今回は「キンパ」と「海苔巻き」の違いを見ていきます。キンパはごはんと具材を海苔で巻いた韓国料理の一種です。実はこのキンパ、日本の海苔巻きから派生した料理で、海苔巻きが韓国に伝わった後に現地の味わいに進化していったんです。今では味付けや具材の種類、海苔の仕上げに違いがみられるようになった。この先は食べ物好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

韓国料理の「キンパ」とは?

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韓国料理の1つとして日本でも人気の高い「キンパ」。韓国料理店ではもちろん、現在ではコンビニやスーパーなどの小売店でも販売され、気軽に手に取れるようになりました。キンパという料理について詳しく確認していきましょう。

キンパってどんな食べ物?

韓国料理のキンパは、ごはんの中心に具材を入れて海苔で巻いた食べ物。何種類もの具材が使用された食べ応えのある太巻きで、ごま油と白ごまの香りが食欲をそそります。輪切りにして提供されるため、彩り豊かで美しい断面も魅力の1つです。

キンパの歴史

キンパは日本の「海苔巻き」が韓国に伝わり、韓国風にアレンジされ発展していったものです。キンパの原型とも思われる食べ物は1819年に記された書籍の中にも記載されており、1935年の新聞で初めて「キムパプ」という呼び名が使用されました。

\次のページで「キンパの名前の由来」を解説!/

キンパの名前の由来

キンパ(キンパプ)の「キム」は海苔、「パプ」はごはんを意味する言葉。韓国語では「キーンバッ」や「キーンパッ」のように発音されます。

元が日本の海苔巻きだったこともあり、伝来初期には韓国でも「ノリマキ」と呼ばれていました。1948年には韓国国内で「김밥(キムパプ)」を正式名称とするよう呼びかけられましたが、1990年代までは民間で「ノリマキ」の呼び名が残っていたといいます。1996年に再び「キンパプ」の名称を推進する動きがあり、統一されていきました。

日本料理の「海苔巻き」とは?

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キンパの元となった日本料理の「海苔巻き」についても詳しく見ていきましょう。食材を海苔で巻いた料理を「○○の海苔巻き」などと表現することもありますが、一般的に海苔巻きといえば巻き寿司のことを指します。酢飯の中心に具材を入れ、海苔で巻いたお寿司です。

海苔巻きってどんな食べ物?

海苔巻きには細巻きのタイプと太巻きのタイプがあり、細巻は1~2種類の具材を直径3cm程度の太さで巻いたもの、太巻きは3種類以上の具材を直径5cm程度の太さで巻いたものです。具材にはさまざまなものが使用されますが、江戸前寿司で海苔巻きといえば「かんぴょう巻」を指し、海苔巻きの代表として親しまれています。

海苔巻きの歴史

海苔巻きは1750年の料理本にはすでに記述があり、少なくてもこのころには料理として存在していました。1787年に刊行された飲食店や商品に関する分析を行った書籍では、江戸の寿司屋で提供されるメニューの1つとして紹介がされていますので、すでに定番料理として提供されていたことが伺えます。

キンパと海苔巻きの3つの違い

キンパと海苔巻きは元が同じ料理だったこともあり、外見や作り方はそっくり。ほぼ同じ料理にも思えてしまいますが、よくよく観察すれば以下の3つの違いを見出すことができます。

1.ご飯の味付けの違い
2.具材の違い
3.海苔の仕上げの違い

\次のページで「1.ごはんの味付けの違い」を解説!/

1.ごはんの味付けの違い

1つ目の違いはごはんの味付け。キンパはごはんをごま油と塩で味付けするのに対し、海苔巻きのごはんは酢飯。酢・塩・砂糖で作った寿司酢をごはんと混ぜ、酸味と甘みを感じる味に仕上げます。1958年ごろまではキンパの味付けにも酢や砂糖が使われていたそうですが、その後はごま油と塩に変化していきました。

2.具材の違い

2つ目の違いは具材です。キンパは玉子焼き・人参・ごぼう・ほうれん草・きゅうり・たくあんなどの具材が主流で、アレンジとしてキムチ・チーズ・カニカマ・プルコギ(牛肉の甘辛炒め)などを入れることもあります。

海苔巻きはきゅうり・かんぴょう・玉子焼き・納豆や、キンパでは使用されないまぐろ・あなご・えびなどの海鮮が一般的。この他、家庭で作られる海苔巻きでは好きな具材を取り入れることも多く、自由度の高い料理です。

