この記事では「就任」と「着任」の違いについてみていきます。どちらも社会人になると耳にすることのある言葉で、新しい職務につくときに使われる言葉ですが、どちらも「任」という字が使われていて似ているだけに、これらの言葉の使い分けに迷う人もいて当然でしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

就任と着任のざっくりした違い

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まずは就任と着任のおおまかな違いについて説明しましょう。「就任」新しい役職につくことを意味するのに対し、「着任」は部署が異動になったり転勤になったりして、新しい任地で新しい職務につくことを意味します。つまり、「就任」単に役職が新しくなるときに使うのに対し、「着任」役職に加え、場所も新しくなるときに使うという違いがあるのです。

就任と着任の漢字を説明

さきほど、「就任」と「着任」の違い単に新しい役職につくのか、役職に加え勤務場所も新しくなるのかという違いがあることを説明しましたが、ここからは両者の意味について理解を深めるため、それぞれに使われている漢字について見ていきたいと思います。

「任」は任されたことを抱え込む姿

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まずは「就任」と「着任」の両方につかわれている「任」という字について説明しましょう。成り立ちには当然諸説ありますが、例えば右側の「壬」という字は、糸を巻き取る道具に糸が巻かれ、太くなっている形が元になっているもので、「物の真ん中が太くなる」イメージを持つ形と考えられています。ですので、「妊娠」「妊婦」に使われる「妊」という字も「おんなへん」とこの「壬」から構成されているのです。

このようなイメージを持つ「壬」と「にんべん」を組み合わせることで、妊婦さんのお腹の中には赤ちゃんがいるように、「任」という字は、任された仕事をお腹の中に抱え込むイメージから作られたのではないかと考えられています。

「就」は成し遂げるべきことに取りかかるときに使う!

つぎは「就任」の「就」について説明しましょう。古代中国では、儀礼の建築物をつくるときには、建物をたてた後、犬を犠牲にして埋めることで邪気を払うという風習がありました。この「就」の字の、左の「京」は高い建物を、右の「犬」に似た形は犠牲になった犬をあらわし、建物を作って完成させる様子から、「成し遂げる」意味を持つ「就」という字が作られたと考えられています。

また、「就」訓読みでは「就(つ)く」と読みますが、説明したように「成し遂げる」という意味も持っているからか、「就職(仕事につくこと)」「就学(学校に入ること)」などのように、仕事や勉強などの、何か成し遂げるべきものにとりかかるときに使われる字です。ですから、役職がかわり、あたらしい仕事や役割にとりかかる意味を持つ「就任」という単語に使われるのでしょう。

\次のページで「「着」は草を集めてくっつけた様子」を解説!/

「着」は草を集めてくっつけた様子

「着」についてはみなさんも普段から何かと使うことの多い字かと思いますが、その成り立ちはご存じでしょうか?「着」という字は、実は以前は「著」という字を「着く」という意味でも使っていたのですが、それを簡略化して使うようになったものです。そして元となっている「著」という字は、下の「者」は「ものを集める」ことを意味し、それに「草かんむり」をつけることで、草から作った衣服を「きる」という様子から出来たのではないかなどと考えられています。

「着」も「就」と同じように訓読み「着(つ)く」と読みますが、字に「(実在するものを)着る」というイメージがあるからか、「到着」など、実際に存在するものが移動し、どこか他の場所に着くときに使われることの多い字です。ですので、役職だけでなく、働く場所も移動する意味を持つ「着任」という単語に使われるのでしょう。

「就く」……仕事など、成し遂げるべきことに取りかかる時に使う。
「着く」……実在するものが移動し、別の場所に着いた時に使う。

赴任との違いは?

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ここまで「就任」と「着任」の違いを説明してきましたが、同じく「任」の字を使い、同じように仕事で異動になった時に使われる言葉なだけに、「赴任」という言葉も「就任」や「着任」と混同されがちです。そこで、ここからは「赴任」という言葉について説明したいと思います。

「赴任」「赴」訓読み「赴(おもむ)く」と読み、「ある場所や方角のほうへ行く」という意味の字です。ですので、「赴任」も勤務地ごと変わるときに使いますが、新しい勤務先へ「行く」意味を持ち、新しい勤務に着くことを意味する「着任」反対語の関係にあたります。

就任は役職だけ、着任は役職と勤務地が新しくなるときに使う!

ここまでの説明で、「就任」役職が新しくなるときに使い、「着任」は役職だけでなく、勤務地も新しくなるときに使うという違いがあることや、「赴任」との違いなどもわかっていただけましたか。今回の説明が、少しでもみなさんのご理解に役立てたならば幸いです。

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簡単でわかりやすい!就任と着任の違いとは?赴任との違いも現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「就任」と「着任」の違いについてみていきます。どちらも社会人になると耳にすることのある言葉で、新しい職務につくときに使われる言葉ですが、どちらも「任」という字が使われていて似ているだけに、これらの言葉の使い分けに迷う人もいて当然でしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

就任と着任のざっくりした違い

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まずは就任と着任のおおまかな違いについて説明しましょう。「就任」新しい役職につくことを意味するのに対し、「着任」は部署が異動になったり転勤になったりして、新しい任地で新しい職務につくことを意味します。つまり、「就任」単に役職が新しくなるときに使うのに対し、「着任」役職に加え、場所も新しくなるときに使うという違いがあるのです。

就任と着任の漢字を説明

さきほど、「就任」と「着任」の違い単に新しい役職につくのか、役職に加え勤務場所も新しくなるのかという違いがあることを説明しましたが、ここからは両者の意味について理解を深めるため、それぞれに使われている漢字について見ていきたいと思います。

「任」は任されたことを抱え込む姿

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まずは「就任」と「着任」の両方につかわれている「任」という字について説明しましょう。成り立ちには当然諸説ありますが、例えば右側の「壬」という字は、糸を巻き取る道具に糸が巻かれ、太くなっている形が元になっているもので、「物の真ん中が太くなる」イメージを持つ形と考えられています。ですので、「妊娠」「妊婦」に使われる「妊」という字も「おんなへん」とこの「壬」から構成されているのです。

このようなイメージを持つ「壬」と「にんべん」を組み合わせることで、妊婦さんのお腹の中には赤ちゃんがいるように、「任」という字は、任された仕事をお腹の中に抱え込むイメージから作られたのではないかと考えられています。

「就」は成し遂げるべきことに取りかかるときに使う!

つぎは「就任」の「就」について説明しましょう。古代中国では、儀礼の建築物をつくるときには、建物をたてた後、犬を犠牲にして埋めることで邪気を払うという風習がありました。この「就」の字の、左の「京」は高い建物を、右の「犬」に似た形は犠牲になった犬をあらわし、建物を作って完成させる様子から、「成し遂げる」意味を持つ「就」という字が作られたと考えられています。

また、「就」訓読みでは「就(つ)く」と読みますが、説明したように「成し遂げる」という意味も持っているからか、「就職(仕事につくこと)」「就学(学校に入ること)」などのように、仕事や勉強などの、何か成し遂げるべきものにとりかかるときに使われる字です。ですから、役職がかわり、あたらしい仕事や役割にとりかかる意味を持つ「就任」という単語に使われるのでしょう。

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