今回は「プラム」と「プルーン」の違いを見ていきます。名前や見た目がよく似ているから、2つの違いを明確に答えられないやつも多いでしょう。プラムとプルーンはどちらも日本語で「すもも」と呼ばれる同じ仲間の植物。その中でも中国原産の品種とヨーロッパ原産の品種があり、それがプラムとプルーンの違いに関係しているらしいのです。この先は食べ物好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

プラムとプルーンはどちらも「すもも」

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プラムとプルーンは名前や見た目が似ているため、果物だけを見てもなかなか見分けるのが難しいですよね。それもそのはず。プラムとプルーンはどちらも日本語で「すもも」と呼ばれ、バラ目バラ科サクラ亜科に分類される同じ仲間の植物です。この記事では、プラムとプルーンの違いや語源、代表的な品種などを解説していきます。

「日本すもも」と「西洋すもも」の違い

日本語で「すもも」と呼ばれるプラムとプルーン。さらに細かく分けると「日本すもも」と「西洋すもも」と呼ばれるグループがあります。これがプラムとプルーンの違いにもかかわる1つのポイントになりますので、日本すももと西洋すももの違いを確認しておきましょう。

「日本すもも」は中国原産

日本すももは英語で「Japanese plum(ジャパニーズプラム)」や「Asian plum(アジアンプラム)」と呼ばれる中国原産のすももです。名前に「日本」が付いているので日本原産なのかと思ってしまいますが、実際には中国から日本へ奈良時代に伝来しました

日本すももは19世紀に日本からアメリカへ渡り、のちにアメリカで品種改良されたものが日本へ輸入されることになります。現在日本で販売されている日本すももは、すべてアメリカで改良された品種です。

「西洋すもも」はヨーロッパ原産

西洋すももはヨーロッパ原産のすももです。英語で「Prunus domestica(国内のプラム)」と呼ばれ、「Japanese plum」や「Asian plum」に相対する形で名付けられました。

カスピ海沿岸で生まれ、紀元前にはすでにヨーロッパの広い範囲で栽培されていた西洋プラム。アメリカには大航海時代に伝えられて広まり、19世紀にはカリフォルニアでの大規模な生産がおこなわれていたといいます。

プラム・プルーンの呼び分け

プラムとプルーンはどちらもすもも。では、具体的には何が「プラム」で何が「プルーン」なのでしょうか。実はその境界線はあいまいで、おおよそ以下の3パターンの考え方によって呼び分けられています

1.「日本すもも」か「西洋すもも」かの違い
2.果汁が「多い」か「少ない」かの違い
3.「生」か「乾燥」かの違い 

\次のページで「1.「日本すもも」か「西洋すもも」かの違い」を解説!/

1.「日本すもも」か「西洋すもも」かの違い

1つ目は、日本すももをプラム、西洋すももをプルーンと呼び分けるパターン。これは特に日本国内で用いられている呼び分けで、プラムとプルーンの違いとして最も多く紹介される区別の仕方です。100%正確に日本すももと西洋すももを分けているとは言い切れないようですが、日本での一般的な考え方といえます。

2.果汁が「多い」か「少ない」かの違い

2つ目は、すももの中でも果汁が多い種類をプラム、果汁が少ない種類をプルーンと呼び分けるパターンです。

果汁が少ないすももは、生で食べられる以外にドライフルーツの原料としても活用されます。つまり、ドライフルーツの原料に適したすももをプルーンと呼んで区別している、という考え方です。ドライフルーツ専用の種類である「ドメスチカスモモ」だけををプルーンと呼ぶ場合もあります。

3.「生」か「乾燥」かの違い

3つ目は、生のすももをプラム、ドライフルーツにしたすももをプルーンと呼ぶパターンです。この呼び分けは主にヨーロッパで用いられる方法。生のぶどうをグレープと呼び、干しぶどうをレーズンと呼んで区別する方法と同じ考え方です。

プラム・プルーンの語源

プラム・プルーンは、どちらもギリシャ語の「Prounon」 または 「Proumnon」(どちらも読み方は「プロウノン」)から派生したといわれています。フランス語に「プルーン」として取り入れられ、英語圏でも同様に「プルーン」が使用されていました。しかしいつの頃からか変化し、近年の英語圏では「プラム」と呼ぶのが主流のようです。

プラム(日本すもも)の代表的な品種

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プラム(日本すもも)は6~9月に出回り、さまざまな品種が順に旬を迎えます。ここでは以下の3品種について、旬や色、味などの特徴をご紹介しましょう。

・大石早生(おおいしわせ)
・ソルダム
・秋姫(あきひめ)

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大石早生(おおいしわせ):日本でもっとも一般的なプラム

大石早生(おおいしわせ)は日本で一番多く生産されている品種で、もっとも一般的なプラムといっても過言ではありません。6月上旬から出荷が始まりますが、味の旬は6月中旬から7月上旬あたりまでです。熟すと果皮が全体的に鮮やかな赤色になり、対する果肉は鮮やかな黄色。甘みと酸味のバランスがよく、爽やかな味わいが魅力の品種です。

ソルダム:赤い果肉が特徴

ソルダムは5月下旬から8月下旬にかけて長期で出回る品種です。果皮が緑色の状態で出回っていることが多いものの、完熟すると赤色に変化。果実は果皮が緑色の段階から赤く、果汁が多いジューシーな味わいです。適度に酸味もあるので、みずみずしくさっぱりとした口当たりをしています。

