簡単でわかりやすい!起訴猶予と不起訴との違いとは?起訴までの流れとともに法学部卒ライターが詳しく説明
ライター/ホンゴウ・タケシ
関西の某大学法学部法律学科したビジネスライター。「日本は法が治める国」という考えから、法が私たちの生活にどうつながっているのかを、わかりやすく解説していく。
そもそも起訴とは?
最初に結論を言います。「起訴猶予」とは検察官による「不起訴」処分となった理由の一つです。不起訴、つまり起訴をしなければ、罪を犯しても裁判を行うことはありません。今回のテーマである「起訴猶予と起訴との違い」を解説する前に、事件発生から起訴までの流れを通じて、そもそも起訴とは何なのかを整理しましょう。
事件発生から検察官送致(送致)までの流れ
事件発生後、容疑者(被疑者)を逮捕して、逃亡や共犯者・証拠の隠滅を防ぎます。警察では、被疑者の身柄が拘束できる48時間以内に、送致するかどうかを判断しなければなりません。
逮捕状を発付するには裁判官の承認が必要です。逮捕には、裁判所への出頭を確保するため被疑者の身柄拘束や、鑑定留置(心神や身体を鑑定するために病院などで拘束)などを目的とすることもあります。これらの目的もなく、また被疑者を身柄拘束する必要もない場合は、在宅で捜査を行い、被疑者の逮捕は行いません。この場合、捜査書類と証拠物のみを検察官に送致します(書類送検)。
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逮捕には、通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の3種類があります。逮捕状を提示するのが通常逮捕です。現行犯逮捕は私たち一般人にも逮捕権があります。急を要する場合の逮捕は緊急逮捕です。これは逮捕状はなくとも、懲役三年以上の罪を犯したことに疑いない十分な理由があるときに行います。ただし、逮捕後速やかに逮捕状を請求し、被疑者への提示が必要です。
送致から起訴までの流れ
逮捕の後、24時間以内に被疑者の勾留か釈放かを判断します。調査のために引き続き身柄拘束が必要と判断されると、検察官が裁判所に勾留請求を行いますが、勾留期間は最大20日間です。その間に起訴・不起訴の判断がなされ、起訴されると刑事裁判になります。
被疑者在宅で調査を行う場合、起訴までの期限に規定はありません。複雑な事件だと調査開始から起訴まで1年以上もかかることもありますが、一般的には数ヶ月程度で起訴・不起訴の判断が下されます。
起訴後の勾留期間は2ヶ月。その後も勾留継続の必要があれば1ヶ月ごとに更新可能です。ただし起訴後に裁判所から保釈が認められれば、保釈金を納めると身柄が解放されます。
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