この記事では「通知」と「通達」の違いについてみていきます。どちらも他人に何かを伝えることについて使われる言葉で、何となくの意味は知っているつもりでも、いざその違いを説明するとなると困る人は少なくないでしょう。今回は漢字から、これまた「通知」と意味の近い「連絡」という言葉との違いまで、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

通知と通達のざっくりした違い

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まずは「通知」「通達」のおおまかな違いについて説明しましょう。「通知」自分と相手の身分や立場に関わらず、単に情報などを知らせることに対して使う言葉であるのに対し、「通達」立場が上の者から下の者へ対して情報や命令などを知らせることに対して使う言葉だという違いがあります。

今の段階ではまだいまいちピンとこないかもしれませんが、今回はそれをていねいに説明していきましょう。

通知と通達の漢字を説明

「通知」身分に関わらない、単なるお知らせに対して使うのに対し、「通達」立場が上の者から下の者への命令などを意味することを説明しましたが、そのことについて理解を深めるため、ここからはそれぞれに使われている漢字について説明していきたいと思います。

「通」はさえぎるものが無く、良くとおること

まずは「通知」「通達」の両方に使われている「通」について説明しましょう。まず、「通」という字にも使われている「しんにょう」は、「十字路」を元にした形と「立ち止まった足」を元にした形を組み合わせて作られました。右側にある「甬」の成り立ちについては、諸説ある中で、例えば「筒型の鐘をあらわし、中が空洞となっている筒と同じように邪魔するものがなくて通りがいいことをあらわしているのではないか」などと考えられています。

「甬」に関する他の説としては、「上の『マ』が人をあらわし、下の『用』は物をつらぬくことを意味していて、そこから、人がトントンと足で物をつらぬき通すことを意味するのではないか」といったものなどです。ですので、「通」という字は、このような由来を持つ「しんにょう」「甬」を組み合わせたことで、さえぎるものが無く、良く「とおる」ことや、そこを「とおす」ことを意味するようになったのでしょう。

「知」の成り立ちについて知ってますか?

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つづいて「通知」「知」について説明しましょう。「知」という漢字の意味については多くの人がご存じかと思いますが、その成り立ちについては知ってますでしょうか?諸説ある中の一つが、例えば、「左側はそのまま『矢』を表し、右側に『口』があることから、矢をそえ、口で祈ることで神意(神様の考え)を『知る』ことからきている」というもの。

ほかには、「左側の『矢』は神に誓うときに使っていた矢をあらわし、右側の『口』は神に祈りをささげる文書を入れていた箱のことで、神に祈りや誓いをすることで神意を『知る』ことができたから『知』になったのではないか」といった説などがあります。

「達」はすみずみまでゆきわたること

最後に「通達」「達」について説明したいと思います。成り立ちについてはもちろん諸説あるのですが、さきほど説明したように、「しんにょう」は「十字路」を元にした形と「立ち止まった足」を元にした形を組み合わせて作られたなどと考えられているのでしたね。

そして右側の形については、おおきな羊から子羊が勢いよく生まれおちる様子をあらわしてると考えられたりしています。ですから、これらを組み合わせた「達」という字は「つうじる」「とどく」といった意味を持っているのです。

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「通達」はなぜ上から下への命令を意味する?

これまでの説明で、「知らせ」を「通す」ことから、「通知」「単に情報などを他人に知らせること」だというのは納得してもらえるかと思います。しかし、「達」という字は、「通」と同じように「つうじる」「とどく」といった意味だったはずなのに、一体なぜ「通達」「上から下への命令」などを意味するようになったのでしょうか。

はっきりとした由来などはわかりませんが、昔から「上の人の意思を下の者に伝える」という意味の四字熟語である「上意下達(じょういかたつ)」という言葉や、少し俗っぽい言い回しですが、「立場が上のものからの命令」を意味する言葉に「お達し」という言葉があります。

このように、「達」という字は、そのものの成り立ちにおいてはそういった意味はないものの、「上意下達」「お達し」などの言葉に使われたことで、「上からの知らせや命令」といったイメージを持つようになったのかもしれません。

通知と連絡の違いとは?

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「通知」と同じく、「相手に情報を伝えること」をあらわす言葉として「連絡」という言葉がありますが、これらの違いについてはご存じでしょうか?簡潔に説明しますと、ちょっと乱暴な言い回しかもしれませんが、「通知」相手に一方的に伝えたり、送りつけるイメージをうっすら持っています。

それに対し「連絡」「つづく」「つなげる」といった意味を持つ「連」と、「からめる」「つなぎあわせる」といった意味を持つ「絡」という字を組み合わせて出来た言葉です。ですから「連絡」はその意味の中に、単に情報を伝えるだけでなく、簡単なやりとりやコミュニケーションをとることも含まれています。

通知は情報を知らせることで通達は上からの命令!

ここまで、「通知」身分や立場に関わらず単に情報などを知らせることに対して使う言葉で、「通達」立場が上の者から下の者に情報や命令などを知らせることを意味することや、それぞれの漢字の成り立ち、そして通知と連絡の違いについて説明してきました。今回の説明が皆さんの言葉に対する理解に少しでも役立てたなら幸いです。

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雑学

簡単でわかりやすい!通知と通達の違いとは?連絡との違いも現役塾講師がわかりやすく解説

「通達」はなぜ上から下への命令を意味する?

これまでの説明で、「知らせ」を「通す」ことから、「通知」「単に情報などを他人に知らせること」だというのは納得してもらえるかと思います。しかし、「達」という字は、「通」と同じように「つうじる」「とどく」といった意味だったはずなのに、一体なぜ「通達」「上から下への命令」などを意味するようになったのでしょうか。

はっきりとした由来などはわかりませんが、昔から「上の人の意思を下の者に伝える」という意味の四字熟語である「上意下達(じょういかたつ)」という言葉や、少し俗っぽい言い回しですが、「立場が上のものからの命令」を意味する言葉に「お達し」という言葉があります。

このように、「達」という字は、そのものの成り立ちにおいてはそういった意味はないものの、「上意下達」「お達し」などの言葉に使われたことで、「上からの知らせや命令」といったイメージを持つようになったのかもしれません。

通知と連絡の違いとは?

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「通知」と同じく、「相手に情報を伝えること」をあらわす言葉として「連絡」という言葉がありますが、これらの違いについてはご存じでしょうか?簡潔に説明しますと、ちょっと乱暴な言い回しかもしれませんが、「通知」相手に一方的に伝えたり、送りつけるイメージをうっすら持っています。

それに対し「連絡」「つづく」「つなげる」といった意味を持つ「連」と、「からめる」「つなぎあわせる」といった意味を持つ「絡」という字を組み合わせて出来た言葉です。ですから「連絡」はその意味の中に、単に情報を伝えるだけでなく、簡単なやりとりやコミュニケーションをとることも含まれています。

通知は情報を知らせることで通達は上からの命令!

ここまで、「通知」身分や立場に関わらず単に情報などを知らせることに対して使う言葉で、「通達」立場が上の者から下の者に情報や命令などを知らせることを意味することや、それぞれの漢字の成り立ち、そして通知と連絡の違いについて説明してきました。今回の説明が皆さんの言葉に対する理解に少しでも役立てたなら幸いです。

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