高齢者の生活を支援する制度はいくつかあるな。
その中でも混同しがちなのが「老人福祉法」と「介護保険法」です。
今回は両者の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

老人福祉法と介護保険法の違い

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高齢者が豊かで充実した生活を送るうえで、社会的な福祉は必須と言えます。日本の高齢者向け社会福祉の一貫として有名なものが「老人福祉法」と「介護保険法」です。ここではまず「老人福祉法」と「介護保険法」の違いについて解説していきます。

老人福祉法:高齢者の健康を維持する

「老人福祉法」の目的は高齢者が精神的・身体的な健康を維持して安定した生活を送れるよう支援する法律です。法律に従い行政が指定した老人ホームに対象の高齢者を入居させることができます。これらは「措置制度」と呼ばれる制度です。

介護保険法:介護を必要とする人を支援する

「介護保険法」は介護を必要としている人をサポートするための法律です。国民が必要なサポートを受けるために介護保険制度を設け、事業者や施設に関して支援を行っています。「契約制度」として、介護支援利用者が事業所やサービスなどを自由に選び、その負担を一部国が肩代わりするという仕組みです。

老人福祉法の特徴

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「老人福祉法」は高齢者の心身の健康の保持として「措置制度」を設けています。しかしなぜ老人ホームに高齢者を入居させることが心身の健康の保持につながるのでしょうか。ここでは「老人福祉法」が成立した背景を含め、法律の特徴を解説していきます。

\次のページで「老人福祉法が成立した背景」を解説!/

老人福祉法が成立した背景

高度経済成長期に日本では都市化、核家族化が進みました。都市化とは東京や大阪などの一部の大都市に人口が集中すること、そして核家族化とは両親と子どもだけどいう一親等以内の家庭が増えてきたことを指します。今まで高齢者を支えていた世代が都市に流出することとなり、家族の互助機能が低下。その結果地方における高齢者福祉が問題となったのです。

高齢者福祉に関連するルール

先述の背景から成立した「老人福祉法」は、高齢者福祉を担当する期間や施設、事業に関するルールを決めた法律と言えます。高齢者を社会的に守っていくため、公費をもって措置を行うものです。公費で支援をまかなう以上、高齢者自身の意思で事業所やサービスを選ばせてしまっては不平等が生じます。そのため「措置制度」があるのです。

介護保険法の特徴

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「老人福祉法」が高齢者の支援を対象としているのに対し、「介護保険制度」はあくまで介護を必要とする人の支援であり、高齢者に限定されている法律ではありません。しかしこの法律が「老人福祉法」と混同されるのにも理由があります。ここでは「介護保険法」成立の背景と、法律の特徴を見ていきましょう。

介護保険法が成立した背景

高度経済成長以降、日本では高齢化が急速に進みました。その結果心身が不自由になったり、認知症など認知機能に疾病を持つようになった高齢者が増えました。またバブル崩壊後の不景気により、要介護者を抱える家庭の負担が急激に増加しました。憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を確保するためには、要介護者への社会的な支援が必要となったのです。

介護保険法は費用を一部負担

加齢にともなって生ずる心身の変化に起因する疾病等を要介護状態とみなし、要介護者の自立した日常生活を支援するための給付を行うのが介護保険制度です。社会保険のため、成人した日本人全体が税金同様に納める必要があります。いつ自分がそうなるかわからない前提に立った相互互助の仕組みと言えるでしょう。

介護費用の一部を負担する制度のため、高齢者およびその家族が事業者やサービスを選択できます。これが「契約制度」として存在する理由です。

\次のページで「老人福祉法は高齢者向け、介護保険法は要介護となった高齢者向け」を解説!/

老人福祉法は高齢者向け、介護保険法は要介護となった高齢者向け

ここまで「老人福祉法」と「介護保険法」の違い、両者の成立した背景と特徴について解説してきました。ひとくちに高齢者支援といっても、まったく違う視点からのアプローチがあることをおわかりいただけたのではないでしょうか。

日本の高齢化は加速し、すでに顕在化している問題もさらに深刻化することは既定路線と言えます。重要なことはこれらの現実を悲観せず、一つ一つの問題に向き合っていくことではないでしょうか。日本は世界でも一足先に高齢化問題に直面した国でもあり、日本の取り組みが今後世界中で発生するであろう高齢化問題解決のモデルケースになるかもしれません。

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3分で簡単にわかる老人福祉法と介護保険法の違い!措置制度や支援の違いも雑学好きライターがわかりやすく解説

高齢者の生活を支援する制度はいくつかあるな。
その中でも混同しがちなのが「老人福祉法」と「介護保険法」です。
今回は両者の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

老人福祉法と介護保険法の違い

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高齢者が豊かで充実した生活を送るうえで、社会的な福祉は必須と言えます。日本の高齢者向け社会福祉の一貫として有名なものが「老人福祉法」と「介護保険法」です。ここではまず「老人福祉法」と「介護保険法」の違いについて解説していきます。

老人福祉法:高齢者の健康を維持する

「老人福祉法」の目的は高齢者が精神的・身体的な健康を維持して安定した生活を送れるよう支援する法律です。法律に従い行政が指定した老人ホームに対象の高齢者を入居させることができます。これらは「措置制度」と呼ばれる制度です。

介護保険法:介護を必要とする人を支援する

「介護保険法」は介護を必要としている人をサポートするための法律です。国民が必要なサポートを受けるために介護保険制度を設け、事業者や施設に関して支援を行っています。「契約制度」として、介護支援利用者が事業所やサービスなどを自由に選び、その負担を一部国が肩代わりするという仕組みです。

老人福祉法の特徴

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「老人福祉法」は高齢者の心身の健康の保持として「措置制度」を設けています。しかしなぜ老人ホームに高齢者を入居させることが心身の健康の保持につながるのでしょうか。ここでは「老人福祉法」が成立した背景を含め、法律の特徴を解説していきます。

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