地理に詳しい人や、野球好きなら「ドミニカ共和国」という国の名前は聞いたことがあるでしょう。ですが実は、もうひとつ「ドミニカ」あるいは「ドミニカ国」という、よく似た名前の国があるんです。
この2つの国は名前だけではなく、自然環境や歴史なども似通っている。では、双方の違いはどこにあるのか? それぞれの特徴や文化・名前が似ている理由などを、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

ドミニカとドミニカ共和国の違いをざっくり解説

最初に、ドミニカとドミニカ共和国の双方の違いをざっくり解説します。後述しますが、いずれもカリブ海に位置する温暖な気候の国で、ドミニカは完全な島国、一方のドミニカ共和国は「ほぼ」島国です。またコロンブスによって「発見」されて以降植民地化されていた長い歴史を持つ点など、多くの共通点を持っています。

このように、名前以外でも共通点が多いことから、細かい特徴を把握しないと両国の違いをはっきり知ることは難しいでしょう。

ドミニカ:カリブ海の共和制国家

image by iStockphoto

カリブ海に位置するドミニカは、日本と同じく、四方を海に囲まれた島国です。歴史的には1493年にコロンブスから「発見」されたのをきかっけに植民地化され、その後1978年に独立しました。立憲共和制が敷かれており、君主制あるいは王政でない点も日本と同様です。

ドミニカ国はとても自然が豊かで、カリブ海特有のたくさんの植物が自生しています。多くの観光客が訪れ、泉や滝なども見ごたえ十分。モーン・トロワ・ピトン国立公園は世界遺産にも認定されており、沸騰湖であるボイリング湖も名所として有名です。

気候は熱帯海洋性気候で、住んでいる人は一年中夏服を着ています。日中の年間平均気温は30度前後と高く、日本と比べて最低・最高気温の差が小さいのが特徴です。

ドミニカ共和国:カリブ海イスパニョーラ島内の共和国

ドミニカ共和国もまた、ドミニカと同じくカリブ海にあり、イスパニョーラ島の東側およそ3分の2を占めています。西側の残り3分の1はハイチ共和国で、ドミニカ共和国側の面積は日本の九州と同じくらい。人口は約1千万人です。

気候は熱帯のサバナ気候で、やはりドミニカと同様に温暖で蒸し暑い日も多いのですが、標高の高い地域は平地と比較した場合涼しく、過ごしやすいとされています。

ドミニカ共和国といえば「野球」を連想する人も多いでしょう。実はドミニカ共和国は野球大国でもあり、これまでも多くの野球選手をアメリカのメジャーリーグベースボールに輩出しています。同国出身のメジャーリーガーはどの国よりも多いというから驚きです。

ドミニカとドミニカ共和国の違いをもっと詳しく!

前項までで、まずはドミニカとドミニカ共和国の自然環境や国の特徴について、ざっくりした違いを説明してきました。次項以降ではさらにもう少し掘り下げて、地理的な位置や言語・人口・政治体制の違いなどを見ていきましょう。

1.地理的な位置や言語の違い

ドミニカとドミニカ共和国の地理的な位置と言語の違いについても解説しておきます。まず、ドミニカは日本と同じ島国ですが、一方のドミニカ共和国は同一の島内でハイチ共和国と国境を接しているので完全な「島国」とは言えません。

また両国の言語について、ドミニカ共和国の公用語はスペイン語で、ハイチ語も広く用いられています。一方のドミニカでは公用語として英語が、またフランスによって支配されていた時期の名残でクレオール語を話す人も多いです。

2.人口や政治体制の違い

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次に両国の人口と政治体制ですが、ドミニカの人口は約7万人で、ドミニカ共和国は約1千万人とけた違いです(2021年時点)。また、ドミニカの人口密度は1平方キロメートルあたり約100人で、それに対しドミニカ共和国は約230人と、だいぶ差があることが理解できるでしょう。

