簡単に分かるモンゴル人の伝統的住居「ゲル」と「パオ」の違い!実は同じもの?院卒日本語教師が分かりやすく解説
実は「ゲル」と「パオ」の違いは意外な点にあるんです。まあ、その意外な点はむかいの解説を読んでくれよ。
ということで、今回は「ゲル」と「パオ」の違いを、院卒日本語教師の”むかいひろき”と一緒に解説していきます。
ライター/むかいひろき
ロシアのモンゴル系民族が多い地域の大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に言葉の違いについて解説していく。
「ゲル」と「パオ」は同じものを指している!
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「ゲル」や「パオ」と聞いたとき、あなたは何を思い浮かべますか?きっと草原にある白いテントの形の住居を頭に思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。では、この「ゲオ」と「パオ」の違いは一体何なのでしょう。
「ゲル」「パオ」「ユルト」は言語による呼び名の違い!
実は「ゲル」も「パオ」も同じ住居のことを指しています。この白いテント状の住居のことをモンゴル語では「家」という意味を表す「ゲル」と呼び、中国語では「包」という字で「パオ」と呼ぶのです。
モンゴル人は現在、モンゴルだけでなく中国の内モンゴル自治区などにも多数が暮らしています。よって伝統住居のことを、モンゴルに暮らすモンゴル人は「ゲル」と言いますが、中国の内モンゴル自治区に暮らすモンゴル人は、公用語である中国語で「パオ」と呼ぶのです。
また、「ユルト(ユルタ)」という言葉も存在します。こちらは中央アジアやロシアの南シベリアに暮らすトルコ系民族が暮らす伝統住居の呼び名。これも「ゲル」「パオ」と同じ住居で、名前が異なるだけなのです。(若干の内装や調度の違いは民族によってありますが、同じ住居と言って差し支えありません。)
「ゲル」「パオ」「ユルト」に暮らす民族はモンゴル人だけではない?
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「ゲル」「パオ」に暮らす民族と聞いて、あなたはどんな民族を思い浮かべますか?もちろんモンゴル人が真っ先に思い浮かぶでしょう。ただ、歴史的にこの「ゲル」や「パオ」のような住居で暮らしていた民族は、モンゴル人だけではないのです。どのような民族があの白いテント状の住居に住んでいたのでしょうか。
遊牧民族の住居として大活躍の「ゲル」「パオ」「ユルト」
モンゴル人以外にも遊牧民族と呼ばれる民族は歴史上いくつか存在していました。そしてそのような遊牧民族の住居の1つの形態が「ゲル」「パオ」「ユルタ」なのです。
遊牧民族は季節によって牧草地帯を移動しながら生活を営んでいました。そのために、簡単に作れて簡単に解体できる丈夫な家が必要だったのです。また、「ゲル」「パオ」「ユルタ」を使用する民族が暮らす地域は、冬は氷点下20度を下回るような極寒の地域。当然ながら暖房性にも優れています。
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