3分で簡単にわかる矛盾とパラドックスの違い!語源や使用例も雑学好きライターが詳しく解説
今回はそんな2つの言葉の違いを、語源から確認しつつ、雑学好きなライター斉藤佳人と一緒に解説していきます。
ライター/斉藤佳人
お米農家、メカエンジニア、ロボット教室講師、スポーツトレーナーと複数の仕事をこなすマルチワーカー。豊富な知識と経験をもとにライター業にも取り組んでいる。
矛盾とパラドックスの違いとは?
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矛盾とパラドックスはよく似ている言葉ですが、実は異なる意味を持っているのです。矛盾は1つの事柄に対して相反する2つのことが同時に存在して、対立している状態を表しています。パラドックスはある前提から、一見すると間違っているように見えるが正しい、または正しいように見えるが間違っていることを表しているのです。
矛盾について詳しく知ろう!
矛盾について理解を深めるために、まずは語源を確認していきましょう。
矛盾の語源は中国の故事!
「矛盾」という言葉は、中国の古典「韓非子」の中にあるお話に由来します。ある武器屋が自分が売っている矛(ほこ)はどんな盾(たて)でも貫くことができ、また自分が売っている盾はどんな矛でも防ぐ最強の盾であると宣伝していました。ある客が武器屋に「あなたが売っている矛でその盾をついたらどうなるのか?」と質問したところ、武器屋は返答できなかったというもの。
矛が盾を貫いたとすると、どんな矛も防ぐことができる盾ということが誤りということになりますね。一方が本当だとすると、もう一方が誤りということになり両立しないつじつまが合わないことを矛盾と呼ぶようになったのです。
論理学で使われる矛盾
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論理学は思考や推論の正確さを研究する学問であり、矛盾はその中でも重要な概念です。矛盾を使った論法に背理法というものがあります。
例えば「Aである」ということを証明したいとしましょう。「Aではない」という仮定をして論理を組み立てていくのですが、その中で何らかの矛盾が生じた場合に、最初に仮定した「Aではない」ということが間違いだったということになりますね。結論として「Aである」ということが証明されたとこになるのです。
パラドックスについても詳しく知ろう!
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パラドックスは矛盾しているように見えて、実は正しいこととも言えますね。それではパラドックスの語源について見ていきましょう。
パラドックスの語源
パラドックスの語源は、古代ギリシャ語。「パラ」(para)と「ドクサ」(doxa)の2つの言葉から構成されていて、パラは「対立する」や「反する」を意味し、ドクサは「意見」や「信念」という意味です。この2つの言葉を組み合わせたパラドックスは、「対立する意見」や「反する信念」を指す言葉となります。
パラドックスの例1:砂山のパラドックス
砂山のパラドックスはソライトのパラドックスとも呼ばれる、古典的な哲学の問題です。このパラドックスは、曖昧性と連続性を扱う哲学的問題を示しています。砂山があり、その砂山から砂粒を1つずつ取り除いていくのですが、この作業を続けていき最後に残った一粒の砂粒をさして砂山と呼ぶことができるのかというものです。
この問題は、砂山から砂粒を取り除いていったときに、『いつ砂山と呼べなくなるのか』という明確な定義が存在しないために起こるパラドックスですね。どれくらいの大きさを砂山と呼ぶのかについては人それぞれの考え方があり、砂粒を1つ取り除いたからと言って砂山ではないと明確に否定することも困難。砂山のパラドックスは思考や判断に潜む曖昧さを探るきっかけとなるものです。
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