今回は仏教の中の宗派「大乗仏教」と「上座部仏教」の違いについてです。日本人は無宗教派が半数以上とも言われ、一番身近な仏教でも宗派の違いに詳しくない者も多いかもしれませんね。宗派によってどんな違いがあるか、学芸員ライターkuroakaと一緒に解説していきます。

ライター/kuroaka

博物館・美術館好きで学芸員の資格を持つWebライター。お寺巡りも好きで、最近だと「南無阿弥陀仏」を口から出している空也上人像を拝みに京都まで足を運んだ。

「大乗仏教」と「上座部仏教」の違いとは?

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仏教はキリスト教・イスラム教とともに『世界三大宗教』の一つに挙げられます。信仰者は世界中に3億人以上。仏教の中でも「大乗仏教」と「上座部仏教」の2つの宗派があることをご存知でしょうか?また日本で広まっているのはどちらでしょう?

日本人に身近な仏教だからこそ、宗派による違いをしっかり知っておきたいものですね。詳しく解説していきますので、さっそくみていきましょう。

救済する対象が「他者」か「自分自身」か

「大乗仏教」と「上座部仏教」の大きな違いは『誰を救済の対象としているか』です。「大乗仏教」は『他者の救済』を目的としており、『大衆』に教えを広めようという考え。一方「上座部仏教」は個人で修行し悟りを開くことを目的としており、『自己を救済』するという考えです。

この考えの違いから、「大乗仏教」は誰でも悟りを開くことができるとされていますが、「上座部仏教」は出家して厳しい修行を積んだ者のみ悟りを開くことができるとされています。

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「大乗仏教」を詳しく解説

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日本で広まっているのは「大乗仏教」です。特徴はより多くの人の救済を目的としていることでした。日本の僧侶が結婚し動物の肉を食べるのもこの考えがベースとなっています。大乗仏教に他にどのような特徴があるかみていきましょう。

「信仰の心」を重視する宗派

日本へは中央アジアからシルクロードの中国・朝鮮半島を経て伝わってきました。別ルートではネパールを経てチベット・モンゴルでも栄えています。伝来のルートから『北伝(ほくでん)仏教』とも呼ばれることも。

大乗仏教は戒律重視から変化を遂げ、『信仰の心』を重視することへ変化した宗派です。「大乗」には『大きな乗り物』と言う意味があり、誰でも悟りを開き、成仏できると教えられています。悟りに至る方法を巡ってさらに様々な宗派が生まれ、阿弥陀や弥勒・菩薩といったバラエティー豊かな神仏を生み出すことになりました。

「上座部仏教」を詳しく解説

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「上座部仏教」は微笑みの国として知られるタイで広まっている宗派です。戒律重視で、敬虔な仏教国であるタイでは今でも成人男性は一定期間出家する伝統があります。日本では馴染みのない宗派なので、他にどのような特徴があるのかみていきましょう。

「戒律」を重視する宗派

上座部仏教はスリランカ、ビルマ、カンボジア、ラオス等南方を経由して広まったため『南伝(なんでん)仏教』とも呼ばれています。

上座部仏教では現在でもお釈迦様の決めた戒律を重視する側面が色濃く残っているのが特徴です。出家して厳しい修行を積むことでのみ悟りを開くことができると説いています。また信仰の対象はお釈迦様のみで、様々な神仏を信仰する大乗仏教とはこの点でも異なるのです。

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どうして2つの宗派に分かれたのか?

ここで仏教がどのようにして生まれたか、なぜ2つに分かれたのかみていきましょう。

仏教はインドでゴータマ・シッダールタによって開かれた

仏教の起源は今から2500年前(紀元前5世紀の初め)、インドのゴータマ・シッダールタによって開かれました。仏教では人間の様々な苦しみや悲しみを『煩悩』と呼び、解決方法を説いています。ゴータマ・シッダールタが『お釈迦様』と呼ばれるのは、釈迦族という王族の子であったためです。また『悟りを開いた者』を意味する『仏陀(ブッダ)』と呼ばれることもあります。

お釈迦様の入滅後2つに分かれた

お釈迦様の入滅後(死後)の紀元前3世紀頃、仏教は2つに分裂しました。これを根本分裂と言います。戒律を厳格に守る「上座部仏教」と仏教の教えを多くの人に広めることを目指した「大乗仏教」という2つになったのです。

「大乗仏教」と「上座部仏教」では重視している教えが違う

仏教には大きく2つ「大乗仏教」と「上座部仏教」の宗派があることがわかりました。「大乗仏教」は日本で主流で、多くの人に教えを広めることを目的とし、誰でも悟りを開けるとされています。一方「上座部仏教」はタイを中心に広まっている宗派です。お釈迦様の定めた戒律を守ることに重きをおき、出家して修行を積んだ者のみ悟りが開けるとされています。どちらもお釈迦様が開いた仏教を大事にしたいという想いから生まれた宗派です。

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雑学

3分で簡単にわかる!「大乗仏教」と「上座部仏教」の違いとは?詳しい特徴を学芸員ライターがわかりやすく解説

今回は仏教の中の宗派「大乗仏教」と「上座部仏教」の違いについてです。日本人は無宗教派が半数以上とも言われ、一番身近な仏教でも宗派の違いに詳しくない者も多いかもしれませんね。宗派によってどんな違いがあるか、学芸員ライターkuroakaと一緒に解説していきます。

ライター/kuroaka

博物館・美術館好きで学芸員の資格を持つWebライター。お寺巡りも好きで、最近だと「南無阿弥陀仏」を口から出している空也上人像を拝みに京都まで足を運んだ。

「大乗仏教」と「上座部仏教」の違いとは?

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仏教はキリスト教・イスラム教とともに『世界三大宗教』の一つに挙げられます。信仰者は世界中に3億人以上。仏教の中でも「大乗仏教」と「上座部仏教」の2つの宗派があることをご存知でしょうか?また日本で広まっているのはどちらでしょう?

日本人に身近な仏教だからこそ、宗派による違いをしっかり知っておきたいものですね。詳しく解説していきますので、さっそくみていきましょう。

救済する対象が「他者」か「自分自身」か

「大乗仏教」と「上座部仏教」の大きな違いは『誰を救済の対象としているか』です。「大乗仏教」は『他者の救済』を目的としており、『大衆』に教えを広めようという考え。一方「上座部仏教」は個人で修行し悟りを開くことを目的としており、『自己を救済』するという考えです。

この考えの違いから、「大乗仏教」は誰でも悟りを開くことができるとされていますが、「上座部仏教」は出家して厳しい修行を積んだ者のみ悟りを開くことができるとされています。

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