簡単でわかりやすい!移民と難民の違いとは?各国の現状や対応もビジネスライターが詳しく解説
ライター/ホンゴウ・タケシ
幼いころから現在に至るまで国内・海外で多くの外国人と交流。他国から移り住む人たちからの話を通し、世界の情勢をわかりやすく解説していく。
移民と難民は移住理由が違う
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「移民」には、国際的に合意された定義はありませんが、一般的にある程度自らの意思で住む国を移動した人たちをいいます。移民の多くは、就労のため出身国より経済的に豊かな国へ移住した人とその家族です。一方、「難民」とは紛争、迫害、人権侵害などから、仕方なく国を逃れてきた人とその家族を指します。
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移民:自分の意志で移住した人たち
一般的に移民とは永住権をもたず、自国以外の国に長期に定住する人たちを指します。旅行、留学、出張などでの一時的な滞在者や、永住権を持った外国人を移民とは呼びません。
移民の権利は、1990年に国連での「全ての移住労働者及びその家族の権利の保護に関する国際条約」で保護されました。しかし移住労働者の増加による国内の失業や治安悪化などを懸念し、日本をはじめ、EU主要国、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど多くの先進国は、同条約に批准していません。
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難民:やむなく逃れてきた人たち
1951年に採択された「難民の地位に関する条約」にて、難民の扱いが定義されました。しかしこの条約では1951年以前のヨーロッパに限定していたため、1967年国連での「難民の地位に関する議定書」により、これらの限定が解消されました。この2つの条約を併せて「難民条約」と呼び、難民を「国際的保護を必要とする人々」と定義しています。
難民に似た言葉に「亡命」がありますね。これは、主に政治家、軍人、学者、芸術家、文化人、スパイなどが他国に逃れる行為です。亡命した人(亡命者)も難民条約の対象になりますが、一般市民が他国に逃れる場合は難民に区別されます。
各国の移民政策と現状
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移民を受け入れる各国の政策を考えるうえでは、MIPEXが指標になります。MIPEXとは、英国のブリティッシュ・カウンシルが発表するランキング形式のデータです。このデータは、移民の受け入れ政策を持つ国を中心に56か国に対して、以下の移民政策を167の項目に分け、数値化したものとなります。
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