この記事ではインバーターとコンバーターの違いについてみていきます。2つとも「電力を変換するもの」というざっくりとしたイメージがあるよな。じつは「インバーター」は、歴史ある「コンバーター」と真逆の動きをするんです。そんなインバーターには、半導体部品が詰まっているみたいです。今回はそんな「変換回路」の違いを、構成部品の違いも含めて、高校・大学と理系一筋のライター2scと一緒に解説していきます。

ライター/2sc

理系の大学院に通うかたわら、ライターとして活動。技術から生活までさまざまな知識を、科学の視点で解説する。この記事では「電力を変換する回路」である、インバーターとコンバーターの違いについてわかりやすく解説していく。

インバーターとコンバーターを大まかに比較

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電力の変換や制御を行う技術分野「パワーエレクトロニクス」において、最も重要な回路であるインバーターとコンバーター。この2つの回路は、私たちの暮らしを陰ながら支えています。以下では、両者の大まかな定義や機能について、みていきましょう!

本来の「コンバーター」は交流を直流に変換する回路

日本語で「変換器」を意味する「コンバーター/converter」は、その名の通り、各種電流を変換する回路。もともとは「交流を直流に変換する回路」だけを指していました。コンバーターは、ニコラ・テスラが考案した「交流送電」が始まった時代から用いられてきた古い技術なのです。代表的なものとして「スマートフォンの充電器」ことACアダプターが挙げられます。

「インバーター」 は「コンバーター」と真逆の後発品

狭義の「インバーター」は、直流を交流に変換する回路を指します。インバーター(英:inverter)は「逆変換回路」と和訳可能。歴史ある「コンバーター」と逆の変換を行うため、この名をもちます。ソーラーパネルや電車など産業用途から、ポータブル電源や照明器具など民生用途まで、インバーターは幅広く普及。「パワーエレクトロニクス」の代表的な素子として知られています。

以下この記事では、歴史ある「コンバーター」と後発品「インバーター」の具体的な違いについて徹底解説。私たちの日常を支える、「パワーエレクトロニクス」の2大回路についてみていきましょう!

\次のページで「インバーターとコンバーターの回路としての違い」を解説!/

インバーターとコンバーターの回路としての違い

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インバーターとコンバーターとでは具体的な違いが3つ存在します。とくに重要なのが構成部品の違い。コンバーターの後に発明されたインバーターには、新しい半導体部品が用いられているのです。以下そんな両者の違いについて、みていきましょう!

違い1.機能と仕組み

インバーターは直流から交流を生み出す回路。スイッチのON/OFFを繰り返す(スイッチング)ことで、出力電流の向きを絶えず変化させます。スイッチング速度を変えて、任意の周波数を生み出すのもインバーターの特徴です。

スイッチングによって生まれるのは、「矩形波」という荒い波をもつ交流。そこから「擬似正弦波」や「正弦波」など、なだらかな波の交流に変えるのもインバーターのはたらきです。

狭義のコンバーターは交流から直流を生み出す回路。入力された交流の流れを1方向にして、波をなくすことで、直流を出力します。そんなコンバーターに欠かせないのは、「整流回路」と「平滑回路」のはたらき。まず整流回路が「流れる方向が切り替わる電流の波」から「1方向に流れる電流の波」を作ります。次に平滑回路がその波をなだらかにすることで、直流を生み出しているのです。

違い2.回路を構成する部品

インバーターとコンバーターとでは、主要な部品が違います。インバーターに必須なのは、各種トランジスタ。電流や電圧の入力によって、スイッチのON/OFFを行う半導体部品です。

かつてはスイッチング速度が遅い「バイポーラトランジスタ」や、発熱が大きい「電界効果トランジスタ」が使用されてきました。それらの欠点を克服した「絶縁ゲートバイポーラトランジスタ」が、徐々に主流となってきています。

対してコンバーターを構成する主な部品は、ダイオードとコンデンサ。どちらもトランジスタと比べて歴史ある電子部品です。電流を一方向にしか通さないダイオードは「整流回路」に、電流の波を打ち消すコンデンサは「平滑回路」にそれぞれ欠かせません。真逆のはたらきをもつインバーターとコンバーターは、それぞれ全く別の部品を含んでいるのです。

違い3.用途

インバーターとコンバーターとでは、用途が違います。両者の用途は、電源とその供給先で説明可能。直流のバッテリーから交流のコンセントへ給電するのがインバーターで、コンセントからバッテリーに給電するのがコンバーターです。例えばインバーターは「ポータブル電源」に、コンバーターは「スマートフォンの充電器」に内蔵されています。

インバーターの実用例

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先ほどまで解説してきたのは回路としてのインバーター/コンバーター。以下ではインバーター/コンバーターの回路を内蔵する、「インバーター装置」について紹介していきます。まずは装置の機能からみていきましょう!

