この記事では「and」と「or」の違いをみていきます。英語の勉強を始めてすぐに出てくる単語ですが、正しい使い方はちゃんと身についているでしょうか。簡単に見える単語ほど落とし穴があるものです。基本的な意味に加え、注意すべき使い方などを例文も紹介しながら元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「and」と「or」の違い

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英語の勉強を始めると比較的早い段階で出てくる「and」と「or」ですが、実は奥が深い単語です。基本的な使い方は皆さんもすでにご存じだと思いますが、注意すべき点がいくつか見られます。まずは、基本的な意味を確認していきましょう。

「and」:両方・全部

まずは「and」の基本的な意味を確認しましょう。「and」は後述の「or」と同様、単語と単語、句と句、節と節、文と文をつなぐ接続詞です。基本的な意味はというと、「A and B」は「AとB」と訳し、AとBの両方を表します。

3つ以上のものを並べる場合は「A, B and C」のように最初の単語はカンマでつなぎ、最後の単語だけを「and」でつなぐのが基本です。「A, B and C」の場合は、AとBとC全部を表します。4つであれば「A, B, C and D」のように表記しましょう。

1. I went to Tokyo and Osaka.
「私は東京と大阪に行きました。」
2. I want to buy apples, oranges and grapes.
「りんごとオレンジとブドウを買いたいです。」

1の例文で、私は「東京と大阪の両方」に行ったということになります。2の例文で私が買いたいのは「リンゴとオレンジとブドウの3つ全て」ということですね。このように「and」を使う場合、「and」でつながれたものすべてを含んでいます。

「or」:どれか一つ

次に「or」について見ていきます。「and」同様、接続詞で単語と単語、句と句、節と節、文と文をつなぐ役割をもった単語です。「A or B」で「AまたはB」「AかBか」と訳し、AかBのどちらかを一つを表しています。3つ以上並べるときは「and」同様の表記です(例「A, B or C」)。

\次のページで「要注意!否定文での使い方」を解説!/

1. I will go to Tokyo or Osaka.
「私は東京か大阪に行きます。」
2. Which do you like better, coffee or tea?
「コーヒーと紅茶、どちらの方が好きですか。」
3. I want to buy apples, oranges or grapes.
「リンゴかオレンジかブドウを買いたいです。」

1では旅行先か就職先について話しているのでしょうか。私の行き先として「東京か大阪のどちらか一つ」を考えているということですね。2では「コーヒーか紅茶のどちらか一つ」を選ばせるような質問となっています。3は「リンゴかオレンジかブドウのどれか一つ」を買いたいと言っている文です。このように「or」を使う場合、「or」でつながれたものの一つということになります。

要注意!否定文での使い方

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「and」は「~と~」、「or」は「~か~か」「~または~」という意味の接続詞ですが、否定文では使い方に注意が必要となります。否定文での使い方を詳しく見ていきましょう。

否定文での「and」:部分否定

「A and B」は「AとBの両方」という意味でしたが、「not」と一緒に使い「not A and B」、つまり否定文では「AとBの両方がない」という意味にはなりません。「I don't have a pen and a book.」というとき、notで否定されているのは、「a pen and a book」全体で、ペンと本の「両方」であること、つまりペンと本のセットであることを否定しています。

ですから、「I don't have a pen and a book.」は「a pen and a book」のセットはないが、どちらか一つは持っているかもしれない、という意味になるのです。

1. She does not speak English and French.
「彼女は英語とフランス語の両方を話すわけではありません。」
→彼女が話すのは英語かフランス語のどちらか一つ。

2. Don't drink and drive.
「飲んだら乗るな。」
→両方を否定しているわけではないので、「飲む(飲酒)」か「運転」のどちらか一つ。

3. You can't have your cake and eat it.
「二兎を追う者は一兎をも得ず。」
→ここではケーキを持っていることと食べることの「両方」を否定しているので、持っているか食べるかのどちらか一つ。つまりどちらかを選べばどちらかは諦めるしかないということ。

否定文の「or」:全否定

「or」を否定文で使うとき、つまり「not A or B」で「not」はAとBの両方を否定することとなり、「not A or B」=「not A and not B」を表し「AでもBでもない」という意味で全否定となります。

