事件や訴訟を題材にしたドラマや映画などで、「判事」や「裁判官」といった役割の人を見ることがあるよな。「判事」や「裁判官」はどちらも裁判を行う人を表す言葉ですが、厳密な意味は違うみたいです。
今回はこの違いについて、言葉の使い方にこだわるビジネス文書熟練者の西風と一緒に解説していきます。

ライター/西風

企業にて10年以上にわたりビジネスパーソンとの交流や企画書・論文作成を経験。現在は後進育成にも注力。文章のわかりやすさはもちろん、言葉の意味や使い方にもこだわり、わかりやすく正確な情報をお届け。

「判事」と「裁判官」の違いとは?

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「判事」と「裁判官」は、いずれも裁判を行う官職にある人を表す言葉です。しかし、「判事」と「裁判官」は意味が似ているため、「ドラマや映画などで登場しても正確な役割がわからない」「正しく使い分けができない」と思う方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、「判事」と「裁判官」の違いについてくわしく説明します。また、「判事補」との違いや、「判事」になるための流れも解説。この記事を読めば、「判事」と「裁判官」の違いについて理解でき、ドラマや映画で「判事」や「裁判官」が登場したときに、正確にその役割が認識できるようになるでしょう。ぜひ最後までお読みください。

「判事」は「裁判官」におけるひとつの職名

「判事」とは、後述する「裁判官」におけるひとつの職名です。「判事」は、「裁判官」が1人で携わる単独事件であれば裁判長として裁判をまとめられます。「裁判官」が3人で携わる合議事件であれば、裁判長として裁判をまとめる、または裁判長を支援する役割に就くことが可能です。

「裁判官」は裁判を行う官職の総称

「裁判官」とは、裁判所の構成員として裁判事務を担当する国家公務員です。以下のように、最高裁判所と下級裁判所にわかれた合計6種の職名の総称といえます。

(最高裁判所)
・最高裁判所長官
・最高裁判所判事

(下級裁判所)
・高等裁判所長官
・判事
・判事補
・簡易裁判所判事

\次のページで「「判事補」とは法律専門家としての経験が10年未満の「裁判官」」を解説!/

「裁判官」は、憲法と法律にのみ拘束され、良心に従い独立して司法権を行使するとされています。司法権の行使とは、具体的には提起された訴訟について、法律を適用して判決を下し、紛争を解決することといえるでしょう。

「判事補」とは法律専門家としての経験が10年未満の「裁判官」

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「判事補」とは、「裁判官」の職名のひとつで、法律専門家としての経験が10年未満の「裁判官」です。「判事補」は、地方裁判所や家庭裁判所に配属されるため、高等裁判所の職務に携わることはできません。

また、「判事補」は「裁判官」が1人で携わる単独裁判をすることができず、関与できるのは「裁判官」が3人で関わる合議裁判のみです。合議裁判に参加するときも、「判事補」は裁判長を務めることはできず、加われるのは1人まで、といった制約があります。

「判事」や「判事補」といった「裁判官」になるには?

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ここまで、「判事」や「判事補」、そしてそれらの総称である「裁判官」について見てきました。ここでは、「判事」を含む「裁判官」になるまでの流れについて解説します。

「判事」になるために必要な条件

「裁判官」の職名のひとつである「判事」になるには、まずは司法試験合格後に法律専門家としての経験を積む必要があります。法律専門家の職に通算して10年以上在職経験がある人の中から、最高裁判所が「判事」になる人を指名し、その指名に基づいて内閣が任命することによって「判事」となる人が決定されるのです。

なお、法律専門家の職とは、裁判所法第四十ニ条に以下のような職が該当すると定められています。

\次のページで「「判事」になるための実際の流れ」を解説!/

・判事補
・簡易裁判所判事
・検察官
・弁護士
・裁判所調査官、司法研修所教官または裁判所職員総合研修所教官
・大学院を置く大学の法律学の教授や准教授

「判事」になるための実際の流れ

実際には、日本の裁判官にもキャリア制度によって昇格するシステムが存在します。具体的には、以下のような流れで「判事」までキャリアアップしていくので確認していきましょう。

1.司法試験合格後、最高裁判所に司法修習生として採用され、司法修習を行う
2.司法修習後、「裁判官」を志望する人は「判事補」として任官される
3.「判事補」として10年の経験を積むと、半自動的に「判事」となる
※「判事」としての任用を拒否される例外の事実もあり

「判事」や「判事補」の定員には限りがある

「判事」や「判事補」は、裁判所職員定員法第一条において定員が定められています。定められた各定員は以下の通りです。

・「判事」:2,155人
・「判事補」:842人

\次のページで「具体的な職名と総称の違いだと認識しよう」を解説!/

具体的な職名と総称の違いだと認識しよう

「判事」と「裁判官」の違いについてくわしく見てきました。2つとも裁判を行う官職にあたる人という意味は同じですが、「判事」は「裁判官」におけるひとつの職名であり、「裁判官」は最高裁判所や下級裁判所の裁判を行うものの職名すべての総称である点が異なります。また、「判事補」は「判事」になるための下積み期間ともいえ、「判事」になるためには多くの経験や期間がかかることもわかりました。同じような意味の言葉でもそれぞれ詳細は異なる…くわしく調べるほどに日本語の面白さを感じずにはいられませんね。

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3分で簡単にわかる「判事」と「裁判官」の違い!「判事補」との違いや「判事」になる流れもビジネス文書熟練者が詳しく解説!

事件や訴訟を題材にしたドラマや映画などで、「判事」や「裁判官」といった役割の人を見ることがあるよな。「判事」や「裁判官」はどちらも裁判を行う人を表す言葉ですが、厳密な意味は違うみたいです。
今回はこの違いについて、言葉の使い方にこだわるビジネス文書熟練者の西風と一緒に解説していきます。

ライター/西風

企業にて10年以上にわたりビジネスパーソンとの交流や企画書・論文作成を経験。現在は後進育成にも注力。文章のわかりやすさはもちろん、言葉の意味や使い方にもこだわり、わかりやすく正確な情報をお届け。

「判事」と「裁判官」の違いとは?

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「判事」と「裁判官」は、いずれも裁判を行う官職にある人を表す言葉です。しかし、「判事」と「裁判官」は意味が似ているため、「ドラマや映画などで登場しても正確な役割がわからない」「正しく使い分けができない」と思う方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、「判事」と「裁判官」の違いについてくわしく説明します。また、「判事補」との違いや、「判事」になるための流れも解説。この記事を読めば、「判事」と「裁判官」の違いについて理解でき、ドラマや映画で「判事」や「裁判官」が登場したときに、正確にその役割が認識できるようになるでしょう。ぜひ最後までお読みください。

「判事」は「裁判官」におけるひとつの職名

「判事」とは、後述する「裁判官」におけるひとつの職名です。「判事」は、「裁判官」が1人で携わる単独事件であれば裁判長として裁判をまとめられます。「裁判官」が3人で携わる合議事件であれば、裁判長として裁判をまとめる、または裁判長を支援する役割に就くことが可能です。

「裁判官」は裁判を行う官職の総称

「裁判官」とは、裁判所の構成員として裁判事務を担当する国家公務員です。以下のように、最高裁判所と下級裁判所にわかれた合計6種の職名の総称といえます。

(最高裁判所)
・最高裁判所長官
・最高裁判所判事

(下級裁判所)
・高等裁判所長官
・判事
・判事補
・簡易裁判所判事

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