昨今はクラフトビールブームでもあり、いろいろなビールが販売されるようになったな。
その中でも苦みのあるビールとして人気なのが「ペールエール」と「IPA」です。
今回は「ペールエール」と「IPA」の違いについて、ビール好きライターおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。ビール検定という民間資格を受験するくらいのビール好き。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

ペールエールとIPAとは?

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日本では一般的なビールのスタイルは「ラガー」です。大手ビールメーカーの主力製品は「ラガー」となっており、スーパーやコンビニなどの小売店からレストランや居酒屋でもほぼ確実に販売されています。そんな「ラガー」大国日本で徐々に人気を集めているのが「ペールエール」と「IPA」です。ここではまず、ペールエールとIPAの特徴を解説していきます。

どちらも上面発酵ビール

「ペールエール」と「IPA」はどちらも上面発酵ビールというジャンルに該当します。「ラガー」は下面発酵なので、製法がだいぶ違うんですね。下面発酵は低温・長期間発酵によりキレのある仕上がりですが、上面発酵ビールは高温・短期間発酵により芳醇な仕上がりになります。

パブ文化で愛されるペールエール

「ペールエール」はイギリスなどパブ文化のある国々で愛されているビールのスタイルです。テーブルが狭く、スタンディングスタイルの店も多いのがパブ。つまりパブは食事と一緒にビールを楽しむよりは、会話のついでにビールをたしなむ場所なのです。そのためビール単体の風味を味わえる「ペールエール」が好まれるようになりました。

逆に日本では居酒屋やレストランで食事と一緒に楽しむため「ラガー」のようなキレのあるビールが好まれているのです。

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長期輸送の目的から生まれたIPA

「IPA」とは「インディアンペールエール」の略称で、「ペールエール」の親戚にあたるビールです。ではなぜ「インディアン」なのかというと、「IPA」誕生当時のイギリスとインドの関係に由来します。

インドがイギリスの植民地だった時代に、イギリスからインドにビールを運ぼうとすると輸送中に腐敗したり傷んでしまうことが多かったのです。そこで防腐処理のため殺菌作用にすぐれたホップの量を大幅に増やしました。こうして生まれたのが「インドのペールエール」こと「IPA」なのです。

ペールエールとIPAの違い

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「ペールエール」と「IPA」がどんなビールなのかはおわかりいただけだと思います。では本題として、「ペールエール」と「IPA」の違いについても見ていきましょう。きっと飲んでみたくなるはずですよ。

造り方が違う

上面発酵ビールの総称を「エール」と言います。「エール」系のビールに共通して言えるのが、深い味わいと飲みごたえ。

「ペールエール」は「エール」の中でも「ペール(淡い)」なものを指します。色が淡い、つまり薄目なんですね。なぜ色が淡いかと言うと大麦の量を抑え、相対的にホップの量を増やしているから。大麦の色は茶色ですが、ホップの色は薄い黄緑色。この2色が混ざることで淡く美しい色合いを出してます。

「ペールエール」でも十分他の種類のビールに比べればホップの量は多いのですが、さらに大量のホップを加えているのが「IPA」です。

香りや味わいが違う

「ペールエール」はホップの量が多い分、下面発酵のビールに比べて華やかな香りと爽やかな苦みが特徴。「IPA」はさらにホップの量が多いため「ペールエール」よりも香りや苦みが強めです。特に苦みに関しては強烈なため、好きになる人と苦手な人がはっきり分かれるタイプのビールと言えます。

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ペールエール・IPAに似ているビール

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ここまで「ペールエール」と「IPA」の特徴や違いについて説明してきました。しかし世界には他にもさまざまな下面発酵のビールは存在するんです。その中でも「ペールエール」と「IPA」に近い種類が「アンバーエール」と「スタウト」というスタイル。ここではこの2種類のビールについて解説していきます。

アンバーエール:琥珀色のエール

「アンバーエール」は「アンバー(琥珀色)」の「エール」という意味です。琥珀色とは赤みがかったブラウンと言える色あい。醸造に利用する大麦を高温でローストして軽く焦げ目をつけています。カラメルを思わせる香ばしさと、大麦由来のほどよい甘味が広がる芳醇なビールです。もちろん「ペールエール」同様、ホップの苦みが味わいを引き締めています。

スタウト:黒色のエール

スタウトは主にアイルランドのパブなどで愛されている黒色の「エール」です。「スタウト(stout)」とは英語で「頑丈」や「強い」を意味する言葉。「アンバーエール」同様に大麦をローストしているのですが、こちらは大麦が黒くなるまでじっくり焦がしています。その結果、大麦からも苦みや甘味、酸味が染み出し濃厚な味わいとなるのです。

「スタウト」は特にホップの量を増やすことはありませんが、乳糖(ラクトース)やオート麦、牡蠣エキス、バニラビーンズなどを加えて味の複雑さを増している種類もあります。

ペールエールとIPAは造り方・香り・味わいに違いがある

ここまで「ペールエール」と「IPA」の特徴、両者の違い、近縁のビールについて解説してきました。徐々に日本でも人気になっている理由が何となくわかったのではないでしょうか。

「ペールエール」と「IPA」は香りや苦みが強く、特に「IPA」にいたっては非常に個性的です。しかし筆者はそんな個性に憑りつかれた「IPA」ファンの一人でもあり、パブなどで見かけたら必ずと言っていいほど注文してしまいます。ぜひ皆さんも街に繰り出して、お気に入りの上面発酵ビールを探してみてはいかがでしょうか。

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雑学食べ物・飲み物

3分で簡単にわかるペールエールとIPAの違い!味は苦い?香りや飲みやすさもビール好きライターがわかりやすく解説

昨今はクラフトビールブームでもあり、いろいろなビールが販売されるようになったな。
その中でも苦みのあるビールとして人気なのが「ペールエール」と「IPA」です。
今回は「ペールエール」と「IPA」の違いについて、ビール好きライターおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。ビール検定という民間資格を受験するくらいのビール好き。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

ペールエールとIPAとは?

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日本では一般的なビールのスタイルは「ラガー」です。大手ビールメーカーの主力製品は「ラガー」となっており、スーパーやコンビニなどの小売店からレストランや居酒屋でもほぼ確実に販売されています。そんな「ラガー」大国日本で徐々に人気を集めているのが「ペールエール」と「IPA」です。ここではまず、ペールエールとIPAの特徴を解説していきます。

どちらも上面発酵ビール

「ペールエール」と「IPA」はどちらも上面発酵ビールというジャンルに該当します。「ラガー」は下面発酵なので、製法がだいぶ違うんですね。下面発酵は低温・長期間発酵によりキレのある仕上がりですが、上面発酵ビールは高温・短期間発酵により芳醇な仕上がりになります。

パブ文化で愛されるペールエール

「ペールエール」はイギリスなどパブ文化のある国々で愛されているビールのスタイルです。テーブルが狭く、スタンディングスタイルの店も多いのがパブ。つまりパブは食事と一緒にビールを楽しむよりは、会話のついでにビールをたしなむ場所なのです。そのためビール単体の風味を味わえる「ペールエール」が好まれるようになりました。

逆に日本では居酒屋やレストランで食事と一緒に楽しむため「ラガー」のようなキレのあるビールが好まれているのです。

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