この記事ではアサーションとアサーティブの違いについてみていきます。どちらも音が似ていますね。ビジネスシーンなどでは同じような意味で使われているようですが、様々な視点で見てみると多少の違いもあるみたいです。
今回はアサーションとアサーティブの違いを、トレーニングの内容も詳しく見ていきながら、アサーション・スキル研修経験のあるライターさやかと一緒に解説していきます。

ライター/さやか

現在4歳の娘を育てながらライターとして活動中。介護職に就いていた当時、アサーション・スキルについての研修を受けたことがある。その内容はその後の人生にも大いに役立っている。

アサーションとアサーティブの違いとは?

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「アサーション」「アサーティブ」。とても似ている言葉ですよね。コミュニケーションスキルの一つとして、ビジネスシーンなどで耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。では、この2つの言葉の間に違いはあるのか、詳しく見ていきましょう。

臨床心理学的な意味としては同じ

「アサーション」「アサーティブ」は「断言する」「主張する」という意味があります。「アサーティブ・コミュニケーション」は「自分の気持ちや考えをそのまま正直に伝える」という方法のことです。そのためのスキルのことを「アサーション・スキル」と呼ぶこともあります。

これらは臨床心理学に基づいた心理療法の一つとして用いられていますが、現在はビジネスシーンや、日常においても人間関係を円滑に構築していくためのスキルの一つとして、一般にも広まっているようです。

このように、現代社会において「アサーション」と「アサーティブ」は、ほぼ同じ意味合いで用いられていると言っていいでしょう。

英単語としての違い

もちろん、英単語として見ると違いがあります。「アサーション(assertion)」は名詞であり、「アサーティブ(assertive)」は形容詞です。「言い張る」「独断的な」という意味もあります。

このように、コミュニケーションスキルとして「正直に」「そのまま伝える」と言った意味だけではなく、英語ではもう少し強いニュアンスも含まれるようです。

・make an assertion 「主張する、断言する」
・assertiveness「積極性、強情さ、でしゃばり」

監査用語の「アサーション」

また、監査業務において「アサーション」という言葉が使われることもあるようです。この場合は「監査要点」という意味で使われますが、監査要点とは、対象となる事柄・項目などを正しく監査するために目標とする基準を指します。

具体的には「すべて記録されているか?」「適切な価額か?」「正しい期間に計上しているか?」というような基準です。正しいと「断定」するための1つの基準、ボーダーラインという意味が「アサーション」という言葉で表現されているのですね。

アサーション・トレーニングとは?

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では、アサーション・トレーニングは具体的にどうすれば実践できるのでしょうか?ここでは、内容をシンプルにまとめて紹介しています。意識すれば、すぐに実生活でも取り入れることができますよ。

1.目的

コミュニケーションスキルとしての「アサーション」とは「自分の気持ちを正直に伝え合いながら、お互いに相手の意見も尊重する」ということを表します。それができるようになると、健康的に自己主張し合える良好な人間関係を構築できるようになるので、そのための力を鍛えることがこのトレーニングの目的です。

2.方法

まずは「適切(アサーティブ)・不適切(ノン・アサーティブ)な自己表現方法」があることを知った上で、具体的な伝え方を学び、ロールプレイニングやワークなどを通じて実践し、実践的な方法を理解します。この体験を活かして、その後は実際の人間関係において実践を重ねていくことが大切です。

\次のページで「3.歴史」を解説!/

【自己表現方法】
1.「非主張的」な自己表現(ノン・アサーティブ)
自分の考えを伝えられない。実際は違う意見を持っていても、相手の意見に合わせてしまう。

2.「攻撃的」な自己表現(ノン・アサーティブ)
自己主張はできるが、相手の意見や言い分を無視する、受け入れない、自分の考えだけを押し付ける。

3.「適切」な自己表現(アサーティブ)
自己主張ができ、かつ相手の言い分を聞こうとする。お互いにNoを言える権利があることを理解して、建設的に話し合うことができる。

アサーション・トレーニングの方法はたくさんありますが、「I(アイ)メッセージ」で伝える方法なども有名です。

I(アイ)メッセージとは、相手に何かを伝える時の主語を「私」にする方法。例えば、何かトラブルが起こった時に「あなたが悪い」と責めるのは「あなた」が主語の「YOU(ユー)メッセージ」と言われ、相手は責められていると強く感じます。そんな時、I(アイ)メッセージで「私はこういうふうに感じたから悲しかった、だから私はこういうふうにしてもらえると嬉しい」という伝え方をすると、円滑にコミュニケーションを続けられやすいというもの。