ドミニカは共和制を採用しており、議院は一院制です。30ある定数のうち21の議席が直接選挙で選出される仕組みになっています。イギリスからは1978年に独立を果たしました。

一方のドミニカ共和国は立憲共和制を採用しており、二院制で元首の任期は4年で直接選挙によって選ばれます。日本と同じく、行政・立法・司法が独立した民主主義制度の国です。

ドミニカとドミニカ共和国の共通点

ドミニカとドミニカ共和国は、両者は名前こそ同じものの、基本的には全く違う国と考えていいでしょう。具体的にどんな点が異なるのかは別項に譲るとして、ここでは共通点を挙げていきます。

両国はどちらもカリブ海にあり、海に面しているという点は共通です。しかしドミニカ共和国は、島を二分してハイチと隣接しているため、ドミニカや日本のような完全な島国ではありません。

また民族的にも、一部にアフリカ系と混血の人々がみられる点は共通しているのですが、外務省のデータによるとその割合は全く異なっています。ドミニカ共和国ではほとんどの人が混血なのに対し、ドミニカは十人の8割以上がアフリカ系です。

また、歴史を紐解くと、いずれもコロンブスによってヨーロッパ人に「発見」され、独立するまで植民地だったという点も共通しています。

\次のページで「ドミニカとドミニカ共和国の名前が似ている理由」を解説!/

ドミニカとドミニカ共和国の名前が似ている理由

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ドミニカとドミニカ共和国の名前はよく似ていますが、それぞれ語源に直接の関係はありません。まずドミニカの名称は、コロンブスが1493年に来島した日が日曜日(スペイン語でドミンゴ)だったので、ドミンゴと名付けられたものです。

一方のドミニカ共和国も、1492年にコロンブスが到達したことで「スペインのもの」という意味である「イスパニョーラ」と名付けられました。その後の植民地時代はカトリックの聖人の名前である「サント・ドミンゴ」「スペイン人ハイチ共和国」などと呼ばれています。

1865年には独立を果たし、その際に、先のサント・ドミンゴのドミンゴがもとになり現在のドミニカ共和国という名前に落ち着きました。

ドミニカとドミニカ共和国は名前が似ているだけで全く違う国

ドミニカとドミニカ共和国はたまたま名前が似通っていますが、ドミニカの国名は「日曜日」に由来し、ドミニカ共和国は人名に由来しているという違いがあります。他にもさまざまな共通点があるので、むしろ違いを探すのが難しいかも知れません。

ただ、両国ともかつて西欧諸国に植民地化された歴史を持っており、それが現在の政治体制や民族の違いにも影響しています。さらに掘り下げれば、それぞれ全く違う歴史を持つ国であることが理解できるでしょう。

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簡単でわかりやすい!ドミニカとドミニカ共和国の違いは?特徴や文化・名前が似ている理由も雑学好きライターが詳しく解説

地理に詳しい人や、野球好きなら「ドミニカ共和国」という国の名前は聞いたことがあるでしょう。ですが実は、もうひとつ「ドミニカ」あるいは「ドミニカ国」という、よく似た名前の国があるんです。
この2つの国は名前だけではなく、自然環境や歴史なども似通っている。では、双方の違いはどこにあるのか? それぞれの特徴や文化・名前が似ている理由などを、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

ドミニカとドミニカ共和国の違いをざっくり解説

最初に、ドミニカとドミニカ共和国の双方の違いをざっくり解説します。後述しますが、いずれもカリブ海に位置する温暖な気候の国で、ドミニカは完全な島国、一方のドミニカ共和国は「ほぼ」島国です。またコロンブスによって「発見」されて以降植民地化されていた長い歴史を持つ点など、多くの共通点を持っています。

このように、名前以外でも共通点が多いことから、細かい特徴を把握しないと両国の違いをはっきり知ることは難しいでしょう。

ドミニカ:カリブ海の共和制国家

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カリブ海に位置するドミニカは、日本と同じく、四方を海に囲まれた島国です。歴史的には1493年にコロンブスから「発見」されたのをきかっけに植民地化され、その後1978年に独立しました。立憲共和制が敷かれており、君主制あるいは王政でない点も日本と同様です。

