簡単でわかりやすい!インバーターとコンバーターの違いとは?機能や部品、用途など理系ライターが詳しく解説
インバーターとコンバーターの回路としての違い
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インバーターとコンバーターとでは具体的な違いが3つ存在します。とくに重要なのが構成部品の違い。コンバーターの後に発明されたインバーターには、新しい半導体部品が用いられているのです。以下そんな両者の違いについて、みていきましょう!
違い1.機能と仕組み
インバーターは直流から交流を生み出す回路。スイッチのON/OFFを繰り返す(スイッチング)ことで、出力電流の向きを絶えず変化させます。スイッチング速度を変えて、任意の周波数を生み出すのもインバーターの特徴です。
スイッチングによって生まれるのは、「矩形波」という荒い波をもつ交流。そこから「擬似正弦波」や「正弦波」など、なだらかな波の交流に変えるのもインバーターのはたらきです。
狭義のコンバーターは交流から直流を生み出す回路。入力された交流の流れを1方向にして、波をなくすことで、直流を出力します。そんなコンバーターに欠かせないのは、「整流回路」と「平滑回路」のはたらき。まず整流回路が「流れる方向が切り替わる電流の波」から「1方向に流れる電流の波」を作ります。次に平滑回路がその波をなだらかにすることで、直流を生み出しているのです。
違い2.回路を構成する部品
インバーターとコンバーターとでは、主要な部品が違います。インバーターに必須なのは、各種トランジスタ。電流や電圧の入力によって、スイッチのON/OFFを行う半導体部品です。
かつてはスイッチング速度が遅い「バイポーラトランジスタ」や、発熱が大きい「電界効果トランジスタ」が使用されてきました。それらの欠点を克服した「絶縁ゲートバイポーラトランジスタ」が、徐々に主流となってきています。
対してコンバーターを構成する主な部品は、ダイオードとコンデンサ。どちらもトランジスタと比べて歴史ある電子部品です。電流を一方向にしか通さないダイオードは「整流回路」に、電流の波を打ち消すコンデンサは「平滑回路」にそれぞれ欠かせません。真逆のはたらきをもつインバーターとコンバーターは、それぞれ全く別の部品を含んでいるのです。
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違い3.用途
インバーターとコンバーターとでは、用途が違います。両者の用途は、電源とその供給先で説明可能。直流のバッテリーから交流のコンセントへ給電するのがインバーターで、コンセントからバッテリーに給電するのがコンバーターです。例えばインバーターは「ポータブル電源」に、コンバーターは「スマートフォンの充電器」に内蔵されています。
インバーターの実用例
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先ほどまで解説してきたのは回路としてのインバーター/コンバーター。以下ではインバーター/コンバーターの回路を内蔵する、「インバーター装置」について紹介していきます。まずは装置の機能からみていきましょう!
装置としてのインバーター
インバーター装置は、交流から電圧・周波数の異なる交流を生み出す機能をもちます。インバーター/コンバーターの回路を内蔵しているのが特徴です。装置に流れ込んだ交流は、コンバーター回路によって一度直流に変換されます。その後に続くインバーター回路が直流から、任意の電圧・周波数をもつ交流を生み出しているのです。
インバーター装置の強みや用途
インバーター装置は、エレベーターや電気自動車の「交流用モーター」の回転を制御しています。具体的にはモーターに入力する周波数と電圧を変えることで、それぞれ速度とトルクを変えているのです。
インバーター装置を挟まない従来の機械では、常時フル回転のモーターを物理的なブレーキで制御していました。インバーター装置の導入によって、電力の消費と部品の消耗が抑えられるようになったのです。
日本全国で同じ家電が使えるのも、インバーター装置のおかげ。日本のコンセント電源の周波数は東日本で50Hz、西日本で60Hzと2つに分かれています。かつて電子レンジや洗濯機など一部の家電は、指定以外の周波数で使えないため不便でした。そこで生まれたのがインバーター装置を内蔵する「ヘルツフリー」の家電。こちらは周波数が違う引越し先でも、使えるのが強みです。
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