ここでは「棄却」と「却下」の違いをみていきます。どちらも裁判など司法の場でよく見聞きする言葉です。読み方はわかるか?どちらも訴えたが認められなかったという意味だというのはなんとなくわかるが、その明確な違いはどうでしょうか?「棄却」と「却下」の違いを元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「棄却」と「却下」の違い

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裁判でよく見聞きする「棄却」と「却下」。どちらも訴えたことが認められない時に使われる言葉ですが、どこに違いがあるのでしょうか。まず、前提として「棄却」と「却下」は民事訴訟で使われる言葉だということを覚えておいてください。刑事訴訟においては後述します。では、読み方を含め、どのような違いがあるのか見てきましょう。

「棄却」:審理あり

「棄却」は「ききゃく」と読みます。裁判で使われる言葉ですが、「棄却」とは訴えのに内容をしっかり審理した上で、その訴えを退けることです。裁判所は訴えられた内容をきちんと調べたうえで、その訴えが通らないと判断したときに「棄却」します。

「却下」:審理なし

「却下」は「きゃっか」と読みます。「却下」とは訴えの内容を審理しないまま退けることです。訴えを起こすには条件がありますので、手続きに不備などがある場合、裁判所は内容を審理することなく、その訴えを「却下」できます。不備などがあれば、訴える資格がないから審理しないということで門前払いとなってしまうのです。

「棄却」と「却下」の使い方

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では、次に「棄却」と「却下」を使った例文を見ながら、その使い方を確認していきましょう。

\次のページで「「棄却」の使い方」を解説!/

「棄却」の使い方

まず「棄却」の例文を見てください。ポイントは訴えが審理されたのかどうかです。

1. 最高裁判所は彼らの上告を棄却した。
2. 一審の判決を支持し、控訴を棄却した。

1は上告(第二審の判決に不服申し立てを行い上級裁判所に第三審の訴えを行うこと)された訴訟について、その内容を最高裁判所が調べた結果、上告の内容が通らないと判断し退けたということです。上告するのは民事訴訟では原告・被告ですが、いずれも法律のプロですので審理されないということはないでしょう。

2は控訴(第一審の判決に不服申し立てを行い上級裁判所に第二審の訴えを行うこと)された訴訟について、その内容を裁判所が調べた結果、第一審の判決に問題がないと判断したため、控訴審を行う必要性がないとし退けたということです。

「却下」の使い方

次に「却下」の使い方を例文を見ながら確認していきます。

1. 手続きの不備により、訴訟は却下された。
2. その申し立て自体が不適切なので却下された。
3. ハワイへの修学量を提案したが却下された。

1は訴訟を行う場合に必要な手続きなどに不備があったため、訴えの内容を審理することなく退けられたということです。例えば訴えを起こした人の名前が間違っていた、必要な書類が添付されていなかったなど、訴訟を起こすのに必要なことができていなかった場合は審理されません。

2については、訴えそのものが審理の必要性がないために退けられたということです。具体的な例を挙げると、AさんがBさん相手に「私がBさんより不細工なのは不公平だからBさんを訴える」と言っても当然裁判所は審理することなく、この訴えを退けます。裁判所は意味のない審理は行わないのです。

3は裁判とは関係ありませんが、日常でも使うことができる一例として挙げています。修学旅行で海外となれば、国内旅行より費用が掛かることは明白なので、提案そのものを議論することもなく退けられたということです。

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刑事訴訟における「棄却」と「却下」

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刑事訴訟の原則は皆さんご存じですか。刑事裁判において被告人は「推定無罪」の原則があります。つまり「疑わしきは罰せず」という原則です。刑事裁判で審理の結果、検察側の訴え(有罪の訴え)が退けられる場合は「棄却」ではなく「無罪」が言い渡されます。一方、被告人の訴え(無罪の訴え)が退けらえる場合は「棄却」=「有罪」です。しかし、裁判所が控訴や上告を認めないときには、民事裁判と同じように控訴棄却、上告棄却の判決が書かれます。

また、刑事裁判で「却下」となるのは、訴訟手続きにおいて申し立てを理由なしまたは不適切と判断した場合です。

「棄却」と「却下」の違いは審理の有無

「棄却」と「却下」は退け方が違うのがポイントで、審理を行った上で訴えを退けるのが「棄却」、審理を行わずに訴えを退けるのが「却下」です。また、この言葉は民事裁判で使われることが多いことも覚えておくと、ニュースなどで見聞きするときに区別がつきやすいでしょう。刑事裁判でも使われることがありますが、「棄却」は「無罪または有罪」と同意義になります。しかし、基本的な考え方は「審理を行うかどうか」という点です。ちょっと気にしてニュースなど見てくださいね。

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雑学

簡単で分かりやすい「棄却」と「却下」の違い!難しい裁判用語の読み方や意味、使い方を元塾講師が詳しく解説!

ここでは「棄却」と「却下」の違いをみていきます。どちらも裁判など司法の場でよく見聞きする言葉です。読み方はわかるか?どちらも訴えたが認められなかったという意味だというのはなんとなくわかるが、その明確な違いはどうでしょうか?「棄却」と「却下」の違いを元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「棄却」と「却下」の違い

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裁判でよく見聞きする「棄却」と「却下」。どちらも訴えたことが認められない時に使われる言葉ですが、どこに違いがあるのでしょうか。まず、前提として「棄却」と「却下」は民事訴訟で使われる言葉だということを覚えておいてください。刑事訴訟においては後述します。では、読み方を含め、どのような違いがあるのか見てきましょう。

「棄却」:審理あり

「棄却」は「ききゃく」と読みます。裁判で使われる言葉ですが、「棄却」とは訴えのに内容をしっかり審理した上で、その訴えを退けることです。裁判所は訴えられた内容をきちんと調べたうえで、その訴えが通らないと判断したときに「棄却」します。

「却下」:審理なし

「却下」は「きゃっか」と読みます。「却下」とは訴えの内容を審理しないまま退けることです。訴えを起こすには条件がありますので、手続きに不備などがある場合、裁判所は内容を審理することなく、その訴えを「却下」できます。不備などがあれば、訴える資格がないから審理しないということで門前払いとなってしまうのです。

「棄却」と「却下」の使い方

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では、次に「棄却」と「却下」を使った例文を見ながら、その使い方を確認していきましょう。

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