簡単に分かる「罰金」「科料」の違い!違いは金額にあり!「過料」との違いも院卒日本語教師が分かりやすく解説
この2つは罪の重さも刑の重さもちょっと異なるんです。重いのは「罰金」と「科料」、どちらだと思う?
ということで、今回はこの「罰金」と「科料」の違いを、院卒日本語教師の”むかいひろき”と一緒に解説していきます。
ライター/むかいひろき
ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に言葉の違いについて分かりやすく解説していく。
「罰金」と「科料」、どちらも財産刑の一つ
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「罰金」のことをお金を払わされる罰則として認識している人は多いと思いますが、「科料」は漢字だけ見てもちょっとよく分かりませんよね。こちらも同様にお金を払わされる罰則です。まずは”お金を払わされる罰則”にどのようなものがあるか、見ていきましょう。
財産刑はお金などの財産を取り上げる刑罰
「罰金」や「科料」などの”お金を払わされる罰則”は、「財産刑」と呼ばれます。この「財産刑」には「罰金」「科料」「没収」の3つがあり、被告人が罰則としてお金を払うことになるのが「罰金」と「科料」です。もうひとつの「没収」は、「犯罪に関連したものの所有権を被告人から取り上げること」という意味で、お金以外のものも対象になります。
お金や物品などの財産を取り上げる刑罰が「財産刑」だと覚えておきましょう。
「罰金」と「科料」の違いはズバリ金額!
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「財産刑」のうちお金を支払うことになる「罰金」と「科料」。ではこの2つの違いは何なのでしょうか。もし同じなら2つの言葉が存在する必要はありませんからね。そう、「罰金」と「科料」の違いは金額にあったのです。
「罰金」:1万円以上!
まずは「罰金」について見ていきましょう。「罰金」の金額は刑法第15条で定められており、その金額は原則1万円以上です。(例外的に刑が軽減されて1万円以内となる場合もあり。)
「罰金」の上限は罪状ごとに設定されており、例えば窃盗罪であれば50万円が上限となっています。なお、この「罰金」は「損害賠償金」とは異なるので注意しましょう。「損害賠償金」は被害者(やその関係者)が受け取りますが、「罰金」は国庫に納めるものです。「罰金」が刑罰として規定されている犯罪には、窃盗罪の他に住居侵入罪、傷害罪などがあります。そして「罰金」は有罪が確定してから払うものなので、当たり前ですが前科はつきますね。
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「科料」:千円以上1万円未満!ただ、前科はつきます…
次に「科料(かりょう)」について見ていきましょう。「科料」の金額は刑法第17条で定められており、その金額は千円以上1万円未満です。この小さな金額からも推測できる通り、比較的軽い犯罪に適用される刑罰ですね。公然わいせつ罪や暴行罪、侮辱罪などで「科料」が規定されています。「科料」も「損害賠償金」とは異なり、国庫に対してお金を納めることになりますね。(「損害賠償金」は被害者(やその関係者)に対して納めます。)
金額も少額で、比較的軽い犯罪に適用されるこの「科料」ですが、有罪判決が出ていることに変わりはありません。たとえ刑罰が「科料」だけだった場合でも前科はついてしまいます。
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「科料」と区別がややこしい言葉!「過料」って何?
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ここまでお読みになり、「あれ、前に「かりょう」を払ったことがあるけど、わたしって前科持ちなの…?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。実は「かりょう」と読む”お金を払わされる罰則”はもう1つあるのです。それが「過料」ですね。
「過料」:罰則としてお金を払うが前科にはならない
「過料」は「行政法規に従わなかった者に制裁として課される金銭罰」のことを言います。これだけだと、「罰金」や「科料」と同じですよね。ただ、「罰金」や「科料」は刑事罰であるのに対し、「過料」は行政罰です。よって「過料」を払わなければならないことになっても前科はつきません。
条例で禁止されているたばこのポイ捨てや転居後の住民票の移転忘れなど、とても軽微な犯罪…というよりも失態に課せられます。お金を納める先は国か地方自治体です。
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