この記事では「火葬」と「荼毘」の違いについてみていきます。どちらも、人やペットの動物などが亡くなった後に耳にすることのある言葉ですが、特に「荼毘」の方は、漢字も難しいことから読み方もわからない人もいて当然でしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

「荼毘」は「だび」と読む

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まずはじめに、「荼毘」の読み方を説明しましょう。ずばり「荼毘」「だび」と読みます。「荼」「毘」は、どちらも義務教育では習わない難しい字ですが、人気漫画作品「僕のヒーローアカデミア」に出てくるキャラクターの名前に使われているから知っているよ、という人もいるかもしれませんね。

火葬と荼毘のざっくりした違い

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今度は「火葬」「荼毘」のおおまかな違いについて説明したいと思います。「火葬」とは、その字の通り「火で、亡くなった遺体を葬る(ほうむる)こと」で、「荼毘」「仏教用語における『火葬』」のことです。ですので、意味としては基本的に大きな違いはないと言えるでしょう。

火葬と荼毘を漢字から説明

「火葬」とは、「火で亡くなった遺体を葬る」ことで、「荼毘」「仏教の言葉で『火葬』を意味する」ということを説明しましたが、ここからはそれらに使われている漢字について説明したいと思います。

昔は遺体を火葬ではなく草でおおって葬った!

それでは「火葬」について説明しましょう。まず「火」という字に関してですが、この字は燃えている火の形を参考に作られたものです。そして「葬」という字に関しては、「草かんむり」と下の「廾」という形は「くさ」をあらわしていて、その間に「死」があることから、草むらの中に死体がある様子から作られたのではないかと考えられています。

古代中国の歴史書には、「昔は死者を草や木で厚くおおって葬った」という記述があるため、「葬」という字が生まれた背景にはそういった風習があったのでしょう。今の日本では「死者を葬る」というと、火で遺体を処理する「火葬」がイメージされがちですが、そのころの考えからすると、少し特殊な方法なのかもしれませんね。

\次のページで「「荼毘」は音を漢字であらわしたもの」を解説!/

「荼毘」は音を漢字であらわしたもの

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今度は「荼毘」について説明しましょう。「荼毘」という言葉は、仏教の本場インドで聖典を書くときに用いられていたパーリ語、あるいはサンスクリット語「燃やす・火葬」などを意味する、「jhapeti(ジャーペーティ)」あるいは「dhyapayati(ディヤーパヤティ)」を、中国ではその音を漢字で「荼毘」とあらわしていたものが、やがて仏教とともに日本に伝わったとされています。

このように、あくまで音に対して字をあてたもので、「荼毘」のそれぞれの漢字と「火葬」という意味に直接的なつながりはありません。ちなみに「荼」は「にがな」など苦い植物を意味し、「毘」「たすける」などの意味を持つ漢字です。

「荼毘に付す」とは?

「荼毘」「火葬」のことを意味することは説明しましたが、誰か人が亡くなったあと、「葬儀をとりおこなうこと」を決まった言い回しとして「荼毘に付す」と言うことがあります。これは、例えば「火葬する」などと言うと、直接的に「死」をイメージさせやすく、生々しい印象を与えるかと思いますが、それを「荼毘に付す」と言うことで、少し遠まわしで、ソフトな言い回しになるからでしょう。

また、「荼毘」と言うように、基本的には仏教で「火葬すること」を意味する言葉ですが、さきほど説明したようにソフトな言い回しなので、近年では仏教以外の宗教や、火葬以外の葬儀方法だったとしても、それとは関係なしに、人やペットが亡くなって葬儀など一通りのことが終わった後、「無事、荼毘に付すことができました。」などと使われる場合もあるようです。

荼毘は火葬を意味する仏教の言葉!

「火葬」「亡くなった人の遺体を燃やして葬ること」であり、「荼毘」「火葬を意味する仏教の言葉」だということ、そして、「荼毘に付す」という言葉の意味や、近年になってその使われ方が本来の意味以上に広がっていることなどを知っていただけたかと思います。今回の説明がこれらの言葉を理解する上で少しでもみなさんのお役にたてたなら幸いです。

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雑学

簡単でわかりやすい!火葬と荼毘の違いとは?読み方や由来も現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「火葬」と「荼毘」の違いについてみていきます。どちらも、人やペットの動物などが亡くなった後に耳にすることのある言葉ですが、特に「荼毘」の方は、漢字も難しいことから読み方もわからない人もいて当然でしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

「荼毘」は「だび」と読む

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まずはじめに、「荼毘」の読み方を説明しましょう。ずばり「荼毘」「だび」と読みます。「荼」「毘」は、どちらも義務教育では習わない難しい字ですが、人気漫画作品「僕のヒーローアカデミア」に出てくるキャラクターの名前に使われているから知っているよ、という人もいるかもしれませんね。

火葬と荼毘のざっくりした違い

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今度は「火葬」「荼毘」のおおまかな違いについて説明したいと思います。「火葬」とは、その字の通り「火で、亡くなった遺体を葬る(ほうむる)こと」で、「荼毘」「仏教用語における『火葬』」のことです。ですので、意味としては基本的に大きな違いはないと言えるでしょう。

火葬と荼毘を漢字から説明

「火葬」とは、「火で亡くなった遺体を葬る」ことで、「荼毘」「仏教の言葉で『火葬』を意味する」ということを説明しましたが、ここからはそれらに使われている漢字について説明したいと思います。

昔は遺体を火葬ではなく草でおおって葬った!

それでは「火葬」について説明しましょう。まず「火」という字に関してですが、この字は燃えている火の形を参考に作られたものです。そして「葬」という字に関しては、「草かんむり」と下の「廾」という形は「くさ」をあらわしていて、その間に「死」があることから、草むらの中に死体がある様子から作られたのではないかと考えられています。

古代中国の歴史書には、「昔は死者を草や木で厚くおおって葬った」という記述があるため、「葬」という字が生まれた背景にはそういった風習があったのでしょう。今の日本では「死者を葬る」というと、火で遺体を処理する「火葬」がイメージされがちですが、そのころの考えからすると、少し特殊な方法なのかもしれませんね。

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