この記事では、「両生類」と「爬虫類」の違いについてみていきます。両方とも脊椎動物の分類に含まれるものですが、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの違いと脊椎動物の分類についても元塾講師ライターりんと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/りん

保育士や塾講師、カフェ店員など様々な職を経て現在ライターとして活動している。塾講師として働いた経験を活かし、両生類と爬虫類の違いについてわかりやすく解説していく。

両生類と爬虫類って何が違うの?

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両生類と爬虫類は進化の過程も近く、似た雰囲気が多くありますが、分類としては全く異なる生き物です。どのような違いがあるのか順番に見ていきましょう。

1.生活する場所

両生類は生まれた時から子どもの間は水中で生活し、成長して大人になると水場の近い陸で生活します。基本的に身体が濡れた状態を保つ必要があるので、水場からは離れられません。なぜ水場の近くで生活する必要があるのかは次の項目で詳しく解説します。反対に、爬虫類は生まれた時からずっと陸上で生活することが可能です

2.呼吸の仕方

両生類は子どもの頃は水中で過ごすのでエラ呼吸です。大人に成長すると陸上で生活することになるので、肺呼吸に変化します。しかし、両生類の肺は単純なつくりなので生きていくのに必要な酸素を賄うことができないのです。そのため、肺呼吸では足りない酸素を皮膚呼吸で補います。

皮膚呼吸は、濡れた肌に空気中の酸素を溶かして体内に取り込む仕組みです。そのため、身体が乾燥してしまうと皮膚呼吸ができなくなるので体内への酸素補給量が足りなくなってしまいます。なので両生類は陸上で生活できるようになっても水場の近い陸から離れられません。

爬虫類は生まれた時から陸上で生活しているので肺呼吸です。エラ呼吸から肺呼吸と皮膚呼吸に変化する両生類。生まれてから死ぬまで肺呼吸の爬虫類。これがそれぞれの呼吸の仕方の違いです。

\次のページで「3.卵を産む場所」を解説!/

3.卵を産む場所

前述した「生活する場所」と「呼吸の仕方」の違いは、卵を産む場所にも関係しています。両生類は水中に卵を産み、爬虫類は陸上に卵を産むのです。この違いは、卵の形状が大きく関わっています。両生類の卵は殻がなく、ゼリー状の寒天質で覆われた形状です。カエルの卵を想像してもらうとわかりやすいでしょうか。殻がないため乾燥に弱く、そのため水中に卵を産みます。

爬虫類は卵の殻があるので両生類とは違い乾燥に強いです。そのため陸上に産むことが可能となっています。

動物の例

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それでは、実際にどのような生き物が両生類や爬虫類にいるのでしょうか。まず両生類はこのような動物が分類されています。

カエル、イモリ、サンショウウオ

オタマジャクシからカエルへ成長すると、水中から陸上へ生活する場を移しますよね。卵の例にも出したように、両生類として想像しやすい生き物です。次に、爬虫類はこのような生き物が分類されています。

ヘビ、カメ、トカゲ、ワニ

「カメって水中で生活するから両生類なのでは…?」と思われた方もいるでしょう。カメは水中で生活することを選択しているだけで、陸上でも生活可能です。また、肺呼吸なのでずっと水中にいるのではなく、実は水面に顔を出して呼吸をしています。卵にも殻があり、砂浜に卵を産むウミガメは有名な話ですよね。

イモリとヤモリ

よく似た動物で「イモリ」と「ヤモリ」がいますが、この2種類は実は分類が異なる生き物です。イモリは「井戸を守る→井守」なので、水場で生活する両生類。ヤモリは「家を守る→家守」なので、陸で生活する爬虫類。名前も見た目も似ていますが、その生態は違う生き物なのです。

\次のページで「脊椎動物の分類ってどうやって分けられるの?」を解説!/

脊椎動物の分類ってどうやって分けられるの?

