今回は「マスカット」と「ぶどう」の違いを見ていきます。マスカットとぶどうは同じものともいえるし、違うものともいえる。なぜなら、「ぶどう」という果物の一種が「マスカット」だからです。ぶどうには、マスカットを含めて約10,000種類もの品種があるといわれている。これらには原種・色・香りの3点で違いがあるんです。この先はグルメ好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

「マスカット」と「ぶどう」の違いとは?

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「マスカット」と「ぶどう」の違いは、ぶどうという果物の中の1つの品種を指すか、ぶどう全体を指すかという点にあります。日本で一般的にマスカットと呼ばれるものは、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」という品種のぶどう。一方、ぶどうと呼ばれるものは、房状に実をつける「ブドウ科ブドウ属」の果物(もしくはその植物自体)を指す言葉です。

10,000種類以上の品種が存在するといわれるぶどう。ここでは、ぶどうの分類方法や代表的な品種、主な用途などを解説していきます。

ぶどうの分類方法1:原種

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10,000種類以上もあるぶどうを整理するためには、いくつかの分類方法があります。その1つ目が原種によって分類する方法です。世界で栽培されているぶどうは、ヨーロッパブドウとアメリカブドウ、そしてその交雑種の3つに分類することができます。

1.ヨーロッパブドウ(ヴィニフェラ種)

ヨーロッパブドウは、地中海周辺の地域や中央ヨーロッパなどを原産地とする品種です。ヴィニフェラ種とも呼ばれ、マスカット系の品種もこのヨーロッパブドウ(ヴィニフェラ種)に含まれます。ワインの原料として世界で生産されているぶどうのほとんどが、このヨーロッパブドウ。一部は生食用やレーズンの原料としても利用されます。

2.アメリカブドウ(ラブルスカ種)

アメリカブドウは、北アメリカ大陸に自生していた品種の総称です。約30種類あるといわれるアメリカブドウの中から、栽培に適した品種として選抜されたのがラブルスカ種。ここから栽培用として発展した品種に「コンコード」や「イザベラ」などがあり、主に生食用や加工品の原料として利用されています。

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3.交雑種

交雑種は、ヨーロッパブドウとアメリカブドウを掛け合わせてできた品種の総称です。日本で栽培されているぶどうのほとんどが交雑種で、知名度が高い「巨峰」、「ピオーネ」、「シャインマスカット」、「デラウェア」、「ナガノパープル」などの品種も交雑種にあたります。

ぶどうの分類方法2:皮の色

2つ目は皮の色によって分類する方法です。皮が黄緑色のものは「白ぶどう」、黒紫色のものは「黒ぶどう」、赤紫色のものは「赤ぶどう」とよばれ、約10,000種類のぶどうはこのどれかに分類されます。

皮の色による分類は、先ほど解説した原種による分類とは別の方法。原種が同じでも皮の色が違う場合もあり、例えばヨーロッパブドウの中にも白ぶどう・黒ぶどう・赤ぶどうがそれぞれ存在します。

1.白ぶどう

皮が黄緑色のぶどうは白ぶどうに分類されます。「マスカット・オブ・アレキサンドリア」、「シャインマスカット」、「シャルドネ」が代表品種です。黄緑色のぶどうと聞いてマスカットをイメージされる方もいるかもしれませんが、マスカットには黒紫色や赤紫色の皮を持つ品種も存在します。そのため、マスカットと白ぶどうはイコールでないことに注意が必要です。

白ぶどうは、黒ぶどう・赤ぶどうに比べて渋みの元になるタンニンの量が少ないため、皮ごと食べても味に違和感はありません。ただし、品種によっては皮が厚くて歯触りが悪いものもあるため、皮ごと食べる場合は皮の薄いマスカット系の品種がおすすめです。

\次のページで「2.黒ぶどう」を解説!/

2.黒ぶどう

皮が黒紫色のぶどうは「黒ぶどう」に分類されます。代表的な品種は「巨峰」、「ピオーネ」、「ナガノパープル」、「カベルネ・ソーヴィニヨン」。また、マスカットの一種である「ヒロ・ハンブルク」も黒ぶどうです。これらの紫色はポリフェノールの一種であるアントシアニンによるもので、アントシアニンの量が多ければ多いほど黒く深い色に。黒ぶどうはタンニンも豊富で、食べると独特の渋みを感じます。

3.赤ぶどう

皮が赤紫色のぶどうは「赤ぶどう」に分類されます。代表品種は「デラウェア」、「レッドグローブ」、「サニールージュ」、「甲州」です。赤ぶどうの紫色もアントシアニンによって色づいていますが、黒ぶどうに比べるとアントシアニンの量が少なく、赤く透明感のある紫色に見えます