ドミニカ国はとても自然が豊かで、カリブ海特有のたくさんの植物が自生しています。多くの観光客が訪れ、泉や滝なども見ごたえ十分。モーン・トロワ・ピトン国立公園は世界遺産にも認定されており、沸騰湖であるボイリング湖も名所として有名です。

気候は熱帯海洋性気候で、住んでいる人は一年中夏服を着ています。日中の年間平均気温は30度前後と高く、日本と比べて最低・最高気温の差が小さいのが特徴です。

ドミニカ共和国:カリブ海イスパニョーラ島内の共和国

ドミニカ共和国もまた、ドミニカと同じくカリブ海にあり、イスパニョーラ島の東側およそ3分の2を占めています。西側の残り3分の1はハイチ共和国で、ドミニカ共和国側の面積は日本の九州と同じくらい。人口は約1千万人です。

気候は熱帯のサバナ気候で、やはりドミニカと同様に温暖で蒸し暑い日も多いのですが、標高の高い地域は平地と比較した場合涼しく、過ごしやすいとされています。

ドミニカ共和国といえば「野球」を連想する人も多いでしょう。実はドミニカ共和国は野球大国でもあり、これまでも多くの野球選手をアメリカのメジャーリーグベースボールに輩出しています。同国出身のメジャーリーガーはどの国よりも多いというから驚きです。

ドミニカとドミニカ共和国の違いをもっと詳しく!

前項までで、まずはドミニカとドミニカ共和国の自然環境や国の特徴について、ざっくりした違いを説明してきました。次項以降ではさらにもう少し掘り下げて、地理的な位置や言語・人口・政治体制の違いなどを見ていきましょう。

1.地理的な位置や言語の違い

ドミニカとドミニカ共和国の地理的な位置と言語の違いについても解説しておきます。まず、ドミニカは日本と同じ島国ですが、一方のドミニカ共和国は同一の島内でハイチ共和国と国境を接しているので完全な「島国」とは言えません。

また両国の言語について、ドミニカ共和国の公用語はスペイン語で、ハイチ語も広く用いられています。一方のドミニカでは公用語として英語が、またフランスによって支配されていた時期の名残でクレオール語を話す人も多いです。

2.人口や政治体制の違い

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次に両国の人口と政治体制ですが、ドミニカの人口は約7万人で、ドミニカ共和国は約1千万人とけた違いです(2021年時点)。また、ドミニカの人口密度は1平方キロメートルあたり約100人で、それに対しドミニカ共和国は約230人と、だいぶ差があることが理解できるでしょう。

ドミニカは共和制を採用しており、議院は一院制です。30ある定数のうち21の議席が直接選挙で選出される仕組みになっています。イギリスからは1978年に独立を果たしました。

一方のドミニカ共和国は立憲共和制を採用しており、二院制で元首の任期は4年で直接選挙によって選ばれます。日本と同じく、行政・立法・司法が独立した民主主義制度の国です。

ドミニカとドミニカ共和国の共通点

ドミニカとドミニカ共和国は、両者は名前こそ同じものの、基本的には全く違う国と考えていいでしょう。具体的にどんな点が異なるのかは別項に譲るとして、ここでは共通点を挙げていきます。

両国はどちらもカリブ海にあり、海に面しているという点は共通です。しかしドミニカ共和国は、島を二分してハイチと隣接しているため、ドミニカや日本のような完全な島国ではありません。

また民族的にも、一部にアフリカ系と混血の人々がみられる点は共通しているのですが、外務省のデータによるとその割合は全く異なっています。ドミニカ共和国ではほとんどの人が混血なのに対し、ドミニカは十人の8割以上がアフリカ系です。

また、歴史を紐解くと、いずれもコロンブスによってヨーロッパ人に「発見」され、独立するまで植民地だったという点も共通しています。

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