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脊椎動物の分類には5つの種類があります。どのような分類があるのか、それぞれの特徴についても詳しく解説していきましょう。

5種類の分類方法

脊椎動物は魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の5種類に分類されています。脊椎動物の進化の過程として最初に魚類が誕生し、魚類から両生類に、そして両生類から爬虫類へと進化していきました。そして、爬虫類から鳥類と哺乳類へ進化したとされています。

生活する環境に適応するために進化した結果、現在様々な特徴を持つ生き物が存在しているのです。それではそれぞれの特徴についてさらに詳しく見ていきましょう。

1.生活する場所

1つ目の違いは生活する場所です。水中で生活するのか陸上で生活するのかが異なります。魚類は水中で生活し、爬虫類や鳥類、哺乳類は陸上で生活しますよね。両生類は前述通り、子どもの頃は水中で過ごし大人になると水場の近い陸上にあがります。

\次のページで「2.子どもの産み方」を解説!/

2.子どもの産み方

2つ目は子どもの産み方です。「卵生」と「胎生」に分けられます。卵生とは文字通り、卵を産むことです。魚類、両生類、爬虫類、鳥類が分類されます。胎生とは、おなか(子宮)で子どもを育て、ある程度大きくなってから産むことです。これは哺乳類のみが分類されます。

3.呼吸の仕方

3つ目は呼吸の仕方です。水中で呼吸する生き物はエラ呼吸、陸上で生活する生き物は肺呼吸を行います。なので、魚類と両生類の子どもはエラ呼吸、両生類の親と爬虫類と鳥類と哺乳類は肺呼吸です。両生類の親は肺呼吸だけでは酸素が足りないので、皮膚呼吸も行います

4.体温の保ち方

4つ目は体温の保ち方です。「変温動物」と「恒温動物」に分けられます。変温動物とは体温が周りの気温に合わせて変化する生き物です。魚類と両生類と爬虫類が分類されます。気温が下がる冬は体温も同じように下がってしまうので、冬眠する生き物も多くいるようです。また、食料を集めるのも困難なため、眠って食糧の豊かになる春を待ちます。

恒温動物は体温を一定の温度で保つことができる生き物です。鳥類と哺乳類が分類されます。

5.皮膚を覆うもの

5つ目は皮膚を覆うものです。これはそれぞれの分類により特徴があるので順番に見ていきましょう。魚類はうろこ、両生類はぬるぬるとした皮膚、爬虫類はうろこや甲羅、鳥類は羽毛、哺乳類は毛が皮膚を覆っています。それぞれ身体を守るためや乾燥から身を守るため、体温の保持のためなど様々な理由があるのです。

両生類と爬虫類は生活する場所、呼吸の仕方、卵を産む場所が異なる

両生類と爬虫類は進化の過程が近いので、似た特徴を多く持っています。しかし、水場で生活する両生類と陸上で生活する爬虫類。それぞれの生活環境に適した特徴をもっているため、違う点も多くあります。長い時間をかけ生活環境により合った進化を遂げていく生き物。興味深いですよね。

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3分で簡単にわかる!両生類と爬虫類の違いとは?脊椎動物の分類も元塾講師ライターが詳しく解説

この記事では、「両生類」と「爬虫類」の違いについてみていきます。両方とも脊椎動物の分類に含まれるものですが、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの違いと脊椎動物の分類についても元塾講師ライターりんと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/りん

保育士や塾講師、カフェ店員など様々な職を経て現在ライターとして活動している。塾講師として働いた経験を活かし、両生類と爬虫類の違いについてわかりやすく解説していく。

両生類と爬虫類って何が違うの?

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両生類と爬虫類は進化の過程も近く、似た雰囲気が多くありますが、分類としては全く異なる生き物です。どのような違いがあるのか順番に見ていきましょう。

1.生活する場所

両生類は生まれた時から子どもの間は水中で生活し、成長して大人になると水場の近い陸で生活します。基本的に身体が濡れた状態を保つ必要があるので、水場からは離れられません。なぜ水場の近くで生活する必要があるのかは次の項目で詳しく解説します。反対に、爬虫類は生まれた時からずっと陸上で生活することが可能です

2.呼吸の仕方

両生類は子どもの頃は水中で過ごすのでエラ呼吸です。大人に成長すると陸上で生活することになるので、肺呼吸に変化します。しかし、両生類の肺は単純なつくりなので生きていくのに必要な酸素を賄うことができないのです。そのため、肺呼吸では足りない酸素を皮膚呼吸で補います。

皮膚呼吸は、濡れた肌に空気中の酸素を溶かして体内に取り込む仕組みです。そのため、身体が乾燥してしまうと皮膚呼吸ができなくなるので体内への酸素補給量が足りなくなってしまいます。なので両生類は陸上で生活できるようになっても水場の近い陸から離れられません。

爬虫類は生まれた時から陸上で生活しているので肺呼吸です。エラ呼吸から肺呼吸と皮膚呼吸に変化する両生類。生まれてから死ぬまで肺呼吸の爬虫類。これがそれぞれの呼吸の仕方の違いです。

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