ぶどうの分類方法3:香り

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3つ目の分類方法は香りです。よく熟したぶどうの甘く芳醇な香り「マスク」と「フォクシー・フレーバー」という2系統に分類され、用途との相性によって使い分けられています。一般的にワインの原料として好まれる香りがマスク、ジュースに利用されるのがフォクシー・フレーバーです。

1.マスク:甘い花の香り

マスクは深く甘い花の香りで、「温かい」、「官能的」とも表現されます。ヨーロッパブドウ、特にマスカット系品種から漂う香りがマスクと評され、ワインの原料として相性がいいといわれる香りです。そもそも「マスカット」は「マスクのような香りがするもの」という意味から名付けられており、同じ語源のフルーツとして「マスクメロン」も挙げられます。

2.フォクシー・フレーバー:ぶどうジュースの香り

フォクシー・フレーバーは直訳すれば「キツネのにおい」ですが、実際に動物のキツネからするにおいではありません。

少しクセのある甘い香りで、アメリカブドウ(ラブルスカ種)から漂う香りを指します。アメリカブドウは生食用やジュースの原料として多く利用され、ぶどうジュースの香りがまさにフォクシー・フレーバーといわれる香りです。

フォクシー・フレーバーはどちらかといえばネガティブな意味合いで使用されることが多く、「ワインに適さない格下のもの」というようなイメージとして語られます。語源は定かではありませんが、キツネが好んで食べたぶどうだから、フォックスいう人物がアメリカブドウの香りを解説したから、などの通説が有力です。

\次のページで「品種によるぶどうの違いを感じよう」を解説!/

品種によるぶどうの違いを感じよう

マスカットはぶどうの一種で、マスクの香りがする品種ということが分かりました。スーパーや青果店には様々な種類のぶどうが並びます。上記で解説した情報を参考にしながら、気になったぶどうを購入して香りや味を比べてみてください。品種の違いを実感でき、自分で食べる際はもちろん、ぶどうを贈答品として使用する場合にも失敗のない品種選びができるようになりますよ

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「マスカット」と「ぶどう」の違いとは?原種や色、香りの違いもグルメ好きライターが簡単にわかりやすく解説

今回は「マスカット」と「ぶどう」の違いを見ていきます。マスカットとぶどうは同じものともいえるし、違うものともいえる。なぜなら、「ぶどう」という果物の一種が「マスカット」だからです。ぶどうには、マスカットを含めて約10,000種類もの品種があるといわれている。これらには原種・色・香りの3点で違いがあるんです。この先はグルメ好き主婦ライターのスズキアユミと一緒に詳細を解説していきます。

ライター/スズキアユミ

食べることが大好きな主婦ライター。週に2回は外食を楽しみ、近隣のお店を開拓している。高級料理よりも庶民派の手軽なものが好み。

「マスカット」と「ぶどう」の違いとは?

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「マスカット」と「ぶどう」の違いは、ぶどうという果物の中の1つの品種を指すか、ぶどう全体を指すかという点にあります。日本で一般的にマスカットと呼ばれるものは、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」という品種のぶどう。一方、ぶどうと呼ばれるものは、房状に実をつける「ブドウ科ブドウ属」の果物(もしくはその植物自体)を指す言葉です。

10,000種類以上の品種が存在するといわれるぶどう。ここでは、ぶどうの分類方法や代表的な品種、主な用途などを解説していきます。

ぶどうの分類方法1:原種

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10,000種類以上もあるぶどうを整理するためには、いくつかの分類方法があります。その1つ目が原種によって分類する方法です。世界で栽培されているぶどうは、ヨーロッパブドウとアメリカブドウ、そしてその交雑種の3つに分類することができます。

1.ヨーロッパブドウ(ヴィニフェラ種)

ヨーロッパブドウは、地中海周辺の地域や中央ヨーロッパなどを原産地とする品種です。ヴィニフェラ種とも呼ばれ、マスカット系の品種もこのヨーロッパブドウ(ヴィニフェラ種)に含まれます。ワインの原料として世界で生産されているぶどうのほとんどが、このヨーロッパブドウ。一部は生食用やレーズンの原料としても利用されます。

2.アメリカブドウ(ラブルスカ種)

アメリカブドウは、北アメリカ大陸に自生していた品種の総称です。約30種類あるといわれるアメリカブドウの中から、栽培に適した品種として選抜されたのがラブルスカ種。ここから栽培用として発展した品種に「コンコード」や「イザベラ」などがあり、主に生食用や加工品の原料として利用されています。

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