簡単でわかりやすい!就任と着任の違いとは?赴任との違いも現役塾講師がわかりやすく解説
ライター/空野きのこ
大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。
就任と着任のざっくりした違い
image by iStockphoto
まずは就任と着任のおおまかな違いについて説明しましょう。「就任」は新しい役職につくことを意味するのに対し、「着任」は部署が異動になったり転勤になったりして、新しい任地で新しい職務につくことを意味します。つまり、「就任」が単に役職が新しくなるときに使うのに対し、「着任」は役職に加え、場所も新しくなるときに使うという違いがあるのです。
就任と着任の漢字を説明
さきほど、「就任」と「着任」の違いは単に新しい役職につくのか、役職に加え勤務場所も新しくなるのかという違いがあることを説明しましたが、ここからは両者の意味について理解を深めるため、それぞれに使われている漢字について見ていきたいと思います。
「任」は任されたことを抱え込む姿
image by iStockphoto
まずは「就任」と「着任」の両方につかわれている「任」という字について説明しましょう。成り立ちには当然諸説ありますが、例えば右側の「壬」という字は、糸を巻き取る道具に糸が巻かれ、太くなっている形が元になっているもので、「物の真ん中が太くなる」イメージを持つ形と考えられています。ですので、「妊娠」や「妊婦」に使われる「妊」という字も「おんなへん」とこの「壬」から構成されているのです。
このようなイメージを持つ「壬」と「にんべん」を組み合わせることで、妊婦さんのお腹の中には赤ちゃんがいるように、「任」という字は、任された仕事をお腹の中に抱え込むイメージから作られたのではないかと考えられています。
こちらの記事もおすすめ
3分でわかる専任と専属の違い!業務や不動産取引での使い方も雑学好きライターがわかりやすく解説
「就」は成し遂げるべきことに取りかかるときに使う!
つぎは「就任」の「就」について説明しましょう。古代中国では、儀礼の建築物をつくるときには、建物をたてた後、犬を犠牲にして埋めることで邪気を払うという風習がありました。この「就」の字の、左の「京」は高い建物を、右の「犬」に似た形は犠牲になった犬をあらわし、建物を作って完成させる様子から、「成し遂げる」意味を持つ「就」という字が作られたと考えられています。
また、「就」は訓読みでは「就(つ)く」と読みますが、説明したように「成し遂げる」という意味も持っているからか、「就職(仕事につくこと)」、「就学(学校に入ること)」などのように、仕事や勉強などの、何か成し遂げるべきものにとりかかるときに使われる字です。ですから、役職がかわり、あたらしい仕事や役割にとりかかる意味を持つ「就任」という単語に使われるのでしょう。
\次のページで「「着」は草を集めてくっつけた様子」を解説!/