この記事では「擬声語」と「擬態語」の違いについてみていきます。これらは、自然界や暮らしの中で聞える声や音、状態や様子などを言葉にあらわしたもので、オノマトペとも呼ばれている。何となくの意味は知っているつもりでも、いざその違いを説明するとなると困る人は少なくないでしょう。今回は漢字から具体的な例文まで、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

擬声語と擬態語のざっくりした違い

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まずは「擬声語」と「擬態語」のおおまかな違いを説明しましょう。その違いとは、「擬声語」「人や動物の声や実際に聞こえる音を言葉であらわしたもの」であるのに対し、「擬態語」「人や動物の動きや、物ごとの様子などを言葉であらわしたもの」であるということです。

さきほど、「擬声語」「人や動物の声や実際に聞こえる音を言葉であらわしたもの」であり、「擬態語」「人や動物の動きや、物ごとの様子などを言葉であらわしたもの」であることを説明しましたが、ここからはより理解を深めるため、それぞれの名前に使われている「擬声」「擬態」という言葉について、漢字から説明したいと思います。

「声」の成り立ちは楽器の音

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まずは「擬声語」に使われている「声」という漢字について説明したいと思います。この「声」という字は、以前使われていた「聲」という複雑な漢字を簡略化したものです。難しい「聲」という字の上半分の形は「けい」という中国の昔の打楽器がもとになっていて、左の「声」はその楽器の形を、右の「殳(るまた)」はそれを木の棒で叩く様子をあらわしていると言われています。

そして、下に「耳」があることから、「聲」という字はもともと「けい」という楽器を叩いた音が耳にとどく様子を字にしたものだったのです。ですから、「声」と聞くと人はまず生き物の「声」のことをイメージするでしょうが、それ以外にも、「銃声」などのように生き物以外が発する音に対しても使われることがあるのでしょう。

「態」は心がまえが出来ている様子

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つぎは「擬態語」「態」について説明しましょう。「態」という字の上は「能力」などに使われる「能」という字ですよね?この「能」という字は、特別な能力を持つ水中の昆虫の形、あるいは力の強い「熊」をあらわしているのではないかなど諸説ありますが、能力の高い生き物の形をもとに作られたのではないかという考えは共通しています。

そして、「態」の下には「心」があることで、能力のあるものが何かをやる心がまえが出来ている様子をあらわしているのではないかと考えられているのです。ですから、「態勢」「態度」など、「外からみた様子やありさま」などを意味するようになったのでしょう。

\次のページで「「擬」は真似たり、似せたりすること」を解説!/

「擬」は真似たり、似せたりすること

今度は「擬声語」「擬態語」、その両方に使われている「擬」という字について説明しましょう。「擬」という字は訓読みで、「はかる」「なぞらえる」「もどき」などと読む字です。「はかる」については、「考える」ことを「推しはかる」とも言いますよね?あの「はかる」のことで、「なぞらえる」「あるものを元にして真似たり、似せたりすること」を意味し、「真似たり、似せたりしたもの」のことを「もどき」と言います。

ですので、生き物の声はもちろん音のこともあらわす「声」とあわせた「擬声語」という言葉は、「声や音になぞらえた言葉」という意味であり、外からみた様子やありさまを意味する「態」とあわせた「擬態語」という言葉は、「外からみた様子やありさまになぞらえた言葉」を意味しているのです。

オノマトペとの違いは?

ここまでは「擬声語」「擬態語」についてみてきましたが、他に「オノマトペ」という言葉を聞いたことはありませんか?聞いたことはあっても、よくわかっていない方は、「オノマトペ」「擬声語」「擬態語」って何が違うの?と思うかもしれませんね。

ずばり説明しますと、「擬声語」「擬態語」、その両方をあわせて「オノマトペ」と呼ぶのです。昔は日本語の専門書などだけで使われていましたが、擬声語と擬態語をひとまとめで言えるのが便利だからか一般でも使われることが多くなりました。ちなみに「オノマトペ」という呼び方はフランス語からきています。

