日本の地理を勉強していると登場する言葉「糸静線(いとしずせん)」と「フォッサマグナ」。
どちらも本州の真ん中あたりを通っている線ですが、両者の違いは何なんでしょうな。
今回は「糸静線」と「フォッサマグナ」の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

糸静線とフォッサマグナの違い

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中学生の地理の授業などで習う言葉「糸静線」と「フォッサマグナ」。これらはいずれも本州中央部、具体的に言えば中部地方から関東地方にかけて縦断位置する地域を指しています。しかし両者はいったい何が違うのでしょう。ここでは「糸静線」と「フォッサマグナ」の違いについて解説していきます。

糸静線は地質境界を表す「線」

「糸静線」とは正式名称を「糸魚川静岡構造線(いといがわしずおかこうぞうせん)」と言います。新潟県糸魚川市から静岡県静岡市まで通っている地質境界を表す「線」です。「糸静線」を境に、日本は「西南日本」と「東北日本」に分断されます。

フォッサマグナは広さを持つ「面」

「フォッサマグナ」とは地質的に共通の特徴を持つ地域を指している、言い換えれば「面」の表現です。「フォッサマグナ」という名前はドイツの地質学者ナウマンが名付けました。

「フォッサマグナ」はラテン語で「大きな溝」を意味しており、別名を「中央地溝帯(ちゅうおうちこうたい)」や「大地溝帯(だいちこうたい)」とも。「西南日本」と「東北日本」を分断する際は「フォッサマグナ」も基準とされます。

なぜフォッサマグナは溝なのか

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「フォッサマグナ」が「大きな溝」という意味であることはさきほど説明しましたね。しかし「フォッサマグナ」のある地域は富士山など高い山々が点在しており、とても「溝」という表現が合っているとは思えません。ここではななぜ「フォッサマグナ」が溝として扱われるのかを解説していきます。

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元々は日本列島が割れたときにできた溝

実はかつての日本列島は海に沈んでおり、かつ今よりもまっすぐな形をしていました。今でこそひらがなの「く」を反対にしたような形ですが、これは「フォッサマグナ」の位置で地層が割れてしまったことに由来しているんです。

地層が割れるとその部分に溝ができます。海底にできた溝に新しい地層が形成されていき、それが現在の「フォッサマグナ」の地層となりました。つまり「フォッサマグナ」とその周辺地域の地層は異なっているのです。

富士山などの山々は海底からの隆起時にできた

ではなぜ「フォッサマグナ」には山々が点在しているのでしょうか。それは海底が隆起したため、フォッサマグナが突き上げられたからです。富士山や八ヶ岳、新潟焼山などはこの時期に形成されました。

西南日本と東北日本の地質

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「糸静線」と「フォッサマグナ」が地質学的に「西南日本」と「東北日本」を分断する境界であることはおわかりいただけと思います。では両者にはどのような地質の違いがあるのでしょうか。ここでは「西南日本」と「東北日本」の地質の特徴を解説していきます。

西南日本:内帯と外帯で地質が異なる

日本列島を地質学的に横に分断した線を「中央構造線(中央構造線)」と言い、「中央構造線」の北側を「内帯(ないたい)」、南側を「外帯(がいたい)」と呼びます。「西南日本」において「内帯」と「外帯」の地質は非常に対照的です。

「内帯」はなだらかな地形をしており瀬戸内海や琵琶湖に代表されるような大きなくぼみも見られます。これに対して「外帯」は紀伊半島や阿蘇山に代表されるような険しい山々が連なり平地が少ない地形です。

東北日本:棚倉構造線から地質が変わる

「東北日本」は「棚倉構造線(たなくらこうぞうせん)」と呼ばれる線を境に地質が分断しています。「棚倉構造線」は福島県棚倉町から茨城県常陸太田市にかけて広がる断層で、ここを境に山々の険しい東北地方と関東平野の広がる関東地方が広がっているのです。

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糸静線は「線」、フォッサマグナは「面」

ここまで「糸静線」と「フォッサマグナ」の違い、なぜ「フォッサマグナ」が溝として扱われるのか、そして「西南日本」と「東北日本」の違いについて解説してきました。この記事を読む前よりも、日本の地理に興味が持てるようになったのではないでしょうか。

「糸静線」と「フォッサマグナ」が分断しているのは地質だけではありません。高い山々に分断されているので気候も違いますし分布する動植物も違います。当然住む人々の気質や文化も異なるのです。「糸静線」と「フォッサマグナ」は地質学的な境界線であるとともに、日本という国の多面性を象徴する存在だと言えるでしょう。

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社会雑学

3分で簡単にわかる糸静線とフォッサマグナの違い!どこを通る?中央構造線との違いも雑学好きライターがわかりやすく解説

日本の地理を勉強していると登場する言葉「糸静線(いとしずせん)」と「フォッサマグナ」。
どちらも本州の真ん中あたりを通っている線ですが、両者の違いは何なんでしょうな。
今回は「糸静線」と「フォッサマグナ」の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

糸静線とフォッサマグナの違い

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中学生の地理の授業などで習う言葉「糸静線」と「フォッサマグナ」。これらはいずれも本州中央部、具体的に言えば中部地方から関東地方にかけて縦断位置する地域を指しています。しかし両者はいったい何が違うのでしょう。ここでは「糸静線」と「フォッサマグナ」の違いについて解説していきます。

糸静線は地質境界を表す「線」

「糸静線」とは正式名称を「糸魚川静岡構造線(いといがわしずおかこうぞうせん)」と言います。新潟県糸魚川市から静岡県静岡市まで通っている地質境界を表す「線」です。「糸静線」を境に、日本は「西南日本」と「東北日本」に分断されます。

フォッサマグナは広さを持つ「面」

「フォッサマグナ」とは地質的に共通の特徴を持つ地域を指している、言い換えれば「面」の表現です。「フォッサマグナ」という名前はドイツの地質学者ナウマンが名付けました。

「フォッサマグナ」はラテン語で「大きな溝」を意味しており、別名を「中央地溝帯(ちゅうおうちこうたい)」や「大地溝帯(だいちこうたい)」とも。「西南日本」と「東北日本」を分断する際は「フォッサマグナ」も基準とされます。

なぜフォッサマグナは溝なのか

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「フォッサマグナ」が「大きな溝」という意味であることはさきほど説明しましたね。しかし「フォッサマグナ」のある地域は富士山など高い山々が点在しており、とても「溝」という表現が合っているとは思えません。ここではななぜ「フォッサマグナ」が溝として扱われるのかを解説していきます。

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