この記事ではマカオと香港の違いについてみていきます。どちらも中国の南部にあって、欧州の国から植民地にされた時代があるという共通点があるんです。ずばり、2つの大きな違いは植民地時代に築いた文化にある。そんなマカオと香港について、雑学好きライターのYunaと一緒に解説していきます。

ライター/Yuna

タイに2年、シンガポールに3年在住経験のある雑学好きライター。中華圏の屋台料理が好き。「今すぐ使える雑学」をコンセプトに解説していく。

マカオと香港ってどんな場所?

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マカオと香港は、中国南部の広東省にある一地方都市です。どちらも一国二制度という中国側が自治権や資本主義的制度の維持を認める体制が共通しています。そのため、中国の中でも欧州の爪痕を残して独自の進化を遂げてきました

マカオ:3つのエリアから成り立つカジノの街

マカオ(正式名称:中華人共和国マカオ特別行政区)は、日本から飛行機で4〜5時間の距離です。半島部のマカオ島、離島のタイパ島とコロアン島の3つで成り立っており、離島の間を埋め立てたコタイという統合リゾートエリアがあります。公用語は広東語、その次に植民地時代の名残であるポルトガル語です。

香港:高層ビル群がそびえ立つ金融の街

香港(正式名称:中華人民共和国香港特別行政区)は、マカオと同じく日本から飛行機で4〜5時間の距離です。香港島と九龍、新界の3つのエリアと、200以上の小さな島々から成り立っています。公用語は広東語、その次に植民地時代から続く英語です。

マカオと香港の歴史・文化の違い

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マカオと香港の歴史や文化を語るために、植民地時代の話は欠かせません。マカオはポルトガル、香港はイギリスから植民地にされました。そのため、どちらも歴史や文化の発展に欧州2国の影響を受けています。

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マカオ:ポルトガルの元植民地

マカオは1862年から1999年までの間、ポルトガルによって植民地にされました。以後、ポルトガル人が定住し、日本や東南アジアへ向けた宗教の布教や貿易の拠点として発展しました。マカオといえばカジノの印象がありますが、繁華街を離れるとヨーロッパを感じさせるポップな建築や、石畳の道、教会が並びます。

さらに2005年7月、22か所の歴史的な建造物と8か所の広場を含んだ「マカオ歴史市街地区」が世界文化遺産として登録されました。マカオは道路標識に中国語とポルトガルの2言語が表記されているなど、いたるところにポルトガルの名残を感じられます。

香港:イギリスの元植民地

香港は1842年から1997年までの間イギリスによって植民地にされました。イギリスから資本主義が持ち込まれ、貿易や金融の拠点として発展。マカオよりも香港が先に植民になっていますが、経緯は16世紀の大航海時代に遡ります。

当時の清がアヘン戦争でイギリスに敗北し、香港が割譲されることに。ポルトガルが後に続きマカオ植民地化へ。中国に植民地を返還したのもイギリスが先です。そんな香港ですが、現在も使われている通貨は香港ドル。貿易や金融の中心として開花した香港らしいイギリス文化の根付き方ですね。

マカオと香港の産業の違い

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マカオと香港は、主要とする産業にも違いが現れています。マカオといえばカジノをはじめ派手で豪華なイメージ。香港は、高層ビル群が並び世界の100万ドルの夜景のひとつが味わえるところが有名ですね。同じ特別行政区でも、それぞれどのような産業に舵を切っているのでしょうか。

マカオ:カジノや世界遺産などレジャーが中心

マカオの観光・カジノ産業は2019年時点でGDPの約5割を占めています。

1 主要産業
観光及びカジノ産業(GDPの約5割)(2019年)

出典:外務省,https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/macao/data.html

マカオのカジノはポルトガルから流入した賭博がルーツでした。欧米諸国との貿易港の役割を香港に先を越されるなどの理由から、マカオ政府が1847年にカジノ業を合法化し経済成長を促します。

香港では賭博が禁止されており、マカオの農工業は成長を見込めなかったため、マカオはカジノ業を中心軸に据えることを余儀なくされました。植民地の返還後はアメリカから業界の活性化、中国から富裕層の後押しもあり2006年にカジノの売上が世界一にまで登りつめます

香港:アジアの貿易と金融流通の中心

香港はサービス産業がGDPの9割を占めています。

12 経済概況
(2)製造業拠点は1990年代前半までに中国本土への移転が進んだ。現在GDPに占める製造業の割合は約7.2%。貿易、金融、不動産、観光、流通などのサービス産業がGDPの90%以上を占める。

出典:総務省,https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hongkong/data.html

香港の金融の街としての側面は、金融に関心がなければ馴染みがないでしょう。世界の金融センターの競争力を指標化するGFICの結果を見ると、2022年3月に公開されたランキングでは香港が世界3位、アジアでは1位となっています。そのため、香港にビジネスで訪れる日本人は金融関係の仕事に就いている人が多いです。

金融の街としての香港の魅力は、規制緩和のおかげで低税率かつ、世界中の人々を受け入れる姿勢にあります。香港の規制緩和は、貿易の拠点としても諸外国に恩恵を与えました

マカオと香港は独自文化を世界に発信する特別行政区

植民地から連想するイメージとは相反して活気が絶えないマカオと香港。マカオはカジノの合法化、香港は金融や貿易の規制緩和へ踏み切ったことで、世界から注目を集める拠点となりました。もし中国が本土の仕組みを強制していれば、今のマカオと香港は無かったでしょう。中国とヨーロッパの文化をあわせ持つ特別行政区は、これからも中国の中で独特の存在感を放ち続けます。

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雑学

簡単でわかりやすいマカオと香港の違い!歴史・文化・産業も雑学ライターが詳しく解説

この記事ではマカオと香港の違いについてみていきます。どちらも中国の南部にあって、欧州の国から植民地にされた時代があるという共通点があるんです。ずばり、2つの大きな違いは植民地時代に築いた文化にある。そんなマカオと香港について、雑学好きライターのYunaと一緒に解説していきます。

ライター/Yuna

タイに2年、シンガポールに3年在住経験のある雑学好きライター。中華圏の屋台料理が好き。「今すぐ使える雑学」をコンセプトに解説していく。

マカオと香港ってどんな場所?

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マカオと香港は、中国南部の広東省にある一地方都市です。どちらも一国二制度という中国側が自治権や資本主義的制度の維持を認める体制が共通しています。そのため、中国の中でも欧州の爪痕を残して独自の進化を遂げてきました

マカオ:3つのエリアから成り立つカジノの街

マカオ(正式名称:中華人共和国マカオ特別行政区)は、日本から飛行機で4〜5時間の距離です。半島部のマカオ島、離島のタイパ島とコロアン島の3つで成り立っており、離島の間を埋め立てたコタイという統合リゾートエリアがあります。公用語は広東語、その次に植民地時代の名残であるポルトガル語です。

香港:高層ビル群がそびえ立つ金融の街

香港(正式名称:中華人民共和国香港特別行政区)は、マカオと同じく日本から飛行機で4〜5時間の距離です。香港島と九龍、新界の3つのエリアと、200以上の小さな島々から成り立っています。公用語は広東語、その次に植民地時代から続く英語です。

マカオと香港の歴史・文化の違い

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マカオと香港の歴史や文化を語るために、植民地時代の話は欠かせません。マカオはポルトガル、香港はイギリスから植民地にされました。そのため、どちらも歴史や文化の発展に欧州2国の影響を受けています。

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