今回は「ブッダ」と「釈迦」の違いについてです。仏教用語だとはわかっていても、違いについてわからない者も多いんじゃないか?実はどちらも仏教の教祖ゴータマ・シッダールタを指す言葉ですが…詳しくは学芸員ライターkuroakaと一緒に解説していきます。

ライター/kuroaka

博物館・美術館好きで学芸員の資格を持つWebライター。お寺巡りも好きで、最近だと「南無阿弥陀仏」を口から出している空也上人像を拝みに京都まで足を運んだ。

「ブッダ」と「釈迦」の違いとは?

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「ブッダ」と「釈迦」、どちらも聞き馴染みはありますが違いが分からない人も多いかと思います。どちらも同じ人物を指す言葉だと思っている人も多いでしょう。実際はどう違うのでしょうか?さっそくみていきましょう。

どちらも仏教の教祖を指す言葉

仏教を開いた人といえばインドのゴータマ・シッダールタです。そして、「ブッダ」と「釈迦」、どちらも基本的にはゴータマ・シッダールタを指す言葉。違いは以下の通りです。

・ブッダ:「目覚めた人」という意味。本来は個人を表す言葉ではない。
 しかし仏教の多くの宗派では「ブッダ」はゴータマ・シッダールタを指す。

・釈迦:ゴータマ・シッダールタが釈迦族の王子であったことから、こう呼ばれる

「ブッダ」と「釈迦」の特徴を詳しく

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次に、「ブッダ」と「釈迦」の言葉の意味を、さらに詳しくみていきましょう。

ブッダ:「目覚めた者」という意味

「ブッダ」はサンスクリット語の動詞「ブッド(budh)」の過去形です。意味は「知る、目覚める」。つまりブッダとは「気づいた者、目覚めた者」という意味になります。何に目覚めたかというと、宇宙の真理です。本来は悟りを開いた者を表す言葉なので個人を指すものではありませんが、一般的にはゴータマ・シッダールタを指す言葉。漢字表記では「仏陀」となります。

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釈迦:ゴータマ・シッダールタの一族名

仏教の教祖が「お釈迦様」と呼ばれるようになったのは、ゴータマ・シッダールタがネパール西南部の「釈迦族の王子」だからという説が有力です。また、悟りを開かれてからは釈迦族の聖者を意味する「釈迦牟尼(しゃかむに))と呼ばれることもあります。

ちなみに「ゴータマ・シッダールタ」という名前は、「ゴータマ」=「最上の牛」、「シッダールタ」=「目的を達成する人」という意味です。本名よりも一族の名前や「ブッダ」で広く知られているのは不思議ですね。

仏教が開かれるまで

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ゴータマ・シッダールタによって開かれた仏教はキリスト教・イスラム教と並んで世界の三大宗教のひとつです。では、ゴータマ・シッダールタはどのようにして仏教を開いたのでしょうか?

恵まれた子ども時代

紀元前5~6世紀、現在のインドとネパールの国境付近にあった小国にゴータマ・シッダールタは生まれました。母は彼を出産した翌週、高熱によって亡くなってしまいます。しかし母の妹が親代わりになり、王である父の計らいもあって、王子として誰もが羨むような優雅な生活を送っていました。19歳の時に結婚し、息子を授かります。

宮殿の外で苦しんでいる人々を見る

ある日ゴータマ・シッダールタは宮殿の外に出て、彼の人生を変える4つのものを見ることになります。その4つとは老人・病人・死体そして聖人です。老人・病人・死体を見て、どんなに金持ちや権力者でも、誰もが歳を取り、病気になり、死ぬことを悟ります。ショックを受けたゴータマ・シッダールタはすべての人が直面する「生きること・老いること・病気になること・死ぬこと」の苦しみから人々を解放できないかを考えるようになりました。

最後に堂々とした聖人を見た彼はそこに自分の進む道を見出し、29歳の時に出家を決意します。

妻子を残し出家

妻子を残し出家した後にバラモン教の教えを乞うために師に弟子入りし、過酷な修行を積みました。しかし悟りを得るどころか無理な修行で心身は衰えていく一方です。死線を彷徨ったゴータマ・シッダールタは一人の少女によって助けられ、一命を取り留めました。

その後師の元を離れ、菩提樹の下で座禅を組み、一人瞑想を行います。何日も瞑想を行った結果、35歳の時ついに悟りを開きました。そして80歳で亡くなるまでの約45年間、仏教の教祖として人々に教えを説き続けました。

「ブッダ」と「釈迦」はどちらもゴータマ・シッダールタを指す言葉

「ブッダ」は本来個人を表す言葉ではなく「目覚めた者」という意味の言葉。しかし仏教でブッダといえば教祖のゴータマ・シッダールタを指します。一方「釈迦」はゴータマ・シッダールタが釈迦族の王子であったことが由来です。ゴータマ・シッダールタは裕福な生活を送っていましたが、「老い・病気・死」で苦しむ人々を見て出家を決意します。29歳の時に出家し厳しい修行の末に35歳で悟りに目覚めました。

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雑学

3分で簡単にわかる!「ブッダ」と「釈迦」の違いとは?意味や仏教の成り立ちも学芸員ライターがわかりやすく解説

今回は「ブッダ」と「釈迦」の違いについてです。仏教用語だとはわかっていても、違いについてわからない者も多いんじゃないか?実はどちらも仏教の教祖ゴータマ・シッダールタを指す言葉ですが…詳しくは学芸員ライターkuroakaと一緒に解説していきます。

ライター/kuroaka

博物館・美術館好きで学芸員の資格を持つWebライター。お寺巡りも好きで、最近だと「南無阿弥陀仏」を口から出している空也上人像を拝みに京都まで足を運んだ。

「ブッダ」と「釈迦」の違いとは?

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「ブッダ」と「釈迦」、どちらも聞き馴染みはありますが違いが分からない人も多いかと思います。どちらも同じ人物を指す言葉だと思っている人も多いでしょう。実際はどう違うのでしょうか?さっそくみていきましょう。

どちらも仏教の教祖を指す言葉

仏教を開いた人といえばインドのゴータマ・シッダールタです。そして、「ブッダ」と「釈迦」、どちらも基本的にはゴータマ・シッダールタを指す言葉。違いは以下の通りです。

・ブッダ:「目覚めた人」という意味。本来は個人を表す言葉ではない。
 しかし仏教の多くの宗派では「ブッダ」はゴータマ・シッダールタを指す。

・釈迦:ゴータマ・シッダールタが釈迦族の王子であったことから、こう呼ばれる

「ブッダ」と「釈迦」の特徴を詳しく

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次に、「ブッダ」と「釈迦」の言葉の意味を、さらに詳しくみていきましょう。

ブッダ:「目覚めた者」という意味

「ブッダ」はサンスクリット語の動詞「ブッド(budh)」の過去形です。意味は「知る、目覚める」。つまりブッダとは「気づいた者、目覚めた者」という意味になります。何に目覚めたかというと、宇宙の真理です。本来は悟りを開いた者を表す言葉なので個人を指すものではありませんが、一般的にはゴータマ・シッダールタを指す言葉。漢字表記では「仏陀」となります。

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