この記事では出版と上梓の違いについてみていきます。どちらも著作物を書店などで販売することを表す言葉ですが、どちらかというと出版の方が馴染みがあるかもしれない。違いもずばり馴染みがあるかないかに関係している。また、似た言葉に刊行、発刊という言葉もあるから、それらの言葉との違いも確認していくことにする。

今回はそんな出版と上梓の違いを、定義から確認しつつ、言葉の専門家である国語教師の源シタゴウと一緒に解説していきます。

ライター/源シタゴウ

大学・大学院で文学研究を専門とし、博士号を取得後、単著を出版している。現在は、国語教師として小論文指導を担当する言葉の専門家。

大まかな出版と上梓の違い

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みなさんは、出版と上梓、どちらをよく耳にするでしょうか。おそらくほとんどの方は出版という言葉のほうが馴染み深いのではないかと思います。まずは、出版と上梓の定義を確認しつつ、どのような違いがあるかについて説明していきましょう。

出版は出版社を通して書物を販売すること

私たちに馴染み深い出版という言葉ですが、書店で販売されている本は基本的に出版物と言えます。例えば、コミケなどで販売される同人誌などは出版物とは言えません。同人誌は作者自身が販売するので出版社を通していないからです。それでは、出版はどのように定義されているか見てみましょう。

印刷術その他の方法によって著作物を文書・図画などとして複製し、発売または頒布すること。版行。印行。刊行。

出典:精選版日本国語大辞典

辞書の定義では、印刷術によって著作物を複製し頒布することとされています。昔であれば版元と呼ばれた現在の出版社が著作者の著作物を複製し、出版していたわけです。

上梓とは出版と同様の意味

上梓(じょうし)とは、著作物を出版することを意味する言葉です。著作者が書いた原稿を出版社が印刷、製本して書籍として出版されることを指します。つまり、上梓も出版も意味的な違いはないと言っていいでしょう。念のために辞書の定義を確認します。

\次のページで「出版・上梓の用例」を解説!/

(古く版木(はんぎ)に梓(あずさ)の木を用いたところから) 文字などを版木に刻むこと。また、書物を出版すること。上木。梓(あずさ)に上(のぼ)す。上板。

出典:精選版日本国語大辞典

上梓という言葉は、木版印刷を行っていた時代に版木に梓の木を使っていたことが由来ということがわかりますね。ただ、意味は出版と同様であることも書かれています。以上のことから、出版も上梓も大した違いはないと言っていいでしょう。

出版・上梓の用例

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それでは、出版・上梓の用例を確認していきます。

出版の用例

まずは出版の用例です。

・その出版社は、法律関係の書籍を出版している
・多くの出版社が、デジタル書籍の出版に注力しています
・文芸書よりビジネス書のほうが多く出版されている
・学術書の出版にはリサーチを含めて長い年月がかかる
・その地域の郷土史が地元の郷土史家や大学教授の協力のもと出版された

\次のページで「上梓の用例」を解説!/

上梓の用例

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出版の文例はどれも馴染みがあるものですが、上梓との違いはあるでしょうか。続いて上梓の用例を見ていきましょう。

・注目の作家が久々に新刊を上梓した
・あの作品の続編がやっと上梓された
・急逝した作家の遺稿が上梓された
・人気俳優の自伝が上梓された
・著名な評論家の論説集が上梓された

出版と上梓の文例はどれも入れ替え可能なもので、明確な違いはうかがえません。しかし、用例としては出版が多く馴染みがあるので、出版を使用したほうが無難と言えます。上梓という言葉は軽々に使用すべきではないと言えるでしょう。

出版・上梓と発刊、刊行との違いは?

出版や上梓と同じように著作物の刊行を表す言葉に発刊や刊行があります。どのような意味か確認しておきましょう。

発刊
文書や書籍などの図書を印刷して世に出すこと。出版。また、新聞・雑誌など定期刊行物の刊行をはじめること。創刊。

出典:精選版日本国語大辞典

まず発刊の定義ですが、出版や上梓と何ら変わることがない説明がなされていることがわかります。それでは、刊行はどうでしょうか。

\次のページで「出版・上梓の対義語は?」を解説!/

刊行
書籍、文書、図画などを印刷して世に出すこと。版行。上梓(じょうし)。出版。

出典:精選版日本国語大辞典

刊行の説明では最後に出版、上梓と同じであることが書かれていますので、違いはないと言えるでしょう。

出版・上梓の対義語は?

続いて出版・上梓の対義語を確認しましょう。出版の対義語は絶版や廃刊が挙げられます。絶版とは出版されていた著作物が、今後出版されないということです。廃刊は発行されていた雑誌が以降発刊されないということですね。絶版は書籍について用いられ、廃刊は雑誌に用いられるという違いがあります。

出版と上梓に意味の違いはないが、出版を使用したほうが無難

出版と上梓に意味の違いはないことがわかりましたが、用例としては出版の方が多く馴染み深いものですので、出版を使用すべきでしょう。また、類義語の発刊や刊行も意味も違いはなく、対義語には絶版や廃刊があることがわかりましたね。

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雑学

3分でわかる出版と上梓の違い!発刊・刊行との違いや対義語も国語教師がくわしく解説!

この記事では出版と上梓の違いについてみていきます。どちらも著作物を書店などで販売することを表す言葉ですが、どちらかというと出版の方が馴染みがあるかもしれない。違いもずばり馴染みがあるかないかに関係している。また、似た言葉に刊行、発刊という言葉もあるから、それらの言葉との違いも確認していくことにする。

今回はそんな出版と上梓の違いを、定義から確認しつつ、言葉の専門家である国語教師の源シタゴウと一緒に解説していきます。

ライター/源シタゴウ

大学・大学院で文学研究を専門とし、博士号を取得後、単著を出版している。現在は、国語教師として小論文指導を担当する言葉の専門家。

大まかな出版と上梓の違い

image by iStockphoto

みなさんは、出版と上梓、どちらをよく耳にするでしょうか。おそらくほとんどの方は出版という言葉のほうが馴染み深いのではないかと思います。まずは、出版と上梓の定義を確認しつつ、どのような違いがあるかについて説明していきましょう。

出版は出版社を通して書物を販売すること

私たちに馴染み深い出版という言葉ですが、書店で販売されている本は基本的に出版物と言えます。例えば、コミケなどで販売される同人誌などは出版物とは言えません。同人誌は作者自身が販売するので出版社を通していないからです。それでは、出版はどのように定義されているか見てみましょう。

印刷術その他の方法によって著作物を文書・図画などとして複製し、発売または頒布すること。版行。印行。刊行。

出典:精選版日本国語大辞典

辞書の定義では、印刷術によって著作物を複製し頒布することとされています。昔であれば版元と呼ばれた現在の出版社が著作者の著作物を複製し、出版していたわけです。

上梓とは出版と同様の意味

上梓(じょうし)とは、著作物を出版することを意味する言葉です。著作者が書いた原稿を出版社が印刷、製本して書籍として出版されることを指します。つまり、上梓も出版も意味的な違いはないと言っていいでしょう。念のために辞書の定義を確認します。

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