装置としてのインバーター

インバーター装置は、交流から電圧・周波数の異なる交流を生み出す機能をもちます。インバーター/コンバーターの回路を内蔵しているのが特徴です。装置に流れ込んだ交流は、コンバーター回路によって一度直流に変換されます。その後に続くインバーター回路が直流から、任意の電圧・周波数をもつ交流を生み出しているのです。

インバーター装置の強みや用途

インバーター装置は、エレベーターや電気自動車の「交流用モーター」の回転を制御しています。具体的にはモーターに入力する周波数と電圧を変えることで、それぞれ速度とトルクを変えているのです。

インバーター装置を挟まない従来の機械では、常時フル回転のモーターを物理的なブレーキで制御していました。インバーター装置の導入によって、電力の消費と部品の消耗が抑えられるようになったのです。

日本全国で同じ家電が使えるのも、インバーター装置のおかげ。日本のコンセント電源の周波数は東日本で50Hz、西日本で60Hzと2つに分かれています。かつて電子レンジや洗濯機など一部の家電は、指定以外の周波数で使えないため不便でした。そこで生まれたのがインバーター装置を内蔵する「ヘルツフリー」の家電。こちらは周波数が違う引越し先でも、使えるのが強みです。

\次のページで「技術の粋を集めた「インバーター」と原始的な「コンバーター」」を解説!/

技術の粋を集めた「インバーター」と原始的な「コンバーター」

交流を直流に変える「コンバーター」は、ダイオードやコンデンサなど昔ながらの部品を使った歴史ある回路。コンセント電源を利用する上で欠かせないものでした。対してコンバーターの真逆は、直流を交流に変える「インバーター」です。こちらはトランジスタの発明以降に生まれたもの。交流モーターの制御やポータブル電源に用いられる、新進気鋭の回路なのです。

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雑学

簡単でわかりやすい!インバーターとコンバーターの違いとは?機能や部品、用途など理系ライターが詳しく解説

インバーターとコンバーターの回路としての違い

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インバーターとコンバーターとでは具体的な違いが3つ存在します。とくに重要なのが構成部品の違い。コンバーターの後に発明されたインバーターには、新しい半導体部品が用いられているのです。以下そんな両者の違いについて、みていきましょう!

違い1.機能と仕組み

インバーターは直流から交流を生み出す回路。スイッチのON/OFFを繰り返す(スイッチング)ことで、出力電流の向きを絶えず変化させます。スイッチング速度を変えて、任意の周波数を生み出すのもインバーターの特徴です。

スイッチングによって生まれるのは、「矩形波」という荒い波をもつ交流。そこから「擬似正弦波」や「正弦波」など、なだらかな波の交流に変えるのもインバーターのはたらきです。

狭義のコンバーターは交流から直流を生み出す回路。入力された交流の流れを1方向にして、波をなくすことで、直流を出力します。そんなコンバーターに欠かせないのは、「整流回路」と「平滑回路」のはたらき。まず整流回路が「流れる方向が切り替わる電流の波」から「1方向に流れる電流の波」を作ります。次に平滑回路がその波をなだらかにすることで、直流を生み出しているのです。

違い2.回路を構成する部品

インバーターとコンバーターとでは、主要な部品が違います。インバーターに必須なのは、各種トランジスタ。電流や電圧の入力によって、スイッチのON/OFFを行う半導体部品です。

かつてはスイッチング速度が遅い「バイポーラトランジスタ」や、発熱が大きい「電界効果トランジスタ」が使用されてきました。それらの欠点を克服した「絶縁ゲートバイポーラトランジスタ」が、徐々に主流となってきています。

対してコンバーターを構成する主な部品は、ダイオードとコンデンサ。どちらもトランジスタと比べて歴史ある電子部品です。電流を一方向にしか通さないダイオードは「整流回路」に、電流の波を打ち消すコンデンサは「平滑回路」にそれぞれ欠かせません。真逆のはたらきをもつインバーターとコンバーターは、それぞれ全く別の部品を含んでいるのです。

違い3.用途

インバーターとコンバーターとでは、用途が違います。両者の用途は、電源とその供給先で説明可能。直流のバッテリーから交流のコンセントへ給電するのがインバーターで、コンセントからバッテリーに給電するのがコンバーターです。例えばインバーターは「ポータブル電源」に、コンバーターは「スマートフォンの充電器」に内蔵されています。

インバーターの実用例

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先ほどまで解説してきたのは回路としてのインバーター/コンバーター。以下ではインバーター/コンバーターの回路を内蔵する、「インバーター装置」について紹介していきます。まずは装置の機能からみていきましょう!

装置としてのインバーター

インバーター装置は、交流から電圧・周波数の異なる交流を生み出す機能をもちます。インバーター/コンバーターの回路を内蔵しているのが特徴です。装置に流れ込んだ交流は、コンバーター回路によって一度直流に変換されます。その後に続くインバーター回路が直流から、任意の電圧・周波数をもつ交流を生み出しているのです。

インバーター装置の強みや用途

インバーター装置は、エレベーターや電気自動車の「交流用モーター」の回転を制御しています。具体的にはモーターに入力する周波数と電圧を変えることで、それぞれ速度とトルクを変えているのです。

インバーター装置を挟まない従来の機械では、常時フル回転のモーターを物理的なブレーキで制御していました。インバーター装置の導入によって、電力の消費と部品の消耗が抑えられるようになったのです。

日本全国で同じ家電が使えるのも、インバーター装置のおかげ。日本のコンセント電源の周波数は東日本で50Hz、西日本で60Hzと2つに分かれています。かつて電子レンジや洗濯機など一部の家電は、指定以外の周波数で使えないため不便でした。そこで生まれたのがインバーター装置を内蔵する「ヘルツフリー」の家電。こちらは周波数が違う引越し先でも、使えるのが強みです。

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