この方法は、どんな相手・どんな場面でも活用できますよ。

3.歴史

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アサーションに関する考え方は、アメリカの臨床心理学者アンドリュー・ソルターが1949年に著した「条件反射療法」が最初と言われています。1950年代には、精神科医のジョセフ・ウォルピなどによって「対人関係がうまくいかない人・自己表現が苦手な人」のための訓練法としてアサーション・トレーニングが確立されました。

1970年代にアメリカで人権運動が活発化した頃、心理学者のロバート・E・アルベルティとマイケル・L・エモンズの共著「Your Perfect Right(あなたの完全な権利)」が広く読まれ、それを契機にアサーティブ・コミュニケーションは医療機関だけでなく、教育、福祉、産業などの分野にも広がっていきました。

日本では、1990年代に心理療法家の平木典子先生がアサーティブコミュニケーションを紹介し、企業研修、市民講座、セクハラ防止、いじめの防止などで活用されるようになったようです。

アサーションとアサーティブはどちらも「お互いを対等に尊重し合いながら主張する」という意味

価値観がますます多様化し、それを認め合う態度が求められる現代社会では、「アサーション・スキル」や「アサーティブ・コミュニケーション」は必須のスキルと言えるでしょう。アサーティブ・コミュニケーションの考え方は、人生の長きにわたってとても役に立ちますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。

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3分でわかる!アサーションとアサーティブの違いとは?アサーション・トレーニングの方法もアサーション・スキル研修経験ライターがわかりやすく解説!

この記事ではアサーションとアサーティブの違いについてみていきます。どちらも音が似ていますね。ビジネスシーンなどでは同じような意味で使われているようですが、様々な視点で見てみると多少の違いもあるみたいです。
今回はアサーションとアサーティブの違いを、トレーニングの内容も詳しく見ていきながら、アサーション・スキル研修経験のあるライターさやかと一緒に解説していきます。

ライター/さやか

現在4歳の娘を育てながらライターとして活動中。介護職に就いていた当時、アサーション・スキルについての研修を受けたことがある。その内容はその後の人生にも大いに役立っている。

アサーションとアサーティブの違いとは?

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「アサーション」「アサーティブ」。とても似ている言葉ですよね。コミュニケーションスキルの一つとして、ビジネスシーンなどで耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。では、この2つの言葉の間に違いはあるのか、詳しく見ていきましょう。

臨床心理学的な意味としては同じ

「アサーション」「アサーティブ」は「断言する」「主張する」という意味があります。「アサーティブ・コミュニケーション」は「自分の気持ちや考えをそのまま正直に伝える」という方法のことです。そのためのスキルのことを「アサーション・スキル」と呼ぶこともあります。

これらは臨床心理学に基づいた心理療法の一つとして用いられていますが、現在はビジネスシーンや、日常においても人間関係を円滑に構築していくためのスキルの一つとして、一般にも広まっているようです。

このように、現代社会において「アサーション」と「アサーティブ」は、ほぼ同じ意味合いで用いられていると言っていいでしょう。

英単語としての違い

もちろん、英単語として見ると違いがあります。「アサーション(assertion)」は名詞であり、「アサーティブ(assertive)」は形容詞です。「言い張る」「独断的な」という意味もあります。

このように、コミュニケーションスキルとして「正直に」「そのまま伝える」と言った意味だけではなく、英語ではもう少し強いニュアンスも含まれるようです。

・make an assertion 「主張する、断言する」
・assertiveness「積極性、強情さ、でしゃばり」

監査用語の「アサーション」

また、監査業務において「アサーション」という言葉が使われることもあるようです。この場合は「監査要点」という意味で使われますが、監査要点とは、対象となる事柄・項目などを正しく監査するために目標とする基準を指します。

具体的には「すべて記録されているか?」「適切な価額か?」「正しい期間に計上しているか?」というような基準です。正しいと「断定」するための1つの基準、ボーダーラインという意味が「アサーション」という言葉で表現されているのですね。

アサーション・トレーニングとは?

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では、アサーション・トレーニングは具体的にどうすれば実践できるのでしょうか?ここでは、内容をシンプルにまとめて紹介しています。意識すれば、すぐに実生活でも取り入れることができますよ。

1.目的

コミュニケーションスキルとしての「アサーション」とは「自分の気持ちを正直に伝え合いながら、お互いに相手の意見も尊重する」ということを表します。それができるようになると、健康的に自己主張し合える良好な人間関係を構築できるようになるので、そのための力を鍛えることがこのトレーニングの目的です。

2.方法

まずは「適切(アサーティブ)・不適切(ノン・アサーティブ)な自己表現方法」があることを知った上で、具体的な伝え方を学び、ロールプレイニングやワークなどを通じて実践し、実践的な方法を理解します。この体験を活かして、その後は実際の人間関係において実践を重ねていくことが大切です。

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