓦解には、「瓦」という字が入っていますが、これは、屋根瓦のこと。伝統的な日本家屋で使われている屋根瓦は、たった1枚が外れて勢いよく落下しただけで、他の瓦も連動して大部分が崩れ落ちてしまうのです。このような様子から「瓦解」という言葉ができたのではといわれています。

瓦解の使い方と例文

瓦解は、組織や体制などがほんのわずかなほころびで崩れ去ってしまう秩序が失われてしまう様子を表す場合に使われます。建物の一部の屋根瓦が元になった熟語ではありますが、建物や建造物については使われません。例文については以下の通りです。幕府については、小説で使われた例を挙げています。

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