この記事では「薩摩切子」と「江戸切子」の違いを見ていきます。どちらも伝統的なガラス細工として有名ですね。ぐい吞みやロックグラスでもよく知られているが、いろいろな色や模様があってとても美しい工芸品です。この二大切子「薩摩切子」と「江戸切子」の特徴や違い、歴史を元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「薩摩切子」と「江戸切子」の違い

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切子(きりこ)というのを聞いたことがありますか。切子はガラスにカットを施したもの。このカットガラスの技法は回転する砥石でガラスの表面に溝を彫る技法で、溝の幅や深さなどで様々な文様をガラスの表面に入れることができます。その切子の中でも「薩摩切子」と「江戸切子」は日本を代表する切子です。まずは、その特徴や違いを見ていきましょう。

「薩摩切子」:ぼかし

「薩摩切子」の最大の特徴で「江戸切子」と大きく違うのは、カットした後の境界にできるグラデーションで「ぼかし」といわれるものです。「薩摩切子」では透明なガラスの上に色ガラスをかぶせているため、色ガラスの部分に分厚さがあり、カットすると色ガラスの部分から透明な部分へのグラデーションができます。このグラデーションを「ぼかし」と呼んでいるのです。そして、ガラスが厚く重厚感があるのも「薩摩切子」の特徴と言えます。

また、紅・藍・緑・紫・黄・金赤の6色が「薩摩切子」の伝統の色といわれ、黄と金赤は文献でしか残っていませんでしたが、1985年に再現されました。特に紅は「薩摩の紅ガラス」と呼ばれ「薩摩切子」を代表する色です。

「江戸切子」:色のコントラスト

「江戸切子」の特徴は色ガラスと透明ガラスとのコントラスがはっきりとしている点です。「江戸切子」では透明ガラスの上に色ガラスを吹き付けているためにガラスは薄く、カットしたあとの色ガラスとの境界がはっきりしています。また、「江戸切子」では着物などにも使われる亀甲、魚々子(ななこ)、麻葉などの伝統的な文様が多いのも特徴です。

「薩摩切子」と「江戸切子」の歴史

では、「薩摩切子」と「江戸切子」の歴史を見ていきましょう。

\次のページで「「薩摩切子」の歴史」を解説!/

「薩摩切子」の歴史

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薩摩にガラス文化が伝わったのは1846年、島津斉興(なりおき)が藩主のときで、江戸の職人だった四本亀次郎を薩摩に招いたのが始まりです。そして斉興のあとに藩主となった島津斉彬(なりあきら)のときに、切子を藩の産業のひとつとするため色ガラスの研究を奨励。その結果、複数の色が誕生し、「薩摩切子」は産業として発展していきます

「薩摩切子」は諸大名からの発注だけでなく、海外へも輸出されるなど、薩摩藩の産業の一つとなりました。篤姫の嫁入り道具としても知られていますね。

しかし、斉彬の死後、切子は急速に衰退したため、斉彬が藩主だった1951年~1958年の7年間だけだったこともあり「薩摩切子」は「幻の切子」とも呼ばれました。薩英戦争(1863年)で工場が焼失、西南戦争(1877年)前後に技術が途絶えたとされています。現在の「薩摩切子」は1985年に復元されたものです。

「江戸切子」の歴史

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「江戸切子」は1934年、ビードロ屋(ポルトガル語で「ビードロ」=ガラス)の加賀屋久兵衛がガラスに研磨剤(金剛砂)を使った技術で文様を施したのが始まりと言われています。食器、重箱、風鈴、手拭いがけなど日用品が江戸切子で作られていたのです。黒船来航で知られているペリーも「江戸切子」の美しさに驚いたという話も残っています。

明治時代に入ると海外から切子指導者を招くなどして、日本の切子職人の技術が向上しました。大正時代になるとガラスの品質も向上し、「江戸切子」の質もさらに向上することとなったのです。

「薩摩切子」と異なり、「江戸切子」は始まりから現在まで途絶えることなく受け継がれているため、2002年に国(経済産業省)が定める伝統工芸品に指定されました

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「薩摩切子」と「江戸切子」の違いはカット後の色合い

「薩摩切子」と「江戸切子」の大きな違いはカット後の色合いでしょう。厚い色ガラスを被せているために生じるカット面境界に見られるグラデーション=ぼかしがある「薩摩切子」、薄めのガラスで色ガラスと透明ガラスのコントラストがはっきりしているのが「江戸切子」です。歴史的な背景も異なりますが、どちらも日本を代表する切子として知られています。

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雑学

簡単で分かりやすい「薩摩切子」と「江戸切子」の違い!特徴や歴史を元塾講師が詳しく解説!

この記事では「薩摩切子」と「江戸切子」の違いを見ていきます。どちらも伝統的なガラス細工として有名ですね。ぐい吞みやロックグラスでもよく知られているが、いろいろな色や模様があってとても美しい工芸品です。この二大切子「薩摩切子」と「江戸切子」の特徴や違い、歴史を元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「薩摩切子」と「江戸切子」の違い

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切子(きりこ)というのを聞いたことがありますか。切子はガラスにカットを施したもの。このカットガラスの技法は回転する砥石でガラスの表面に溝を彫る技法で、溝の幅や深さなどで様々な文様をガラスの表面に入れることができます。その切子の中でも「薩摩切子」と「江戸切子」は日本を代表する切子です。まずは、その特徴や違いを見ていきましょう。

「薩摩切子」:ぼかし

「薩摩切子」の最大の特徴で「江戸切子」と大きく違うのは、カットした後の境界にできるグラデーションで「ぼかし」といわれるものです。「薩摩切子」では透明なガラスの上に色ガラスをかぶせているため、色ガラスの部分に分厚さがあり、カットすると色ガラスの部分から透明な部分へのグラデーションができます。このグラデーションを「ぼかし」と呼んでいるのです。そして、ガラスが厚く重厚感があるのも「薩摩切子」の特徴と言えます。

また、紅・藍・緑・紫・黄・金赤の6色が「薩摩切子」の伝統の色といわれ、黄と金赤は文献でしか残っていませんでしたが、1985年に再現されました。特に紅は「薩摩の紅ガラス」と呼ばれ「薩摩切子」を代表する色です。

「江戸切子」:色のコントラスト

「江戸切子」の特徴は色ガラスと透明ガラスとのコントラスがはっきりとしている点です。「江戸切子」では透明ガラスの上に色ガラスを吹き付けているためにガラスは薄く、カットしたあとの色ガラスとの境界がはっきりしています。また、「江戸切子」では着物などにも使われる亀甲、魚々子(ななこ)、麻葉などの伝統的な文様が多いのも特徴です。

「薩摩切子」と「江戸切子」の歴史

では、「薩摩切子」と「江戸切子」の歴史を見ていきましょう。

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