\次のページで「3.海苔の仕上げの違い」を解説!/

3.海苔の仕上げの違い

3つ目の違いは海苔の仕上げです。ごはんと具材を海苔で巻くことは共通していますが、キンパは巻き終わった海苔の表面にごま油を塗り、白ごまを散らして香りと彩りを加えます。韓国のりを使うのではなく、普通の海苔を使ってあとから塗るのがポイント。一方の海苔巻きは海苔に何も手を加えず、巻き終わったら完成です。

キンパの人気レシピ

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キンパを家庭でも作りたいという方のために、家庭でも簡単にできる人気のレシピをご紹介します。

【材料】2本分
・牛肉…100g(薄切り肉)
・(A)砂糖…小さじ2
・(A)醤油…小さじ2
・(A)コチュジャン…小さじ1/2
・(A)生姜(すりおろし)…1/2片分
・ほうれん草…2株
・にんじん…1/4本
・卵焼き…お好みの量
・ごはん…300g(温かい状態)
・焼き海苔…2枚
・塩…作り方に記載
・ごま油…作り方に記載
・鶏ガラスープのもと…作り方に記載
・いりごま…お好みの量

【作り方】
1.牛肉を細切りにする。フライパンにごま油小さじ1を入れて中火で熱し、牛肉を炒める。火が通ったら(A)の調味料を加えて煮詰める。お皿にあげて粗熱をとる。
2.にんじんを細切りにする。フライパンにごま油小さじ1/2を入れて中火で熱し、人参を炒める。鶏ガラスープのもと小さじ1/4・塩少々・いりごま適量を加えて炒める。お皿にあげて粗熱をとる。
3.ほうれん草は1分ほど茹でて冷水にさらし、水気を絞って3㎝幅に切る。鶏ガラスープのもと小さじ1/4・ごま油小さじ1/2・いりごま適量を加えて和える。
4.ごはんにごま油小さじ1・塩小さじ1/4を混ぜて粗熱をとる。
5.巻き簾(なければラップ)の上に焼き海苔1枚を乗せ、手前の3/4の範囲にごはん(半分)を均一に広げる。各具材(半分)を一列ずつ並べ、手前から巻く。巻き終わりを下にしておくときれいに仕上がる。もう1本も同様に巻く。
6.海苔の表面にごま油を薄く塗り、いりごまを散らす。食べやすい幅に切って完成。

キンパを作って食べてみよう!

キンパは韓国風の海苔巻きで、日本の海苔巻き(巻き寿司)が元になった料理。キンパと海苔巻きはよく似た見た目をしていますが、ごはんの味付けや具材の種類、海苔の仕上げが異なり、それぞれの個性を持った料理として親しまれています。家庭でも気軽に作れるため、ぜひチャレンジしてみてくださいね

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韓国のキンパと日本の海苔巻きの違いとは?キンパは海苔巻きが原型?味付けや人気レシピも外食好きライターが簡単にわかりやすく解説

今回は「キンパ」と「海苔巻き」の違いを見ていきます。キンパはごはんと具材を海苔で巻いた韓国料理の一種です。実はこのキンパ、日本の海苔巻きから派生した料理で、海苔巻きが韓国に伝わった後に現地の味わいに進化していったんです。今では味付けや具材の種類、海苔の仕上げに違いがみられるようになった。この先は食べ物好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

韓国料理の「キンパ」とは?

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韓国料理の1つとして日本でも人気の高い「キンパ」。韓国料理店ではもちろん、現在ではコンビニやスーパーなどの小売店でも販売され、気軽に手に取れるようになりました。キンパという料理について詳しく確認していきましょう。

キンパってどんな食べ物?

韓国料理のキンパは、ごはんの中心に具材を入れて海苔で巻いた食べ物。何種類もの具材が使用された食べ応えのある太巻きで、ごま油と白ごまの香りが食欲をそそります。輪切りにして提供されるため、彩り豊かで美しい断面も魅力の1つです。

キンパの歴史

キンパは日本の「海苔巻き」が韓国に伝わり、韓国風にアレンジされ発展していったものです。キンパの原型とも思われる食べ物は1819年に記された書籍の中にも記載されており、1935年の新聞で初めて「キムパプ」という呼び名が使用されました。

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