女性が髪をセットしたりする施設と言えば「美容室」と「美容院」を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし両者の違いについてきちんと分かっている人は少ない。
さらに言えば「理容室」との違いは何なのかという話になるし、最近はヘアサロンという名称の施設も一般的になっている。これらの違いを、法律上の用語の使われ方も踏まえながら、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

美容室と美容院の違いをざっくり解説

まず最初に、美容室と美容院の違いについてざっくり解説していきましょう。女性が髪などを整えるために利用するイメージが強い施設として美容室・美容院の両方が存在していますが、両者は同じものなのか、違う点はあるのかなど、女性でもよく分からないことが多いと思います。

まして男性ならなおさらです。結論を先に言えば美容室と美容院はまったく同じもので、どちらも美容師法という法律を根拠法として成り立っています。法律用語で言うと美容室と美容院はどちらも「美容所」にあたり、美容室・美容院という名称は通称です。

美容室と美容院は同じもの

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結論を最初に言うと、「美容院」と「美容室」は名称こそ異なるものの、厳密に言えば全く同じもので、特に大きな違いはありません。実際の店舗が名乗るときなどは「美容室」と「美容院」を使い分けていることも多いですが、営業形態や、やっている業務は同じと言っていいでしょう。

詳しいことは後述しますが、美容院と美容室は法律によって定められた「美容所」の俗称です。さらに厳密に言えば、この美容所は「美容の業を行うために設けられた施設」のことと法律によって定義されています。

ちなみに、美容所のことを指すやや古い名称として「パーマ屋」というのを聞いたことがある人も多いでしょう。これは「パーマネントウエーブをかける店」という意味で、パーマネントウェーブという言葉は昭和初期から昭和30年代にかけて一般的に普及しました。「パーマ」という略称が使われるようになったのは戦後のことです。

美容室と美容院は通称で正式には「美容所」

改めて、美容院と美容室の名称について解説しますが、どちらも法律上「美容所」とされている業態の通称であって、営業形態や、店舗で行われているサービスの内容は同じものです。美容所の細かい定義を定めているのは美容師法という法律で、ここに「美容所」「美容」という言葉の定義も盛り込まれているので、関心がある方はチェックしてみるといいでしょう。

では、なぜ俗称として美容室と美容院という二つの名称が使われているのでしょうかというと、これは個人的なセンスや好み、言葉の響きなどで選ばれたもので、特に大きな意味はありません。個別の店名が「〇〇美容室」「〇〇美容院」と表記されていない限り、どちらの名称で呼んでも誤りではないと言えます。

美容室・美容院と理容室の違いは?

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美容室・美容院と似たイメージのものとして、床屋とも呼ばれる「理容室」があります。美容室・美容院と理容室は、いずれも髪や顔周りの毛の処理に関するサービスを提供している点は同じです。

ただ、理容室は刈り込みや顔そりといったサービスを提供しているのに対し、美容師が顔剃りを行うことや、美容院で独立した顔剃りメニューを設けることは禁止されています。ここが、美容室・美容院と理容室の大きな違いです。

このため、男性は髭などを処理する場合、理容室を利用することが多いでしょう。しかし、美容室・美容院と理容室の区別は、以前ほど明確ではなくなってきており、理容室でもパーマやカラーを提供する店舗が増えています。

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美容室・美容院は結髪や化粧など「美容の業」を行う

美容室・美容院は、「美容の業」を行うために設けられた施設として、美容師法で定められています。ちなみにこの「美容の業」の「美容」の定義は、パーマネントウェーブや結髪、化粧などの方法で容姿を美しくすることです。

美容室・美容院には美容師が欠かせませんが、美容師も厚生労働省の免許を取得する必要があり、きちんとした法律によって成り立っている業務だと言えるでしょう。また美容師は、お客の要望に合わせてヘアスタイルやメイクアップを提供するだけでなく、トレンドやスタイリングのアドバイスを行うことも求められます。

理容室は散髪や顔剃りなど「理容の業」を行う

理容室は「理容の業」を行うために設けられた施設であると理容師法によって定められています。「理容」とは、髪の刈り込み、顔そりなどの方法によって容姿を整えること、というのがその定義です。ちなみに、男性に対しパーマを行うことも理容の範囲に含まれます。

理容室で提供されるサービスは、散髪や顔剃り、ヘッドスパや脱毛などです。これらのサービスは、男性にとって身だしなみを整えるために欠かせないものですが、サービス提供のためには、美容師と同じく、理容師も免許の取得が欠かせません。

この、「顔剃りできるかどうか」の違いが、美容室や美容院は女性向け、理容室は男性向けのものであるという一般的なイメージを固めていったと言えるでしょう。

美容室・美容院とヘアサロンの違いは?