秋姫(あきひめ):甘みが強い大玉の品種

秋姫(あきひめ)は9月中旬から10月上旬が旬の大玉の品種です。果皮は、黄色をベースにところどころに赤紫や赤褐色のような色合いが混じります。果肉は濃い黄色で、きめ細かく歯ざわりがいい食感。糖度は14度近くもあり、非常に甘みが強いのが特徴です。

プルーン(西洋すもも)の代表的な品種

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プルーン(西洋すもも)は7月中旬~10月中旬に出回り、さまざまな品種が順に旬を迎えます。ここでは以下の3品種について、旬や色、味などの特徴をご紹介しましょう。

・サンプルーン
・スタンレイ
・プレジデント

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サンプルーン:日本でもっとも一般的なプルーン

サンプルーンは日本でもっとも多く生産されているプルーンで、9月中旬~10月月中旬が旬。果皮は深い紫色で、表面は白っぽい粉(ブルーム)が付着しています。黄褐色で透明感のある果肉は甘みと酸味のバランスがよく、味が濃いのが特徴です。

スタンレイ:旬が短いジューシーな品種

スタンレイは日本で2番目に多く生産されており、9月上旬~9月中旬という短い旬が特徴の品種です。果皮は濃い紫色でブルームに覆われ、ぶどうの巨峰にも似た風貌ですが、形は巨峰と異なり楕円形をしています。果肉は黄緑色や淡い黄色。ジューシーな味わいで甘すぎず、さっぱりと食べられます。

プレジデント:大型で糖度が高い品種

プレジデントは10月上旬~10月中旬の晩生(おくて)種。サンプルーンやスタンレイに比べて1.5~2倍ほどの重量がある大型のプルーンで、鶏卵ほどの大きさがあります。果皮は赤みがかった紫色でブルームも見られ、果肉は鮮やかな黄色。糖度は16度以上と非常に甘く、酸味はほとんど感じられません。

みずみずしいプラム・プルーンを食べ比べてみよう

プラムとプルーンはどちらもすもものことで、大まかには日本すももがプラム、西洋すももがプルーンと呼ばれます。場合によっては、ドライフルーツに適した種類やドライフルーツにしたすもも自体をプルーンと呼ぶこともあり、国や状況によって呼び分けられているのが現状です。

生のプラム・プルーンは6月~10月にかけて出回り、スーパーでも気軽に購入することができます。これまではあまり違いを気にしたことがなかったという方も、この記事を参考にしながら品種ごとに食べ比べ、味や食感の違いを感じてみてはいかがでしょうか

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プラムとプルーンの違いは中国原産かヨーロッパ原産か?語源や代表的な品種も食べ物好きライターが簡単にわかりやすく解説

今回は「プラム」と「プルーン」の違いを見ていきます。名前や見た目がよく似ているから、2つの違いを明確に答えられないやつも多いでしょう。プラムとプルーンはどちらも日本語で「すもも」と呼ばれる同じ仲間の植物。その中でも中国原産の品種とヨーロッパ原産の品種があり、それがプラムとプルーンの違いに関係しているらしいのです。この先は食べ物好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

プラムとプルーンはどちらも「すもも」

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プラムとプルーンは名前や見た目が似ているため、果物だけを見てもなかなか見分けるのが難しいですよね。それもそのはず。プラムとプルーンはどちらも日本語で「すもも」と呼ばれ、バラ目バラ科サクラ亜科に分類される同じ仲間の植物です。この記事では、プラムとプルーンの違いや語源、代表的な品種などを解説していきます。

「日本すもも」と「西洋すもも」の違い

日本語で「すもも」と呼ばれるプラムとプルーン。さらに細かく分けると「日本すもも」と「西洋すもも」と呼ばれるグループがあります。これがプラムとプルーンの違いにもかかわる1つのポイントになりますので、日本すももと西洋すももの違いを確認しておきましょう。

「日本すもも」は中国原産

日本すももは英語で「Japanese plum(ジャパニーズプラム)」や「Asian plum(アジアンプラム)」と呼ばれる中国原産のすももです。名前に「日本」が付いているので日本原産なのかと思ってしまいますが、実際には中国から日本へ奈良時代に伝来しました

日本すももは19世紀に日本からアメリカへ渡り、のちにアメリカで品種改良されたものが日本へ輸入されることになります。現在日本で販売されている日本すももは、すべてアメリカで改良された品種です。

「西洋すもも」はヨーロッパ原産

西洋すももはヨーロッパ原産のすももです。英語で「Prunus domestica(国内のプラム)」と呼ばれ、「Japanese plum」や「Asian plum」に相対する形で名付けられました。

カスピ海沿岸で生まれ、紀元前にはすでにヨーロッパの広い範囲で栽培されていた西洋プラム。アメリカには大航海時代に伝えられて広まり、19世紀にはカリフォルニアでの大規模な生産がおこなわれていたといいます。

プラム・プルーンの呼び分け

プラムとプルーンはどちらもすもも。では、具体的には何が「プラム」で何が「プルーン」なのでしょうか。実はその境界線はあいまいで、おおよそ以下の3パターンの考え方によって呼び分けられています

1.「日本すもも」か「西洋すもも」かの違い
2.果汁が「多い」か「少ない」かの違い
3.「生」か「乾燥」かの違い 

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