簡単で分かりやすい「法衣」と「袈裟」の違い!読み方や色の違いも元塾講師が詳しく解説!
「正装用」の法衣
正装用の法衣は葬儀や法事などの儀式や年中行事のときに着用します。正装用は手を覆うぐらい広く、ひだが多いのが特徴ですが、宗派による違いはあまり見られません。また、正装用は僧侶の階級によって着用する法衣の色が異なることも特徴の一つです。多くの宗派で緋色(ひいろ)が最上位を示していますが、それ以外の階級は宗派によってそれぞれ異なっています。
法衣の色分けは古く冠位十二階のころにさかのぼり、当時は紫色が最上位。現在は、先に述べた通り緋色が最上位である宗派が多いようですが、この緋色や紫色の法衣を身につけられるのは僧侶の中でもごく少数の人たちだけなのです。
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「略装用」の法衣
僧侶が普段着として着用しているのが略装用です。宗派によっては「改良衣(かいりょうえ)」や「道服(どうふく)」などの呼び方があります。着物のような形ですが、やはり宗派によって異なっており、最近では洋服のような仕立てになっている法衣も見られるようです。
なお、略装用は色のバリエーションは少なく、黒の法衣が一般的に多く使われています。皆さんがお寺などで目にするお坊さんの多くは黒の法衣を着用しているのではないでしょうか。
「袈裟」の起源
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最後に「袈裟」の起源をお伝えします。インドで袈裟は「kasaya(カシャーヤ)」と呼ばれていて、日本語もこの音に漢字を当てて「袈裟」と呼んでいるのです。
元々この袈裟はボロボロの布や死者の衣類、汚物を拭く布などの不用な布を縫い合わせたものを着用したものが「袈裟」の起源で、「糞掃衣(ふんぞうえ)=糞を拭う布で作られた衣服」と呼ばれていました。仏教ではたとえ衣服であっても私有財産とみなされていましたので、不用な布を使っていたのです。
ちなみに、その名残からでしょうか、現在でも新しい小さい布を縫い合わせて仕立てられています。日本の袈裟はきらびやかなものが多く独自の発展を遂げましたが、インドや東南アジアでは褐色の袈裟が今でも多く質素な印象が特徴です。
「法衣」と「袈裟」の違いは内か外か
「法衣」は「袈裟」の内側に着用する衣服で、外側に左肩からかけてまとうのが「袈裟」です。「袈裟」を含めて「法衣」とすることもありますが、あえて「法衣」は内側の衣服、「袈裟」は外側の衣服とします。仏教を開いたときは不用な布を縫い合わせて作っていた衣類ですが、他の国に広がっていくにつれてその形も変遷していき現在の形となったのです。また、正装用「法衣」の色は僧侶の階級に応じて異なっており、宗派により規定の違いはあるものの緋色の「法衣」は最上位の僧侶のみが着用できます。