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美容室・美容院と類似した言葉として「ヘアサロン」を思い浮かべる人も多いでしょう。詳しくは後述しますが、ざっくり概要を押さえておくと、美容室・美容院はヘアサロンの一種で、さらにヘアサロンには理容室も含まれます。

つまりヘアサロンは美容室・美容院・理容室も含めた広い意味の概念です。これは、従来の「美容室・美容院=女性が利用するところ」「理容所=男性が利用するところ」という垣根がなくなりつつあることから、両方を包括する言葉が必要になったため生まれたと考えられます。

美容室・美容院はヘアサロンの一種

美容室・美容院、すなわち法律上「美容所」に該当する施設は、全て「ヘアサロン」に含まれると考えて差し支えありません。ただ、美容所というのは法律上の名称なのに対し、ヘアサロンは法的に定義された言葉ではない俗称である点に注意が必要です。

かつて美容室・美容院といえば女性のためのものというイメージが強かったのですが、現在は男性をターゲットにした美容所も増えてきて、ターゲット層の違いを基準として美容室・美容院・理容所を区別するのが困難な状況になってきました。そのような背景もあり、双方を包括するヘアサロンという呼び方が使われるようになったのです。

理容室もヘアサロンに含まれる

ここまでで説明してきた内容からも分かる通り、一般的に、理容室もヘアサロンの一種として捉えられています。

つまりヘアサロンでは、髪や頭皮のお手入れ、ヘアカット、ヘアスタイリング、カラーリングやパーマ、メイクや顔そりも行われるということです。首から上を全般的に整えるサービスを提供する施設がヘアサロンだと言っても差し支えないでしょう。

さらに、近年は男女の垣根を越えたトータルビューティーサロンや、ヘアサロンと理容室が一体化した店舗も増えています。ヘアサロンという言葉は、より広範なサービスを提供する美容関連の店舗を包括する言葉として定着していると言えるでしょう。

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美容室と美容院は同じもので、理容室とともにヘアサロンの一種

美容室と美容院は、名前こそ異なるものの、どちらも美容師法という法律を根拠とした「美容所」のことです。美容室と美容院という名前は通称で、その使い分けにも特に大きな意味はありません。また、似たような概念として理容室もあります。

そして近年は、これらの施設をひとくくりにする概念として、ヘアサロンという通称が使われるようになってきました。

かつては美容室・美容院は女性が利用するもので、理容所は男性が利用するものというイメージがありましたが、最近はそうした性別に基づく区別が曖昧になってきているようです。よって、法律上の区分も実態にそぐわなくなってきており、法律とはまた別にヘアサロンのような新しい枠組みの概念が生まれてきたと言えるでしょう。

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簡単でわかりやすい!美容室と美容院の違いとは?理容室やヘアサロンとの違いも雑学好きライターが詳しく解説

女性が髪をセットしたりする施設と言えば「美容室」と「美容院」を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし両者の違いについてきちんと分かっている人は少ない。
さらに言えば「理容室」との違いは何なのかという話になるし、最近はヘアサロンという名称の施設も一般的になっている。これらの違いを、法律上の用語の使われ方も踏まえながら、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

美容室と美容院の違いをざっくり解説

まず最初に、美容室と美容院の違いについてざっくり解説していきましょう。女性が髪などを整えるために利用するイメージが強い施設として美容室・美容院の両方が存在していますが、両者は同じものなのか、違う点はあるのかなど、女性でもよく分からないことが多いと思います。

まして男性ならなおさらです。結論を先に言えば美容室と美容院はまったく同じもので、どちらも美容師法という法律を根拠法として成り立っています。法律用語で言うと美容室と美容院はどちらも「美容所」にあたり、美容室・美容院という名称は通称です。

美容室と美容院は同じもの

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結論を最初に言うと、「美容院」と「美容室」は名称こそ異なるものの、厳密に言えば全く同じもので、特に大きな違いはありません。実際の店舗が名乗るときなどは「美容室」と「美容院」を使い分けていることも多いですが、営業形態や、やっている業務は同じと言っていいでしょう。

詳しいことは後述しますが、美容院と美容室は法律によって定められた「美容所」の俗称です。さらに厳密に言えば、この美容所は「美容の業を行うために設けられた施設」のことと法律によって定義されています。

ちなみに、美容所のことを指すやや古い名称として「パーマ屋」というのを聞いたことがある人も多いでしょう。これは「パーマネントウエーブをかける店」という意味で、パーマネントウェーブという言葉は昭和初期から昭和30年代にかけて一般的に普及しました。「パーマ」という略称が使われるようになったのは戦後のことです。

美容室と美容院は通称で正式には「美容所」

改めて、美容院と美容室の名称について解説しますが、どちらも法律上「美容所」とされている業態の通称であって、営業形態や、店舗で行われているサービスの内容は同じものです。美容所の細かい定義を定めているのは美容師法という法律で、ここに「美容所」「美容」という言葉の定義も盛り込まれているので、関心がある方はチェックしてみるといいでしょう。

では、なぜ俗称として美容室と美容院という二つの名称が使われているのでしょうかというと、これは個人的なセンスや好み、言葉の響きなどで選ばれたもので、特に大きな意味はありません。個別の店名が「〇〇美容室」「〇〇美容院」と表記されていない限り、どちらの名称で呼んでも誤りではないと言えます。

美容室・美容院と理容室の違いは?

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美容室・美容院と似たイメージのものとして、床屋とも呼ばれる「理容室」があります。美容室・美容院と理容室は、いずれも髪や顔周りの毛の処理に関するサービスを提供している点は同じです。

ただ、理容室は刈り込みや顔そりといったサービスを提供しているのに対し、美容師が顔剃りを行うことや、美容院で独立した顔剃りメニューを設けることは禁止されています。ここが、美容室・美容院と理容室の大きな違いです。

このため、男性は髭などを処理する場合、理容室を利用することが多いでしょう。しかし、美容室・美容院と理容室の区別は、以前ほど明確ではなくなってきており、理容室でもパーマやカラーを提供する店舗が増えています。

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