今回は「煎餅」と「おかき」の違いを見ていきます。似たお菓子に「あられ」なんていうものもあるな。日本ではどれも馴染み深いお菓子だから食べたこともあるでしょうが、これらの違いを明確に説明できるやつはいるか。煎餅・おかき・あられはどれも米から作られる。ただし使用する米の種類に違いがあったんです。この先はグルメ好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

「煎餅」と「おかき」の総称は「米菓(べいか)」

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「煎餅」と「おかき」はどちらもお米から作られるお菓子です。同じくお米から作られる「あられ」を含め、大きなくくりでは「米菓」と呼ばれています。よく似たお菓子である煎餅とおかき、そしてあられの違いについて詳しく確認していきましょう。

「煎餅」・「おかき」・「あられ」の違いは3つ

同じ米菓に分類される煎餅・おかき・あられには、大きく分けて「原料」・「形と食感」・「大きさ」の3つの違いがあります。ただし、煎餅・おかき・あられが3つの点ですべて異なっているわけではありません。米菓として似た特徴も持ち合わせた、近しいお菓子であることがお分かりいただけるでしょう。

1.原料の違い

1つ目の違いは原料です。いずれもお米が原材料である点は変わりませんが、煎餅は「うるち米」を使用するのに対し、おかき・あられは「もち米」を使用します。うるち米はいわゆる普通のお米。食事の際に主食として食べるお米を指します。もち米はおもちを作るときに使用するお米で、もちもちとした弾力と粘りのある食感が特徴です。

2.形と食感の違い

2つ目の違いは形と食感です。形の違いは原材料の違いによって生まれるもので、加熱したときの膨らみやすさに差が出ます。うるち米を使用する煎餅は膨らみにくく、平たくて薄い仕上がり。食感は硬めで、ある程度の強い力でないと割れないものもあります。

もち米を使ったおかき・あられは加熱で膨らみやすく、内部に空洞ができてぷっくりとした形に。食感は柔らかめで、かみ砕きやすいのが特徴です。

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3.大きさの違い

3つ目の違いは大きさです。煎餅・おかき・あられには大きさの規定はありませんが、大まかな傾向は存在します。煎餅の大きさはさまざまで幅広いものの、おかきやあられと比較して大きいものが多い印象です。おかきはおおむね5cm以上の大きさのもので、あられよりも大きいため、大きい方から煎餅・おかき・あられの順になります。

「煎餅」・「おかき」・「あられ」の歴史

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煎餅・おかき・あられは古くから日本で食べられているお菓子。子供のころから馴染みがある方も多いと思いますが、いったいいつ頃から、どのようにして食べられるようになったのかご存じでしょうか。3つのお菓子の歴史を紐解いていきましょう。

煎餅:原型は縄文時代

日本の煎餅の原型とされる食べ物は、縄文時代から作られていました。当時は栗や芋をすり潰して焼いたもので、弥生時代になると穀物でできたお餅を潰して焼いたものが食べられるようになります。現在の煎餅に近いものは、中国から持ち込まれたという説や、日光街道の草加宿で作られたという説があり、1645年ごろにほぼ現在の形になったようです。

おかき:奈良時代のお供え物のあと

おかきの歴史は奈良時代までさかのぼります。豊穣祈願のお供え物として用意されたもち米をあぶって食べたのが始まりといわれ、その後の平安時代の書物には「おかき」を指すものと考えられる「かいもち」という言葉が記されました。家庭の鏡餅を鏡開き後に手で小さく割って作られる庶民のお菓子だったといいます。

あられ:奈良時代の宮廷のおもてなし

あられは奈良時代の宮廷の食べ物でした。唐などから来日する使者におもてなしの一環としてふるまったもので、のちの平安時代にはすでに「アラレ餅」などという名前で作られていたことが分かっています。江戸時代になると大衆化して、一般の人々も頻繁に食べるようになりました。

\次のページで「「煎餅」・「おかき」・「あられ」の名前の由来」を解説!/

「煎餅」・「おかき」・「あられ」の名前の由来

煎餅・おかき・あられは、最初からこの名前で生まれたわけではありませんでした。語源は諸説あるものの、別の言葉から派生したり省略されたりしながら、現在の呼び名になったのです。それぞれの名前の由来を確認していきましょう。

煎餅:千利休の弟子が作ったから?

煎餅の名前には多くの説がありますので、代表的な2つをご紹介しましょう。1つ目は千利休の弟子であった「幸兵衛」という人物が最初に作ったため、千利休の「千」と幸兵衛の「兵衛」の読み方を合わせて「せんべえ」と呼んだのが始まりという説。

2つ目は、埼玉県草加市で団子屋をやっていた「おせん」というおばあさんが作ったため、「おせんの餅」という意味で「せん餅(せんべい)」と呼んだ、という説です。

おかき:鏡餅を欠いて作るから?

