簡単でわかりやすい!窃盗と強盗の違いとは?万引きとの違いも現役塾講師がわかりやすく解説
ライター/空野きのこ
大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。
窃盗と強盗のざっくりした違い
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まずは「窃盗」と「強盗」の違いを説明しましょう。「窃盗」と「強盗」の違いとは、「窃盗」がお金や品物などをこっそりと盗むことを意味するのに対し、「強盗」は暴力や脅迫などを用いてお金や品物などを奪い取ることを意味するという点に違いがあります。
つまり、「窃盗」も「強盗」も他人の所有物を不正な方法で手に入れるという点では同じものの、暴力や脅迫に訴えるかどうかが大きなポイントと言えるでしょう。
窃盗と強盗の漢字を説明
さきほど、「窃盗」がお金や品物などをこっそりと盗むことで、「強盗」は暴力や脅迫などを用いて奪い取ることだと説明しましたが、ここからは、それぞれの言葉について理解を深めるため、「窃盗」と「強盗」に使われている漢字について説明していきたいと思います。
「盗」はよだれを垂らして人のものをうらやむこと
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まずは、「窃盗」と「強盗」の両方に使われている「盗」という字について説明しましょう。「盗」の意味が「ぬすむ」ということは多くの方が知っているかと思いますが、その成り立ちについてはご存じですか?
実は「盗」という字は、以前は「盜」と書いていたものを簡略化したものなのです。そして、この「盜」の上側に着目すると、「次」を「さんずい」にしたような形をしていますね。
この右側にある「欠」という形は、「欠伸」の読みや部首の名前に「あくび」があるように、人が身体を曲げて口を開けている様子が元になっていると考えられています。それに水を意味する「さんずい」が付いていることから、「盜」の上側は人の口から出る水、つまりヨダレを意味するのです。そして、その下に皿があるので、「盜」という字は他人の皿の料理をヨダレを垂らすほど欲しがる様子をあらわしてると考えられています。
「窃」はこっそりと盗むこと
つぎに「窃盗」の「窃」について説明しましょう。「窃」という字は、「こっそりと盗む」などという意味で、以前は「竊」と書いていたものを、より簡略化したものです。成り立ちについてはいくつかの説が唱えられていますが、例えば「竊」の左下の「釆」は米などの穀物をあらわし、その右隣の複雑な形は虫をあらわしていると言われています。
そして、「穴(あなかんむり)」の字であることから、「窃(竊)」という字は穴にしまった穀物をその虫が食い荒らすことを意味していて、そこから「こっそりと盗む」ということをあらわしているのではないかという説などが考えられているのです。
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「強」は虫?それとも弓?
今度は「強盗」の「強」について説明しましょう。「強」という字の意味が「つよい」であることや、「強(し)いる」や「強制」など、相手の意思や考えを無視して何かを無理にやらせるときに使うことなどはご存じかと思いますが、その成り立ちについては知ってますか?
実は「強」という字はもともと「コウゾクムシ」という名前の虫を表す字で、その虫の殻が固いことから「つよい」という意味になっていったのではないかと考えられているのです。またこれ以外にも、弓を大きく反らせるところから成り立った「弘」という字と「虫」を組み合わせたと考え、虫の一種である蚕の糸を使った強い弓をあらわし、そこから「つよい」という意味になっていったのではないかという説などもあります。
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