簡単でわかりやすい!オキアミとエビの違いとは?見分け方から釣りエサの雑学まで生物系ライターが詳しく解説
オキアミは「オキアミ目」という独自グループ
「大きな頭の殻」と「長い尾」をもつオキアミは一見、一部のエビに似ています。しかし「オキアミ」と総称されるのは、ホンエビ上目オキアミ目の甲殻類。ホンエビ上目十脚目のエビとは別物なのです。そんなオキアミは「動物性プランクトン」の一種としても知られています。シロナガスクジラからイワシまで、オキアミを捕食する生き物は数知れず。海の生態系を支えているのは、彼らオキアミなのです。
以下この記事では、似て非なる甲殻類である十脚目「エビ」とオキアミ目「オキアミ」の、具体的な違いを3つ紹介。釣り人以外にはなじみの薄い、「オキアミの雑学」についても掘り下げていきます。世界最大の哺乳類・シロナガスクジラの主食である、オキアミの栄養についてもみていきましょう!
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オキアミがエビと違う点は3つ
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単に「分類が違う」といわれただけでは釈然としませんよね。じつはオキアミとエビの間には、具体的な違いが3つ存在。両者は見た目から生き様まで全くの別物なのです。まずはその見分け方からみていきましょう!
違い1.見た目
「オキアミ」をエビと見分けるうえで、注目したいのは「頭の殻」こと頭胸部の外骨格。オキアミでは頭の殻がエビほど発達していません。ですので頭の殻の付け根から、胸脚と一緒に「羽毛状のエラ」が露出。さらに小さなプランクトンを濾過して食べるため、胸脚にも毛が生えているのです。以上よりオキアミの頭の殻は、エビにない「羽毛」が飛び出した見た目をしています。
違い2.住んでいる場所
「オキアミ」はその名の通り「沖合」、つまり海のなかでも大陸棚の外側に住んでいます。より詳しく説明すると沖合の至る所、表層から深層まで、広く分布しているのです。対してほとんどの「エビ」が生息しているのは「浅瀬」から「淡水」まで、つまり大陸棚の内側になります。
違い3.生態
活発に泳ぎまわるエビの成体と違って、「オキアミの成体」はただ水中に浮遊するだけ。水流に逆らえるほどの遊泳能力をもたないため、「プランクトン」に分類されています。そんなオキアミには、餌を捕まえる能力もありません。エビのような「はさみ脚」をもたないからです。代わり先述の「毛の生えた胸脚」を使い、小さなプランクトンだけを濾しとって食べています。
以上の通りオキアミは貧弱な生き物。なのですが、地球上で最も繁栄している生き物でもあります。たとえば南極海に生息する「ナンキョクオキアミ」で推定されている総重量(バイオマス)は、最大で4億2,000万トンほど。この一種だけで、人類の総重量(4億トン)と並ぶ値なのです。この物量の多さによって、オキアミを食べる「シロナガスクジラ」や「コウテイペンギン」の命を繋いでいます。
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オキアミについてもっと詳しく
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エビと違って「オキアミ」は、食卓で見かけませんよね。多くの人にとって「釣りのエサ」という印象のほうが強いはずです。これは一体、なぜなのでしょうか。以下ではオキアミが釣りに用いられるようになった経緯と、食用にならない理由について解説していきます。
オキアミは「釣りエサ」の代表格
オキアミは各種「磯釣り」で用いられるエサの代表格。釣り用品店では大きさの異なる2種が、販売されています。まず釣りバリに刺す「付けエサ」となるのは、ナンキョクオキアミです。体長6cmほどと大型で、マダイやクロダイを釣るときに活躍します。そして魚を集める「撒きエサ」となるのは、ツノナシオキアミ。体長3cmほどと針には刺せませんが、アジやサバを狙う「サビキ釣り」で活躍します。
じつは各種オキアミは、歴史の浅い「釣りエサ」です。オキアミが利用されるようになったのは1970年代以降。クロダイ釣りやサビキ釣りで高い集魚力を発揮する「撒きエサ」として、一躍人気となりました。そのため一部では。「エサの革命児」とも称されています。
じつは栄養豊富なオキアミ
オキアミはタンパク質を中心に、ミネラルやビタミンなど、さまざまな栄養を含んでいます。なかでも骨の材料「カルシウム」と、血液の材料「銅&ビタミンB12」が豊富です。
このように健康に良いオキアミですが、なぜか食卓では見かけませんよね。じつはオキアミでは、水揚げ後から急速に鮮度が低下していきます。そのため魚肉ソーセージや塩辛など「加工食品の材料」として、人知れず活躍しているのです。
食用オキアミといえば、サプリメントに入っている「クリルオイル」でしょう。これはナンキョクオキアミから取れる油分で、オメガ3系脂肪酸のDHAとEPAとを豊富に含んでいます。2つとも脳を若返らせたり、血液をサラサラにしたりする油の仲間。「食べると頭が良くなる」魚の成分として有名ですよね。じつはクリルオイルのDHA/EPAは、魚由来のものよりも人体に吸収されやすいことが分かっています。
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オキアミは海の生態系を支える「浮遊生物」
オキアミもエビも「長い尾」をもつ甲殻類で、しばしば混同されます。しかし両者は分類や見た目、生き様が違う別物。「オキアミ」はエビ・カニ・ヤドカリからなる「十脚目」に入りません。じつは「オキアミ目」という独自のグループに分類されているのです。そんなオキアミは「露出した羽毛状のエラ」をもっていて、成長しても「プランクトン」であるという点でエビと違います。