おかきはお供えが終わった鏡餅を「欠(か)いて(割って)」作るお菓子ということで、「欠き餅(かきもち)」と呼ばれるようになりました。当時は室町時代。宮中に使える女房たちの間で、既存の言葉の頭に「お」を付ける言葉遣いが流行します。そこで「かきもち」が「おかきもち」になり、省略して「おかき」と呼ばれるようになりました。

あられ:空から降る「霰(あられ)」に似ていたから?

お菓子のあられの名前は、空から降ってくる「霰」に由来したもの。小さくて丸い粒が霰の形に似ていたからという説や、あられを煎るときに餅が跳ねる音が、霰が降って地面に当たる音に似ていたから、という説があります。

お米以外の原料で作る「煎餅」

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煎餅はお米(うるち米)から作られるお菓子とご紹介しましたが、お米以外の原料で作られる煎餅もあります。小麦粉や馬鈴薯でんぷんを主原料にし、薄く加工して焼いたり揚げたりしたお菓子も煎餅として親しまれていますので、みなさんの身近にも存在するのではないでしょうか。

小麦粉で作る「煎餅」

小麦粉で作られる煎餅の代表例は「瓦せんべい」や「南部せんべい」です。また、奈良公園で鹿にあげる薄焼きの餌も「鹿せんべい」と呼ばれていますね。これらは小麦粉を主原料にし、薄く成型して焼き上げたものです。

馬鈴薯でんぷんで作る「煎餅」

馬鈴薯でんぷんを主原料に作られる煎餅でもっとも身近なのが「海老せんべい」です。海老せんべいの白くサクサクとした食感の生地は馬鈴薯でんぷんで、お米は入っていないのが一般的。類似品では「蛸せんべい」や「かっぱえびせん」などもあります。

「煎餅」・「おかき」・「あられ」の違いを知って楽しもう

煎餅・おかき・あられはお米から作られる米菓で、原料のお米の種類や形、食感、大きさに違いがあります。現在では各地域で特徴的な米菓が作られていますので、それぞれの違いを意識しながら比較することで理解が深まり、一層味わい深く食べることができますよ。

煎餅・おかき・あられと名の付くお菓子を食べるときは、今回ご紹介した内容を思い出してみてくださいね

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「煎餅」と「おかき」の違いはお米?「あられ」との違いや名前の由来もグルメ好きライターが簡単にわかりやすく解説

今回は「煎餅」と「おかき」の違いを見ていきます。似たお菓子に「あられ」なんていうものもあるな。日本ではどれも馴染み深いお菓子だから食べたこともあるでしょうが、これらの違いを明確に説明できるやつはいるか。煎餅・おかき・あられはどれも米から作られる。ただし使用する米の種類に違いがあったんです。この先はグルメ好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

「煎餅」と「おかき」の総称は「米菓(べいか)」

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「煎餅」と「おかき」はどちらもお米から作られるお菓子です。同じくお米から作られる「あられ」を含め、大きなくくりでは「米菓」と呼ばれています。よく似たお菓子である煎餅とおかき、そしてあられの違いについて詳しく確認していきましょう。

「煎餅」・「おかき」・「あられ」の違いは3つ

同じ米菓に分類される煎餅・おかき・あられには、大きく分けて「原料」・「形と食感」・「大きさ」の3つの違いがあります。ただし、煎餅・おかき・あられが3つの点ですべて異なっているわけではありません。米菓として似た特徴も持ち合わせた、近しいお菓子であることがお分かりいただけるでしょう。

1.原料の違い

1つ目の違いは原料です。いずれもお米が原材料である点は変わりませんが、煎餅は「うるち米」を使用するのに対し、おかき・あられは「もち米」を使用します。うるち米はいわゆる普通のお米。食事の際に主食として食べるお米を指します。もち米はおもちを作るときに使用するお米で、もちもちとした弾力と粘りのある食感が特徴です。

2.形と食感の違い

2つ目の違いは形と食感です。形の違いは原材料の違いによって生まれるもので、加熱したときの膨らみやすさに差が出ます。うるち米を使用する煎餅は膨らみにくく、平たくて薄い仕上がり。食感は硬めで、ある程度の強い力でないと割れないものもあります。

もち米を使ったおかき・あられは加熱で膨らみやすく、内部に空洞ができてぷっくりとした形に。食感は柔らかめで、かみ砕きやすいのが特徴です。

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