擬声語と擬態語の例文

ここまで「擬声語」「擬態語」という言葉自体について説明してきましたが、つづいては具体的な例文を紹介したいと思います。まずは擬声語の例文を紹介しましょう。

1.隣の犬がワンワンとうるさく吠えている。
2.予報は晴れだったのに、急に雨がザアザア降ってきた。

1.の犬の鳴き声についてはわかりやすいですね。2.の「ザアザア」は雨が降る様子をあらわしているので迷うかもしれませんが、「音」が関わっているのでこれも擬声語です。次は擬態語について見ていきましょう。

\次のページで「音が関わるのが擬声語、関係ないのが擬態語!」を解説!/

1.彼は試験が近いからかイライラしている。
2.昨日の雨で地面がぐちゃぐちゃにぬかるんでいる。

こちらも1.の「イライラ」については大丈夫でしょう。2.については擬声語のように感じた方もいるのではないでしょうか?確かにぬかるんだ地面で足踏みすると「ぐちゃぐちゃ」という音もたちますね。

しかし、この文章の場合は地面を実際に歩く様子を描いているのではなく、単に地面の見た目の様子をあらわしていて実際には音はたっていないように感じられます。ですので、音とは関わりのない擬態語だと判断できるのです。

音が関わるのが擬声語、関係ないのが擬態語!

今回の説明で「擬声語」「人や動物の声や実際に聞こえる音を言葉であらわしたもの」で、「擬態語」「人や動物の動きや、物ごとの様子などを言葉であらわしたもの」ということがわかっていただけたかと思います。

特に日本語「擬音語」「擬声語」といったオノマトペ他の言語と比べてとても多いと言われているので、普段の生活の中でちょっと気にして探してみると、身近なところでも使われていることに気がつくかもしれません。

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簡単でわかりやすい!擬声語と擬態語の違いとは?オノマトペとの違いも現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「擬声語」と「擬態語」の違いについてみていきます。これらは、自然界や暮らしの中で聞える声や音、状態や様子などを言葉にあらわしたもので、オノマトペとも呼ばれている。何となくの意味は知っているつもりでも、いざその違いを説明するとなると困る人は少なくないでしょう。今回は漢字から具体的な例文まで、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

擬声語と擬態語のざっくりした違い

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まずは「擬声語」と「擬態語」のおおまかな違いを説明しましょう。その違いとは、「擬声語」「人や動物の声や実際に聞こえる音を言葉であらわしたもの」であるのに対し、「擬態語」「人や動物の動きや、物ごとの様子などを言葉であらわしたもの」であるということです。

さきほど、「擬声語」「人や動物の声や実際に聞こえる音を言葉であらわしたもの」であり、「擬態語」「人や動物の動きや、物ごとの様子などを言葉であらわしたもの」であることを説明しましたが、ここからはより理解を深めるため、それぞれの名前に使われている「擬声」「擬態」という言葉について、漢字から説明したいと思います。

「声」の成り立ちは楽器の音

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まずは「擬声語」に使われている「声」という漢字について説明したいと思います。この「声」という字は、以前使われていた「聲」という複雑な漢字を簡略化したものです。難しい「聲」という字の上半分の形は「けい」という中国の昔の打楽器がもとになっていて、左の「声」はその楽器の形を、右の「殳(るまた)」はそれを木の棒で叩く様子をあらわしていると言われています。

そして、下に「耳」があることから、「聲」という字はもともと「けい」という楽器を叩いた音が耳にとどく様子を字にしたものだったのです。ですから、「声」と聞くと人はまず生き物の「声」のことをイメージするでしょうが、それ以外にも、「銃声」などのように生き物以外が発する音に対しても使われることがあるのでしょう。

「態」は心がまえが出来ている様子

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つぎは「擬態語」「態」について説明しましょう。「態」という字の上は「能力」などに使われる「能」という字ですよね?この「能」という字は、特別な能力を持つ水中の昆虫の形、あるいは力の強い「熊」をあらわしているのではないかなど諸説ありますが、能力の高い生き物の形をもとに作られたのではないかという考えは共通しています。

そして、「態」の下には「心」があることで、能力のあるものが何かをやる心がまえが出来ている様子をあらわしているのではないかと考えられているのです。ですから、「態勢」「態度」など、「外からみた様子やありさま」などを意味するようになったのでしょう。

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