前述の否定文の「and」で示した例文「Don't drink and drive.」を「Don't drink or drive.」とすると、飲酒も運転もするな、という意味になってしまうのです。

1. Don't eat or drink here.
「ここでは飲食禁止。」
→食べることも飲むことも両方できない。

2. I don't have time or money.
「お金も時間もありません。」
→お金と時間の両方がないということ。

命令文+「and」「or」

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最後に命令文の後に続く「and」と「or」の違いを紹介しましょう。

命令文+「and」:そうすれば

「命令文, and~」で「…しなさい、そうすれば~」という意味になります。「and」の後は「主語+動詞」で始まる文が続き肯定的な内容です。

\次のページで「命令文+「or」:さもないと」を解説!/

1. Study hard, and you will pass the entrance exam.
「しっかり勉強しなさい、そうすれば入試に合格しますよ。」
2. Walk faster, and you will be in time for next train.
「速く歩きなさい、そうすれば次の電車に間に合いますよ。」

命令文+「or」:さもないと

「命令文, or~」で「…しなさい、さもないと~」という意味で、「or」の後には「主語+動詞」の文が続き、否定的な内容となります。

1. Get up early, or you will be late for school.
「早く起きなさい、さもないと遅刻するよ。」
2. Stop, or you will get shot.
「止まれ、さもないと撃つぞ。」

「and」と「or」の違いは対象をすべて含むかどうか

「and」と「or」を見てきましたが、肯定文・否定文のどちらでも言えることは「and」「or」でつながれた対象をすべて含んでいるかどうかです。肯定文では「and」が対象をすべて含んでいるのに対して「or」はどれか一つに絞られました。しかし、否定文ではその逆で「and」の場合は対象をすべて含んでいるとは限らない(部分否定)ことを表し、「or」は対象全てを否定する(全否定)ことを表します。日本語で考えるとちょっとややこしく感じるでしょうが、ぜひ上手に使い分けてほしい接続詞です。

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雑学

簡単で分かりやすい「and」と「or」の違い!正しい使い方や注意点も元塾講師が詳しく解説!

この記事では「and」と「or」の違いをみていきます。英語の勉強を始めてすぐに出てくる単語ですが、正しい使い方はちゃんと身についているでしょうか。簡単に見える単語ほど落とし穴があるものです。基本的な意味に加え、注意すべき使い方などを例文も紹介しながら元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「and」と「or」の違い

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英語の勉強を始めると比較的早い段階で出てくる「and」と「or」ですが、実は奥が深い単語です。基本的な使い方は皆さんもすでにご存じだと思いますが、注意すべき点がいくつか見られます。まずは、基本的な意味を確認していきましょう。

「and」:両方・全部

まずは「and」の基本的な意味を確認しましょう。「and」は後述の「or」と同様、単語と単語、句と句、節と節、文と文をつなぐ接続詞です。基本的な意味はというと、「A and B」は「AとB」と訳し、AとBの両方を表します。

3つ以上のものを並べる場合は「A, B and C」のように最初の単語はカンマでつなぎ、最後の単語だけを「and」でつなぐのが基本です。「A, B and C」の場合は、AとBとC全部を表します。4つであれば「A, B, C and D」のように表記しましょう。

1. I went to Tokyo and Osaka.
「私は東京と大阪に行きました。」
2. I want to buy apples, oranges and grapes.
「りんごとオレンジとブドウを買いたいです。」

1の例文で、私は「東京と大阪の両方」に行ったということになります。2の例文で私が買いたいのは「リンゴとオレンジとブドウの3つ全て」ということですね。このように「and」を使う場合、「and」でつながれたものすべてを含んでいます。

「or」:どれか一つ

次に「or」について見ていきます。「and」同様、接続詞で単語と単語、句と句、節と節、文と文をつなぐ役割をもった単語です。「A or B」で「AまたはB」「AかBか」と訳し、AかBのどちらかを一つを表しています。3つ以上並べるときは「and」同様の表記です(例「A, B or C」)。

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